先月の入院手術で「100万円」の医療費を負担しました。「高額療養費制度」と「医療費控除」は併用できますか?

配信日: 2025.05.20

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先月の入院手術で「100万円」の医療費を負担しました。「高額療養費制度」と「医療費控除」は併用できますか?
入院手術で「100万円」など、多額の医療費を支払わなければならなくなった場合には、高額療養費制度や医療費控除などを利用することで負担を軽減できます。しかし、この2つの制度は併用できるのでしょうか。
 
本記事では、高額療養費制度と医療費控除の併用の可否や対象となる医療費、申請方法を解説します。
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「高額療養費制度」と「医療費控除」は併用できる

高額療養費制度と医療費控除は併用可能です。ただし、その場合は医療費控除額が下がります。
 
国税庁によると、医療費控除の対象となる金額は以下の計算式で求められます。

・(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%の金額)

この計算式のうち、保険金などで補てんされる金額には健康保険などから支給される高額療養費が含まれるため、高額療養費として支給を受けた金額は除かれます。
 
厚生労働省によると、高額療養費制度とは医療機関や薬局で支払った1ヶ月あたり(月初めから月末まで)の金額が上限額を超えた場合、超えた分の金額を支給する制度です。
 
一方、国税庁によると医療費控除は、所得税・住民税の算定において自分や自分と生計を一にする配偶者・その他の親族のために支払った医療費が一定額を超える場合に受けられる所得控除とされています。高額療養費制度は医療費の払い戻し、医療費控除は所得控除という点で異なります。
 

「高額療養費制度」と「医療費控除」では対象となる医療費が異なる

高額療養費制度と医療費控除では、対象となる医療費が異なります。厚生労働省によると、高額療養費制度の対象となるのは保険適用される診療に対して患者が支払った自己負担額です。
 
一方、医療費控除には保険適用外の医療費が含まれるケースもあります。国税庁によると、医療費控除の対象となる医療費は入院時の食事代や通院にかかった交通費、出産に伴う一般的な費用や自由診療となる一部の歯科治療などです。
 

「高額療養費制度」や「医療費控除」の申請方法

高額療養費制度と医療費控除とでは申請方法も異なります。各制度の申請方法は以下の通りです。
 
・高額療養費制度
 
医療費の支払い後、加入している公的医療保険に高額療養費の支給申請書を提出もしくは郵送することで支給を受けられます。また、医療機関などの窓口にマイナ保険証を提出し、「限度額情報の表示」に同意することで、医療機関窓口での1ヶ月の支払いが最初から自己負担上限額までとなります。
 
ただし、これはオンライン資格確認を導入している医療機関のみです。導入していない医療機関を受診する場合やマイナ保険証未登録の場合は、健康保険証と併せて「限度額適用認定証」の提出が必要です。
 
・医療費控除
 
確定申告の際に「医療費控除の明細書」を添付し、税務署へ確定申告書を提出することで、医療費控除を受けられます。その年の1月1日~12月31日に発生した医療費が対象で、申請期限は翌年の確定申告期間(通常は2月16日~3月15日)です。
 
また、納めすぎた税金の還付を受ける還付申告を行えば、5年間までさかのぼって申告できます。国税庁によると、還付申告書は確定申告期間にかかわらずその年の翌年1月1日から5年間提出可能です。
 

まとめ

高額療養費制度と医療費控除は併用できますが、医療費控除額の算出の際に、高額療養費として支給を受けた金額が除かれます。また、高額療養費制度は保険適用される診療に対して患者が支払った自己負担額が対象ですが、医療費控除は保険適用外の医療費が一部含まれるケースもあります。
 
高額療養費制度を申請する場合は加入している公的医療保険に高額療養費の支給申請書を提出するか、マイナ保険証や限度額適用認定証を医療機関などの窓口に提示することで、医療機関窓口での支払いが最初から自己負担上限額までとなります。医療費控除を申請する場合は確定申告の際に「医療費控除の明細書」を添付して、確定申告書を提出しましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1122 医療費控除の対象となる医療費
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2030 還付申告
厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)(3ページ、9ページ、10ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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