60歳の夫が退職を控えています。「退職金のふるさと納税」は注意が必要と聞きましたが、なぜですか?

配信日: 2025.05.23 更新日: 2025.07.02
この記事は約 3 分で読めます。
60歳の夫が退職を控えています。「退職金のふるさと納税」は注意が必要と聞きましたが、なぜですか?
60歳で退職を迎える方にとって、退職金の受け取りとふるさと納税の活用は重要な関心事です。しかし、退職金を受け取った年にふるさと納税を行う際には、いくつかの注意点があります。本記事では、退職金とふるさと納税の関係について詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

退職金を受け取っても、ふるさと納税の控除上限額は大幅に増えない

ふるさと納税の控除上限額は、その年の課税所得(総所得金額等)をもとに計算されます。一般的に、収入が増えると控除上限額も増えると考えられがちですが、退職金の場合は事情が異なります。
 
退職金は「退職所得」として扱われ、他の所得とは分けて課税される「分離課税」の対象です。さらに「退職所得控除」という大きな控除が適用されるため、退職金を受け取っても、課税所得として反映される金額は限定的です。
 
「退職所得控除額」は以下の計算式で求められます。

●勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数
※80万円に満たない場合は、控除額は80万円
●勤続年数が20年超の場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

例えば、勤続年数が30年の場合、退職所得控除額は1500万円となります。さらに、退職金から退職所得控除額を差し引いた金額の1/2が課税対象となります。
 
このように、退職金は税制上大きな優遇措置があるため、受け取った年の課税所得はそれほど増えず、ふるさと納税の控除上限額も大幅には上がらないことが一般的です。
 

退職金にかかる住民税はふるさと納税の控除対象外

ふるさと納税による税金の控除は、所得税と住民税の両方に適用されます。しかし、退職金にかかる住民税は「現年分離課税」として、退職金の支給時に源泉徴収されます。このため、退職金にかかる住民税は、ふるさと納税の控除対象外となります。
 
つまり、退職金に対してふるさと納税を行っても、住民税の控除を受けることはできません。そのため、退職金を受け取った年にふるさと納税を行う際には、控除の対象となる税金が限定的であることを理解しておく必要があります。
 

退職金を年金形式で受け取る場合の注意点

退職金を一時金ではなく、年金形式で受け取る場合は、「公的年金等控除」の対象となります。この場合、退職金は「雑所得」として扱われ、他の所得と合算されます。そのため、ふるさと納税の控除上限額に影響を与える可能性があります。
 
しかし、退職後は収入が減少することが一般的であり、結果としてふるさと納税の控除上限額も低くなる傾向があります。そのため、退職金を年金形式で受け取る場合でも、ふるさと納税の控除上限額が大幅に増えることは期待できません。
 

まとめ:退職金とふるさと納税の関係を正しく理解しよう

退職金を受け取った年にふるさと納税を行う際には、以下の点に注意が必要です。

●退職金は他の所得と分離して課税されるため、ふるさと納税の控除上限額に大きな影響を与えない。
●退職金にかかる住民税は源泉徴収されるため、ふるさと納税の控除対象外となる。
●退職金を年金形式で受け取る場合でも、収入の減少によりふるさと納税の控除上限額が低くなる可能性がある。

これらの点を踏まえ、退職金を受け取った年のふるさと納税は、控除の対象となる税金や控除上限額を正しく理解し、計画的に行うことが重要です。不明点がある場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
 

出典

国税庁 No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)
国税庁 退職金と税
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問