4月から社会人になりました。大学の先輩に「社会人1年目は住民税がかからない」と言われましたがどういうことですか?
配信日: 2025.04.09

特に、「社会人1年目は住民税がかからない」という話を耳にすることがありますが、これは事実です。本記事では、その理由や住民税の仕組み、そして2年目以降の注意点について解説していきます。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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住民税とは?
住民税は、都道府県民税と市町村民税を(特別区民税)合わせたもので、地方自治体が提供する行政サービスの財源となる税金です。この税金は、前年の所得に基づいて課税される「所得割」と、所得に関係なく定額で課される「均等割」の2つから構成されています。
なぜ社会人1年目は住民税がかからないのか?
住民税は、前年の1月1日から12月31日までの所得に基づいて計算され、翌年に課税されます。そのため、学生であった前年に所得がなければ、社会人1年目(入社初年度)は住民税が課されません。
前年の所得が一定の基準以下であれば、住民税の納付義務は生じません。しかし、前年にアルバイトなどで一定以上の収入があった場合は、1年目から住民税が課税されることがあります。
社会人2年目から住民税の負担が始まる
社会人2年目になると、1年目の所得に基づいて住民税が課税されます。会社員や公務員などの給与所得者の場合、6月から翌年5月までの12ヶ月間、給与から天引きされる形で納付します。
これを「特別徴収」と呼び、会社が従業員に代わって税金を納める仕組みです。そのため通常は、2年目の6月以降は手取り額が減少することになります。
住民税の計算方法
住民税は、以下の2つの要素で構成されています。
・均等割
所得に関係なく定額で課される部分です。自治体によって異なりますが、一般的には年間4000円(道府県民税1000円+市町村民税が3000円)程度です。
なお、2024年(令和6年)度から、森林の多様な役割を支えるための整備費用をまかなう目的で森林環境税が導入されました。個人住民税の均等割と一緒に、1人あたり年額1000円が徴収されます。
・所得割
前年の所得金額に応じて課される部分です。標準的な税率は、10%(都道府県民税4%+市町村民税6%)とされています。ただし、各自治体によって税率が異なる場合があります。具体的な計算方法は、以下のとおりです。
(1)課税所得金額 = 年間所得 - 各種控除(基礎控除、社会保険料控除など)
(2)所得割額 = 課税所得金額 × 税率(10%)
(3)年間住民税額 = 均等割額 + 所得割額
例えば、課税所得が300万円の場合、所得割額は30万円となります。これに均等割額が上記の場合、4000円を加えた金額が年間の住民税額は30万4000円となります。
ただし、実際の計算では税額控除(ふるさと納税などの寄附金控除、住宅ローン控除など)なども考慮されるため、正確な金額は自治体からの通知で確認する必要があります。
住民税の徴収方法
住民税の徴収方法は、以下の2つに分かれます。
・特別徴収
会社員などの給与所得者が対象で、給与から毎月天引きされ、年12回(6月~翌年5月)で納める方法です。会社が従業員に代わって税金を納めるため、納税の手間が省けます。
・普通徴収
個人事業主やフリーランスといった給与所得以外の所得者が対象で、自分で納付書を使って納める方法です。納付は、年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて行うのが一般的ですが、一括払いも選択可能です。
社会人2年目以降の注意点
社会人2年目から住民税の負担が始まるため、手取り額が減少する場合があります。これにより、生活費や貯蓄計画に影響が出る可能性があります。そのため、以下の点に注意することが重要です。
1. 収支の見直し
上述のとおり、住民税によって手取り額が約10%減少する可能性があります。手取り額の減少を見越して、生活費や貯蓄計画を再検討しましょう。
2. 税金の知識を深める
所得税や社会保険料など、他の税金や控除についても理解を深めることで、適切な資金管理が可能となります。
3. 将来のための貯蓄
税負担を考慮し、早めに貯蓄や投資を始めることで、将来の経済的安定を図ることができます。
税金や社会保険料の仕組みを理解し、生活費や貯蓄計画を立てよう
社会人1年目は通常、住民税はかかりません。その理由は住民税が前年の所得に基づいて課税されるためです。ただし、学生時代にアルバイトなどで一定以上の収入があった場合には、社会人1年目でも住民税が課税されることがあります。
社会人2年目からは、1年目の所得に基づいて住民税が課税されます。通常、6月以降の給与から天引き(特別徴収)され、手取り額が減少します。このため、事前に住民税の仕組みを理解し、2年目以降の生活費や貯蓄計画を立てておくことが大切です。
また、住民税だけでなく、所得税や社会保険料なども給与から控除されるため、社会人としての資金管理能力を高めることも重要です。計画的な支出管理を心掛け、将来に向けた貯蓄や投資を少しずつ始めて、安定した社会人生活を送りましょう。
出典
総務省 個人住民税
港区 特別徴収・普通徴収とは何ですか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー