“歯並び”の矯正は「医療費控除」の対象になる?対象外になるのはどのような場合?

配信日: 2025.06.04 更新日: 2025.07.02
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“歯並び”の矯正は「医療費控除」の対象になる?対象外になるのはどのような場合?
歯並びを整える歯列矯正は見た目の印象を左右するだけでなく、かみ合わせや発音、顎関節への負担など、健康にもかかわる治療です。歯列矯正を受ける際に、矯正治療にかかる費用が気になる方もいるでしょう。
 
医療費控除を活用すれば、場合によっては治療にかかる負担を軽減できる可能性がありますが、必ずしもすべての矯正治療が医療費控除の対象になるわけではありません。
 
そこで本記事では、医療費控除の対象となる矯正治療の条件や、対象外となるケースについて解説します。
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歯列矯正は医療費控除の対象になる?

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費の合計が10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)を超えた場合に、超えた分について所得控除を受けられる制度です。自己または生計を一にする家族のために支払った医療費が対象になります。
 
歯列矯正の中でも、発育段階にある子どもの不正咬合の治療など、歯列矯正が必要と認められるものについては控除の対象となります。治療のための通院費も医療費控除の対象です。
 
一方で、単に歯並びをよくしたい、笑顔に自信を持ちたいなど、美容や審美目的で矯正を受けた場合は医療費控除の対象にはならない可能性が高いでしょう。
 

歯列矯正の費用相場

矯正治療にはさまざまな種類があり、どの治療を受けるかによって費用も大きく異なります。主な矯正治療方法と費用相場は、次の通りです。なお、クリニックや地域によって費用には幅がありますので、以下の金額はあくまで参考としてご確認ください。
 

【ワイヤー矯正(表側矯正)】

●費用相場:約55〜110万円
●古くからある矯正治療の方法で、歯の表側にブラケットとワイヤーを取り付けます。

 

【裏側矯正(リンガル矯正)】

●費用相場:約80〜170万円
●歯の裏側に装置をつけるため目立ちにくい反面、費用が高額になります。

 

【マウスピース矯正】

●費用相場:約55〜100万円
●透明なマウスピースを装着して歯を少しずつ動かす矯正法で、取り外しが可能です。

 

医療費控除の計算方法

医療費控除を受けるためには、医療費を支払った翌年に確定申告をする必要があります。給与所得者であっても、年末調整では申告できないため注意しましょう。ここでは、医療費控除の計算方法を以下の条件で確認していきます。

●1年に支払った治療目的の歯列矯正費用:100万円
●ドラッグストアで買った薬代:1万円
●保険金で補てんされた金額:3万円
●年間の給与収入:400万円
●課税所得:165万円

上記条件の場合、控除の対象となる医療費は100万円+1万円-3万円-10万円で88万円です。
 
還付金は、医療費控除の対象となる医療費に個人の所得に応じた所得税率をかけて算出します。今回は課税所得165万円のため、88万円に所得税率である5%をかけると、還付金は4万4000円になる計算です。
 
ただし、実際の還付金額は個々の収入や扶養の有無、医療費やそのほかの控除額によって大きく異なります。今回の結果は目安として参考にしてください。
 

治療目的ではなく審美目的の場合は対象外になる

歯科矯正が医療費控除の対象になるかは、その矯正が医療上必要な治療かどうかが重要なポイントです。子どもの矯正は、成長期にかみ合わせや骨格の異常を改善する目的があるため、対象となりやすい傾向があるようです。
 
一方で、大人の矯正でも咬合不全や歯並びの改善による虫歯・歯周病予防など、治療を目的として行うものであれば、医療費控除が認められる可能性があります。
 
医療費控除を受ける際は、領収書や明細書などの書類をきちんと保管し、忘れずに確定申告をしましょう。制度のしくみを正しく理解して、適切に活用することで、治療を前向きに進めやすくなるでしょう。
 

出典

国税庁 No.1120医療費を支払ったとき(医療費控除)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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