確定申告の申告書に誤りがあることが発覚! 確定申告の期間が過ぎてしまったら、もう訂正できないの?
配信日: 2025.04.14


執筆者:仁木康尋(にき やすひろ)
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント
人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。
申告期限後の手続き
確定申告期限後に誤りに気づいた場合の手続きは、それぞれのケースに応じて申告内容の訂正をします。
(1) 実際より多く税額を申告していた場合
納付すべき税額が過大に申告していた場合、還付される金額が過少に申告していた場合などが該当します。この場合には「更正の請求」ができます。
更正の請求は原則として、法定申告期限から5年以内に『更正の請求書』を所轄の税務署長に提出します。更正の請求書は、国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。
更正の請求書が提出されると、税務署でその内容を調査し、その請求内容が正当と認められたときは、減額更正(更正の請求をした方にその内容が通知されます)が行われ、納め過ぎた税金が還付されることになります。
(2) 実際より少なく税額を申告していた場合
確定申告書を提出した後で、税額を少なく申告していたことに気づいたときは、「修正申告」をして正しい税額に修正する必要があります。「修正申告」は、税務署から更正を受けるまではいつでもできますが、なるべく早く申告することを推奨します。
申告は下記の書類を所轄の税務署長に提出します。
(1) 令和4年分以降の所得税および復興特別所得税の修正申告をする場合
「申告書第一表」と「申告書第二表」
(2) 令和3年分以前の所得税および復興特別所得税の修正申告をする場合
「申告書B第一表」と「申告書第五表(修正申告書・別表)」
修正申告書は、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で作れます。
延滞税に注意
修正申告によって新たに納付することになった税額は、修正申告書を提出する日までに納めます。なお、この場合には、法定納期限《令和6年分は令和7年3月17日(月)》の翌日から完納日までの期間は延滞税がかかりますので、延滞税も納付します(注)。
その他、税務署の調査を受けた後で修正申告をしたり、更正を受けたりすると、新たに納めることになった税額のほかに、その税額の10%(原則)の過少申告加算税または35%(原則)の重加算税がかかりますので留意してください。
(注)令和7年中の延滞税の割合
■納期限の翌日から2月を経過する日まで・・・・・・【年2.4%】
納期限の翌日から2月を経過する日までの延滞税の割合は、年「7.3%」と「『延滞税特例基準割合』+1%」のいずれか低い割合を適用します。
■納期限の翌日から2月を経過した日以降・・・・・・【年8.7%】
納期限の翌日から2月を経過した日以降の延滞税の割合は、年「14.6%」と「『延滞税特例基準割合』+7.3%」のいずれか低い割合を適用します。
『延滞税特例基準割合』
各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における、銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として、各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。
令和6年11月29日に財務大臣が告示した割合は、年0.4%ですので、令和7年中の延滞税特例基準割合は、年1.4%です。詳しい延滞税の計算方法を知りたい方は、「延滞税の計算方法」(※)をご覧ください。
まとめ
確定申告期限後に誤りに気がついた場合には訂正は可能ですが、修正申告の場合には延滞税も加算されるますので、早めに対応をしましょう。
(※)国税庁 延滞税の計算方法
出典
国税庁 【申告が間違っていた場合】
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント