パート勤めで「年収90万円」の私。「年収の壁」が見直されたらもっと働いても課税されないですか?

配信日: 2025.05.06 更新日: 2025.07.02
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パート勤めで「年収90万円」の私。「年収の壁」が見直されたらもっと働いても課税されないですか?
年収の壁とは、税金や社会保険料の負担が増える年収のボーダーラインを表す言葉です。
 
生活に影響が出ないように働き控えをする人もいますが、年収の壁が見直された場合は家計への影響を考えずに働けるようになるのでしょうか。本記事では、税制改正関連法案の修正案の概要や年収の壁を解説します。
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課税される最低ラインの年収は「160万円」に引き上げに

2025年3月4日、103万円の壁の引き上げを含む税制改正関連法案の修正案が衆議院を通過しました。3月31日には、2025年度の税制改正関連法が衆議院本会議で可決・成立しています。
 
これにより、基礎控除と給与所得控除がそれぞれ10万円引き上げられ、所得税がかかる年収の基準が123万円となりました。また、低・中所得者の税負担を軽減させるため、所得税の基礎控除の特例も創設されています。
 
自由民主党・公明党の資料を基に、基礎控除の特例により引き上げられる金額を表1にまとめました。
 
表1

年収 基礎控除額
約200万円以下 +37万円
約200万~約475万円 +30万円
約475万~約665万円 +10万円
約665万~約850万円 +5万円

出典:自由民主党・公明党「基礎控除の特例の創設について」を基に筆者作成
 
これにより、所得税が課税される最低ラインの年収は160万円に引き上げられました。また、年収約200万円以下の基礎控除額の上乗せは恒久的な措置として実施されます。一方、年収約200万~約850万円の基礎控除額の上乗せは2025・2026年でのみ適用される措置となっています。
 

特定扶養控除にかかわる子どもの年収要件は「150万円」に

特定扶養控除とは、その年の12月31日時点での年齢が19歳以上23歳未満の子どもを扶養する特定の世帯が受けられる控除です。税制改正関連法案の修正案では、特定扶養控除にかかわる子どもの年収要件も103万円から150万円に引き上げられています。
 
また、収入が増えても世帯としての手取りが減らないように、子どもの年収が150万円を超えた場合も控除額を段階的に減らす方針です。2025年1月から適用され、年末調整での対応が予定されています。
 

働き方を見直す場合は「社会保険」の加入要件に注意が必要

所得税が課税される最低ラインの年収は引き上げられますが、106万円の壁や130万円の壁には引き続き注意しながら働く必要があります。
 
106万円の壁とは、健康保険・厚生年金保険への加入義務が生じる年収の目安です。第24回社会保障審議会年金部会では、2026年10月をめどに106万円の壁を撤廃する案が示され、大筋で了承されています。
 
しかし、労働時間の要件は撤廃されないため、賃金の額にかかわらず健康保険・厚生年金保険に加入する義務が生じるかもしれません。
 
また、130万円の壁とは国民健康保険・国民年金の保険料の支払いが発生する年収のボーダーラインです。現状、130万円の壁を撤廃するめどは立っていません。
 

まとめ

税制改正関連法の可決・成立により、所得税が課税される最低ラインの年収が160万円に引き上げられました。また、特定扶養控除にかかわる子どもの年収要件も103万円から150万円に引き上げられています。
 
ただし、106万円の壁や130万円の壁は撤廃されていないため、年収や労働時間には引き続き注意しながら働く必要があるでしょう。年収の壁を見直す議論は所得税・社会保険の両分野で検討されているため、引き続き注視する必要があります。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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