〈家庭でできるマネー教育〉 ⑤子供の貯蓄の管理方法、どうすればいい?
配信日: 2017.08.28 更新日: 2019.05.17
Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士
アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
自身の子育て経験を踏まえて、明日の子どもたちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性の起業,事業承継を中心に経営サポートを行い、大学では経営学や消費生活論の講義を担当している。
貯蓄の管理、親がする?子供がする?
子供が手っ取り早くお金を貯めるには、貯金箱が便利です。でも貯金箱で貯めていると、欲しいものがあるとすぐに使ってしまうかもしれません。親に預けると、使いたいときに自由に使えなくなりますし、もしかすると入用の際に使われてしまうかもしれません(悪意はないのですが)。
どちらにしても、家にお金を置いておくと利子は付きませんし、泥棒に盗まれるかもしれません。大人でしたら、ひとまず銀行に預けておきます。銀行は家よりもお金を盗まれる心配がありませんし、預けておくことで利子もつきます(今はとっても少ないですが・・・)。
ただし銀行に預けて親が出し入れする場合は、入金はよくても出金の際にいろいろと口うるさくチェックが入り、自由に出し入れできない可能性があります。これでは親に預けることと変わらないので、お金の知識がある程度備わったタイミングを見計らって、子供が自分で出し入れできるようにするとよいでしょう。
金融広報中央委員会「子供のくらしとお金に関する調査(第3回)」(2015年度)によると、ATMを利用したことが「ある」中学生は3割強、高校生は約6割います。キャッシュカードを「自分で保管している」のは中学生で約3割、高校生で約7割です。ただし中学生の場合は、約5割が「預けている人と一緒にATM に行って、利用する」ようです。もちろん使いすぎてしまうリスクはありますが、少額からスタートし、自分のお金のやりくりを経験させましょう。
未成年の子供の口座は開設時、管理上の注意が必要です
銀行口座は、犯罪に利用されることがあるため、最近では口座開設の際の本人確認が厳しくなっています。また原則1人1口座となっていますので、複数の口座を作ることはできません。
未成年者である子供名義の口座開設の際には、親(親権者)が代理人となり、親子関係を示す書類や本人確認書類などを持参して窓口に行く必要があります。未成年者の本人のみが窓口に行っても、手続きができないことがありますし、そもそも18歳未満の口座開設はできない金融機関もありますので注意が必要です。口座開設の際には、親子で一緒に窓口に行き、どうやって口座が開設されるのか、確認書類はなぜ必要なのか、どんな犯罪に利用される恐れがあるのかなども一緒に学んでみるとよいでしょう。
また無事口座が開設できたら、親のお金を入金しないように注意しましょう。親のお金を口座に入金していると贈与とみなされることがあります。あくまでも、子供から「貯蓄したい」と預かったお金や、「子供に使うように」ともらったお金だけを口座に入金しましょう。口座は本来本人が管理するものなので、子供が大きくなっても通帳やキャッシュカード、印鑑などを親が管理していると、税務上親の財産とみなされることもあります。
子供のころから正しいお金の知識を身に付け、きちんとお金と向き合うことが大事なのだと思います。お金を管理する責任と、使う際の意思決定には、子供の勇気だけでなく親の勇気も必要になってきますね。