新卒2年目で昇給をしましたが「手取り額」が減っています。1年目より稼げると思ったのに、なぜ手取りが低くなったのでしょうか?
本記事では、昇給しても手取りが減る理由を詳しく解説し、給与明細の確認方法についても説明します。
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
手取りが減る主な理由は、引かれるものも増えるから!
昇給しても手取りが減る理由はいくつかあります。その中の1つは単に「控除が増えるから」という理由です。日本は「累進課税」という考えに基づき、所得に課税されています。そのため、所得が高い人ほど高い税率や税額となることが基本となっています。
国税庁によると、例えば所得税であれば、所得が194万9000円までであれば税率が5%となります。しかし、そこから1000円でも上がり195万円となると、税率は10%(控除額は9万7500円)と一気に上がります。また、厚生年金保険料額も似たように、段階的に上がります。
例えば、毎月の給与が22万8000円から23万円となり、2000円の昇給をしたとしましょう。すると、厚生年金の保険料額は等級が1つ上がり、2万130円から2万1960円となります。昇給分は、厚生年金保険料の増加分とほぼ同等です。
このように、主に所得税の税率や厚生年金保険料の等級などが上がることで、手取り以上に負担が増え、手取りが減るのです。
見落としがちなのは住民税
手取りが減る原因として見落としがちな点には、住民税があります。住民税は今の所得に対する所得税や社会保険料と異なり、前年の所得に基づき発生します。
基本的に新卒1年目の多くは前年が学生であり、扶養内で働くことが想定されることから、住民税が発生しない状態にあると思われます。そのため、新卒1年目の状態では住民税が控除されていない状態が一般的でしょう。
しかし、2年目からは前年の所得、すなわち新卒1年目の所得に基づいて課税されます。住民税は、年間所得の10%程度が基準となり、6月から翌年5月までの12回に分けて控除されます。このため、昇給して額面給与が増えても、住民税の控除によって手取り額が減少することがあるのです。
具体的にどんな理由で手取りが減ったのか、確認する方法
手取りが減った理由は、個別の事情によって異なります。そのため、正確に理由を知るためには、給与明細を確認することが重要です。具体的には、基本給の増加額と昇給分がそれぞれどれほどあるかを確認します。
その上で、社会保険料、所得税、住民税がどれだけ控除されているかを確認します。最後に、会社独自の福利厚生費や積立金の額が増えていないかなどを確認しましょう。
そうすることで、手取りが増えたことに連動し、どのような項目の控除が増え、結果的に手取りが減少しているか、知ることができます。
まとめ
新卒2年目で昇給しても手取りが減る原因は、主に社会保険料や所得税、住民税の増加です。特に住民税の課税開始や社会保険料の増加は、新卒2年目に手取りが減る大きな要因といえそうです。
とはいえ、昇給したにも関わらず手取りが減るケースの原因は、給与明細から控除の内訳を確認することでしか正確には把握できません。
もし、どうしても気になるということがあれば、給与明細を確認の上、雇用主に確認してみるとよいでしょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2260 所得税の税率
執筆者:柘植輝
行政書士
