ふるさと納税の「返礼品」の要件が厳しくなると聞きました。現在もなにか決まりがあるのでしょうか?

配信日: 2025.05.18 更新日: 2025.07.02
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ふるさと納税の「返礼品」の要件が厳しくなると聞きました。現在もなにか決まりがあるのでしょうか?
「この商品って地元の特産品になるの?」ふるさと納税の返礼品に、そんな矛盾を感じたことはありませんか?
 
総務省もそのような「なんちゃって地場産品」に対し、規制に乗り出しました。いま制度に何が起きているのか、現状と背景を追ってみましょう。
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返礼品の「還元率」は30%が上限? 制度の背景とルール

ふるさと納税は、自治体に寄附をすると返礼品がもらえる魅力的な制度です。
 
ところが、過度な競争により、旅行券やギフト券など「地元の特産品」とは関係のない返礼品を用意したり、過剰な還元率の返礼品を出す自治体が現れたりなど、さまざまな問題が発生したようです。
 
このため、総務省は制度の健全化を図ろうとし、2019年6月に以下のルールを導入しました。


(1)寄附金の募集を適正に実施する地方団体をふるさと納税(特例控除)の対象とする

(2)((1)の地方団体で)返礼品を送付する場合には、以下のいずれも満たす地方団体
・返礼品の返礼割合を3割以下とする
・返礼品を地場産品とする

これにより、金券や家電製品など、地元と関係の薄い返礼品の排除が進められました。
 

総務省が問題視する「ロゴ貼付」返礼品とは?

ふるさと納税の返礼品をめぐり、総務省は新たに厳格な方針を示しています。特に問題視されているのは、他地域で製造された製品に自治体のロゴや名前を付けただけの返礼品です。
 
こうした品は、実質的に地元のPRにはつながらず、制度の趣旨に反すると判断されています。総務省は、地元のPRに資すると認められる場合に限り、他地域で製造・加工された製品でも例外的に返礼品として認めています。


・当該地方団体のゆるキャラグッズ
・当該地方団体をPRするためのオリジナルのポストカード
・当該地方団体をホームとするスポーツチームの応援グッズ

しかし、実際には他地域で製造された飲料品やアウトドア用品に自治体名を記載しただけの返礼品も存在し、これらが問題となっています。
 
2024年度には、例外扱いの返礼品が約1万2000品目に上るとされており、その中には問題視される事例も多数含まれていました。
 

還元率の高い返礼品は違反? 市場価格と仕入れ値の違い

ふるさと納税の返礼品には「還元率」という指標があります。これは、寄附の金額に対する返礼品の価値を知るためのもので、以下のように計算されます。
 
還元率(%)=返礼品の市場価格÷寄附金額×100
 
例えば、1万円の寄附に対して市場価格5000円の返礼品が届いた場合、還元率は50%となります。しかし、総務省が定める30%の上限は、返礼品の仕入れ値を基準としているため、市場価格ベースの還元率が30%を超えていても、仕入れ値が30%以下であれば問題ないようです。
 

まとめ

ふるさと納税制度は、寄附者にとって魅力的な返礼品を提供する一方で、地域の活性化を目的としています。総務省のルール改正や要件の厳格化は、制度の健全化を図るためのものです。しかし、これにより地域の特色を生かした返礼品の開発や、地元産業の振興が促進される可能性もあります。
 
寄附者としては、還元率だけでなく、返礼品が地域の魅力を反映しているかどうかにも注目することで、より意義のあるふるさと納税が実現できるでしょう。
 

出典

総務省 ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税にかかる指定制度について
総務省 ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&Aについて(通知)(17ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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