結婚すると「住民税」はどのように変化する? 「配偶者特別控除」について解説
配信日: 2025.03.28

この記事では、結婚によって住民税がどのように変化するのか、また「配偶者特別控除」という制度について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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結婚で変わる住民税
結婚後の住民税は、夫婦の所得を合算して計算されるわけではなく、それぞれの所得に基づいて個別に課税されます。ただし、配偶者控除や配偶者特別控除が適用されることで、世帯全体の税負担が軽減される可能性はあります。
例えば、夫の年収が500万円、妻の年収が100万円の場合は、配偶者特別控除の対象です。夫は38万円の控除が受けられるので、課税所得金額が減少した夫の所得税と住民税は軽減します。もし、妻の年収が48万円以下であれば、配偶者控除が適用されるため、夫の税負担はさらに軽減します。
しかし、共働きで夫婦ともに収入が多い場合は、控除の対象外となるため、それぞれに所得に基づいた住民税が課されます。住民税は前年の所得で計算されるため、結婚翌年から税額が変わる点に注意が必要です。また、年の途中で結婚した場合は、翌年の住民税に影響が出ます。
配偶者特別控除とは
配偶者特別控除とは、配偶者の所得に応じて、納税者本人の所得から一定額を控除できる制度です。この制度は、配偶者に48万円を超えていて「配偶者控除」の対象とならない場合でも一定の条件を満たせば適用されます。
控除額は、納税者の合計所得金額と配偶者の合計所得金額によって変動します。例えば、納税者本人の合計所得金額が900万円以下で、配偶者の合計所得金額が95万円以下であった場合は、最大38万円の控除を受けられるのです。
配偶者特別控除の適用条件
配偶者特別控除を受けるためには、さまざまな条件を満たす必要があります。まず、控除を受ける本人のその年の合計所得金額が1000万円以下でなければなりません。
また、配偶者についても、民法上の婚姻関係にある人が対象であり、内縁関係にある人は対象外です。さらに控除を受ける人と生計を共にしていることも条件のひとつです。
加えて、配偶者がその年に青色申告者の事業専従者として給与を受け取っていない、または白色申告者の事業専従者ではないことも要件に含まれます。配偶者が給与所得者の扶養控除等申告書や従たる給与に関する扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者として、源泉徴収されていないことも必要です。
さらに、配偶者が公的年金等を受給している場合、その扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者として、源泉徴収されていないことも求められます。このように、配偶者特別控除を受けるためには、納税者本人と配偶者の双方が複数の要件を満たしていることが必要です。
夫婦の収入で変わる、税制上のメリット
夫婦の収入状況によって、税制上の優遇措置は大きく異なります。夫婦の収入が一定の条件を満たしていれば、配偶者控除や配偶者特別控除の対象です。
一方、共働きで夫婦ともに収入が多い場合は、配偶者控除や配偶者特別控除の対象外です。しかし、夫婦それぞれが生命保険料や地震保険料、医療費などの所得控除を受けることで、税負担は軽減できます。また、住宅ローン控除も夫婦それぞれで利用できる場合があります。
ただし、配偶者控除や配偶者特別控除は、納税者本人の合計所得金額が1000万円を超えると適用されません。また、配偶者の働き方や収入状況が変化した場合、適用される控除も変わる可能性があるため注意しましょう。
結婚後の住民税は賢く対策しよう
結婚は、住民税に影響を与える大きなライフイベントです。夫婦の働き方や収入状況によって、適用される税制上の措置は異なり、住民税の金額も変動します。
配偶者控除や配偶者特別控除、各種所得控除など、利用できる制度を正しく理解し、夫婦の収入バランスに合わせた対策を行いましょう。
出典
国税庁 No.1192 配偶者控除
国税庁 No.1195 配偶者特別控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー