子どもの歯列矯正治療に「100万円」かかりました。医療費控除でいくらかえってきますか?
この記事では、医療費控除の基礎知識や申告方法とともに、歯列矯正治療後の医療費控除額についてシミュレーションします。
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ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
医療費控除とは
年間(その年の1月1日~12月31日)で支払った医療費が一定の範囲を超える場合、確定申告を行うことで200万円を上限に医療費控除が適用されます。実際の治療費だけでなく、通院費や入院費用も含まれます。
また、国税庁によれば、「歯科医師による診療または治療の対価で、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」も医療費控除の対象となります。
審美歯科では医療費控除が受けられない
すべての歯列矯正が医療費控除の対象になるわけではありません。歯列矯正の場合、医療費控除の対象となるのは「生活改善のため必要と判断される施術」に限られます。
具体例は以下の通りです。
・噛み合わせが極端に悪く発音が不明瞭
・食べ物が充分に噛めない など
ただし前述の通り、一般的に支出される水準を著しく超えるような特殊な治療は医療費控除の対象になりません。矯正器具の素材などによっては医療費控除が認められないケースもあるため、治療の内容について歯医者の先生にあらかじめ確認しておきましょう。
医療費控除額の計算方法
国税庁によると、医療費控除額の計算式は以下の通りです。
・控除額=実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-10万円(※)
※その年の総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%の金額
ここでは以下のモデルケースを基に、歯列矯正の医療費控除額と還付金額をシミュレーションしましょう。
・家族構成:父、母、子ども(5歳)
・年末調整時点での課税所得金額:500万円
・年末調整時点での所得税額:500万円×20%-42万7500円=57万2500円
・実際に支払った年間医療費の合計額:100万円
・保険金などの補てん額:0円
・医療費控除額:100万円-0円-10万円=90万円
・医療費控除を適用した場合の課税所得金額:500万円-90万円=410万円
・所得税額:410万円×20%-42万7500円=39万2500円
モデルケースでは医療費控除額が90万円、還付金は57万2500円-39万2500円=18万円となります。
なお、令和19年までは「復興特別所得税」として、原則その年分の基準所得税額の2.1%を併せて納付する必要があるため、実際の還付金額は上記と異なります。
医療費控除の申告方法
源泉徴収をされている会社員であっても、医療費控除の適用には確定申告が必要です。その際、1年分の「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付しなければなりません。また、確定申告期限などから5年を経過する日までの間、医療費の領収書の提示や提出を求められる場合があるため、保管しておきましょう。
確定申告の期間は原則、医療費を支払った翌年の2月16日~3月15日(土日祝日の場合は次の平日)です。忘れずに申告しましょう。
1年間に支払った医療費が10万円以上であれば医療費控除が受けられる
年間(その年の1月1日~12月31日)の医療費が総額で10万円を超える場合、200万円を上限に医療費控除が適用でき、所得控除を受けることができます。
歯列矯正治療では、治療を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて、歯列矯正が必要と認められる場合の費用は医療費控除の対象となります。審美歯科(見た目を良くするための施術)は対象とはなりません。また、一般的に支出される水準を著しく超えるようなものも医療費控除の対象にならないため注意しましょう。
医療費控除の適用は確定申告で行い、「医療費控除の明細書」の添付が必要です。確定申告の期間は医療費を支払った翌年の2月16日~3月15日となります。数万円~数十万円の還付が受けられるケースもあるので、対象となる場合は、期限に間に合うよう準備しておきましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
