専業主婦の妻と2人暮らし「年収700万円」ですが、来年から高齢の母と同居する予定です。扶養控除が適用されると聞いたのですが、税金はどのくらい安くなりますか?

配信日: 2025.05.01 更新日: 2025.07.02
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専業主婦の妻と2人暮らし「年収700万円」ですが、来年から高齢の母と同居する予定です。扶養控除が適用されると聞いたのですが、税金はどのくらい安くなりますか?
自身の子育てが落ち着いたり親が高齢になったりといった理由で、同居を検討する方もいるでしょう。もし親と同居をすると、条件を満たしていれば税金が安くなる可能性があります。
 
ただし、親と同居するときは夫婦と親、当事者それぞれの意思確認が大切です。今回は、親と同居すると税金が安くなる理由や、同居するときの注意点などについてご紹介します。
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高齢の母親と暮らすと扶養控除が適用される場合がある

母親や父親の生活を支えるようになると、条件に当てはまっていれば扶養控除が適用されます。さらに、扶養控除の対象となった親が12月31日時点で70歳以上であれば、老人扶養親族控除が適用されるでしょう。ただし、老人扶養控除は年齢に加えて以下の条件すべてに該当している必要があります。
 

・配偶者以外の親族や市町村長から養護を委託された老人であること
・納税者本人と生計を一にしていること
・年間の合計所得が48万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

 
所得税の場合、老人扶養親族のうち、自身や配偶者の直系尊属(父母や祖父母など)で一緒に暮らしているのであれば控除額は58万円、暮らしていなければ48万円です。
 
住民税では、一緒に暮らしている直系尊属の老人扶養親族は控除額が45万円、暮らしていなければ38万円が控除されます。
 
なお、配偶者とも暮らしているときは、老人扶養親族控除のほかに配偶者控除も適用される場合があります。配偶者控除の金額は控除を受ける納税者本人の合計所得金額に応じて決められており、以下の通りです。
 

・所得900万円以下:38万円
・所得900万超950万円以下:26万円
・所得950万超1000万円以下:13万円

 
配偶者控除の条件は「本人の配偶者」「同一生計」「年間の所得が48万円以下」のすべてに該当していることです。
 

母親との同居前後で税額はどう変わる?

母親と同居すると控除額が増えるため所得が減り、本人にかかる税金も少なくなります。本人の年収が700万円だった場合で、親との同居前後で税額がいくら変わるかを求めましょう。条件は以下の通りです。
 

・同居する母親は70代
・同居前の生計は別とする
・世帯主夫婦は40代
・妻は専業主婦
・東京都江東区在住
・全国健康保険協会の健康保険を利用
・年収を12ヶ月で割った約58万3333円を報酬月額とする
・賞与は考慮しない
・控除は給与所得控除、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除のみ
・各控除と社会保険料は令和6年度の金額

 
まず、年収700万円、報酬月額58万3333円のときの社会保険料は109万9752円、給与所得控除は180万円になります。条件を基にしたとき、税金の差は表1の通りです。
 
表1

母と同居前 母と同居後
配偶者控除 38万円
所得税老人扶養控除 58万円
所得税課税所得 324万円 266万円
所得税率、控除額 10%、9万7500円
所得税額 22万6500円 16万8500円
住民税扶養控除 45万円
住民税課税所得 329万円 284万円
住民税所得割+均等割 10%+5000円
住民税額 33万4000円 28万9000円

※筆者作成
 
今回のケースだと、母親と同居することで所得税5万8000円、住民税は4万5000円合計10万3000円安くなります。
 

親と同居を決めるときの注意点

親と同居するかは、必ず夫婦と親とで意思確認をしましょう。誰かが同居を望んでいない状態で同居を決めても、あとでトラブルにつながる可能性があります。
 
また、話し合いの結果同居するとなったときは、同居するにあたって守りたいルールを決めておきましょう。親と夫婦の生活スタイルが同じとは限りません。食費を始めとする金銭面での負担が増えるので、増えた分を親に自己負担してもらうのか、支援するのかも決めた方がいいでしょう。
 
高齢の親と同居するときは、かかりつけの病院も聞いておきましょう。親に何かあったときに相談できる場所が必要なためです。
 

年収700万円だと親との同居で税金が10万円以上安くなる可能性がある

高齢の親と同居すると、老人扶養控除の対象になるため、課税対象になる所得額が減少します。そのため、税金の負担は軽くなるでしょう。今回のケースだと、親との同居で合計10万3000円安くなる計算です。
 
しかし、親と同居するときは必ず夫婦間、親子間で本当に同居して問題がないのか意思確認をしましょう。また、同居後もトラブルを防ぐため、生活するうえでのルールや親に負担してもらうことなども決めておくことがおすすめです。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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