祖母から相続した家を「2000万円」で売却することになりました。税金はどれくらいかかりますか?

配信日: 2025.05.14 更新日: 2025.07.02
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祖母から相続した家を「2000万円」で売却することになりました。税金はどれくらいかかりますか?
遺産分割の内容によっては、現金だけでなく家を相続することもあります。しかし、相続しても住む予定がないときは、売却も選択肢の1つです。
 
家を売るときは、控除が適用されないかをよく確認しておきましょう。今回は、相続した家を売るときにかかる税金や、適用される控除などについて紹介します。
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相続した家を売るときにかかる税金とは

家を売却した場合にかかる所得は「譲渡所得」と呼ばれ、所得税や住民税がかかります。国税庁によると、譲渡所得に課税される金額の計算式は「収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」です。
 
収入金額は、家を売ったときに実際に受け取った金額を指します。現金の代わりに宝石や何かの権利などをもらった場合は、その宝石や権利の時価が収入として判断されるので、注意しましょう。
 
取得費はその家を入手するために必要となった費用、譲渡費用は家を売るにあたってかかった費用です。なお、特別控除額は状況によって適用される控除で、以下の8種類になります。


・収用等により土地建物を譲渡した
・マイホームを譲渡した
・被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した
・特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した
・特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した
・平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した
・農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した
・低未利用土地等を譲渡した

 

相続した家を売るときに適用される控除

相続した家を売るときに控除が適用される条件は以下の通りです。


・相続した家を平成28年4月1日~令和9年12月31日の間に売却した
・昭和56年5月31日以前に建てられた
・区分所有建物登記されていない
・相続開始直前で被相続人以外に誰も住んでいなかった
・相続や遺贈で家を相続した
・相続から売るときまで家を事業や貸付などに利用していない
・売る時点で一定の耐震基準を満たしている
・相続が始まって3年を過ぎる日が属する年の12月31日までに売却済み
・売れた金額が1億円以下である

条件を満たしていれば、譲渡所得から最大で3000万円の控除を受けられます。ただし、令和6年1月1日以降で家の相続人数が3人以上であれば最大2000万円です。
 

2000万円で売れると譲渡所得はいくらになる?

今回は、特別控除の適用の有無による税額の差を比較しましょう。譲渡所得は分離課税のため、譲渡所得のみで所得税額を計算します。条件は以下の通りです。


・相続から4年後に売却(特別控除以外の控除はない)
・相続人数は一人
・売却金額は2000万円
・売却にあたって費用はかかっていない
・復興特別所得税も課税される

譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の土地・建物を売却したときは「短期譲渡所得」として扱われ、所得税率は30%となります。
 
本事例は相続から4年後のため、この短期譲渡所得の税率が適用されるため、所得税は2000万円×税率30%=600万円です。復興特別所得税は税率が2.1%のため42万円、短期譲渡所得の場合の住民税は9%で180万円になります。そのため、特別控除が適用されないケースの税額の合計は822万円です。
 
一方、もし特別控除が適用されると、3000万円の控除を受けられるため、売却価額よりも控除額が大きいことになります。つまり、譲渡所得にかかる税金はありません。
 

特別控除が適用されれば課税されない可能性がある

相続した家を売ると、譲渡所得として所得税や住民税の課税対象です。取得してから5年以内に売った場合は短期譲渡所得として、30%の所得税と9%の住民税、2.1%の復興特別所得税がかかります。
 
しかし、相続した家を売る場合、一定の条件を満たしていれば特別控除の対象です。特別控除が適用されると、2000万円で売却したときは課税されないでしょう。売却前には控除の条件を確認し、有利な形で手続きを進めることが大切です。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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