私も兄も「年収500万円」ですが、兄は結婚しています。「結婚しているほうが所得税や住民税が安い」と聞いたのですが、いくらくらい変わりますか?
今回は、独身世帯と夫婦世帯で同じ年収でも税額が変わる理由や、独身世帯でも適用される可能性がある控除などについてご紹介します。
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結婚していると税金が安くなるって本当?
同じ年収でも独身世帯と夫婦世帯で税額が変わるのは、夫婦世帯では配偶者控除が適用されるケースがあるためです。配偶者控除は、すべての夫婦に適用されるわけではなく、世帯主と生計を同じくする配偶者の所得が年間48万円以下の場合に適用されます。
給与収入のみなら年収103万円以下が目安です。これは、給与所得控除の最低額が令和6年度の時点で55万円のためです。もし年収が103万円だと「103万円-55万円」で所得が48万円となります。
控除額は世帯主の所得に応じて変動し、表1の通りです。
表1
| 世帯主の所得 | 控除額 |
|---|---|
| 900万円以下 | 38万円 |
| 900万超950万円以下 | 26万円 |
| 950万超1000万円以下 | 13万円 |
出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問) No.1191 配偶者控除」
控除により所得が低くなれば、その分課税される金額も少なくなるため、独身世帯よりも夫婦世帯の方が税額が安くなるケースがあります。
年収500万円の独身世帯と夫婦世帯の税額
今回は、世帯主がともに年収500万円のときの税額を比較しましょう。条件は以下の通りとします。
●世帯主が年収500万円
●東京都江東区在住40代
●夫婦世帯の配偶者は専業主婦
●健康保険は全国健康保険協会
●報酬月額は年収を12ヶ月で割った金額の約41万6667円
●ボーナスは考慮しない
●控除は社会保険料控除、給与所得控除、配偶者控除、基礎控除のみ
●社会保険料と各控除は令和6年度の金額
まず、年収500万円のときの社会保険料は76万5048円になります。また、給与所得控除額は144万円です。各金額を基にすると、独身世帯と夫婦世帯で税額は表2のように変わります。
表2
| 独身世帯 | 夫婦世帯 | |
|---|---|---|
| 配偶者控除 | なし | 38万円 |
| 所得税課税所得 | 231万4000円 | 193万4000円 |
| 所得税率(控除額) | 10%(9万7500円) | 5%(0円) |
| 所得税額 | 13万3900円 | 9万6700円 |
| 住民税課税所得 | 236万4000円 | 198万4000円 |
| 住民税所得割+均等割 | 10%+5000円 | |
| 住民税額 | 24万1400円 | 20万3400円 |
※筆者作成
所得税の差は3万7200円、住民税の差は3万8000円と、合計7万5200円の差があります。
独身世帯でも申請すれば適用される控除がある
独身世帯でも条件に合致していれば適用される控除があります。
例えば、医療費控除は医療費の年間負担分が基準値を超えていると適用される控除です。生計を同じくする親族のために支払った医療費も合算できます。
医療費控除で所得から差し引ける金額は「1年間の医療費の支払った金額-保険金や制度による補填金-10万円(所得が200万円未満のときは自身の所得の5%の金額)」です。最大200万円まで控除できるので、病院に行く機会の多かった方は利用すると節税につながります。
また、生命保険に加入している場合、支払っている年間の保険料額によって、生命保険料控除として最大12万円の控除が可能です。
ただし、医療費控除は確定申告、生命保険控除は年末調整か確定申告で申告をしないと、適用されないため注意が必要です。
年収500万円だと約7万5000円の差になる可能性がある
配偶者控除があると、最大38万円(住民税は33万円)が世帯主の所得から控除できます。そのため、状況によっては同じ年収の独身世帯よりも夫婦世帯の方が税額が安く、手取りは多くなる可能性があるでしょう。
今回のケースだと、同じ年収でも独身世帯と夫婦世帯で税額には7万5200円の差がありました。
ただし、独身世帯でも条件に合っていれば医療費控除や生命保険料控除などが適用される可能性があります。少しでも節税したいときは、条件の合う控除がないか調べてみるといいでしょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1191 配偶者控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
