住んでいる市には「特産品」がないので、「ふるさと納税の人気ランキング」ではいつも圏外です…。他の市町村に寄付金が流れていそうですが、「市の財政」は大丈夫なのでしょうか?

配信日: 2025.06.18 更新日: 2025.07.02
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住んでいる市には「特産品」がないので、「ふるさと納税の人気ランキング」ではいつも圏外です…。他の市町村に寄付金が流れていそうですが、「市の財政」は大丈夫なのでしょうか?
「ふるさと納税」を利用して寄付先の市町村を選ぶ際、特産品は大きな魅力のひとつです。
 
例えば、宮崎県都城市や北海道紋別市などでは、牛肉や海産物などおいしい名産品が豊富で、人気の寄付先となっています。全国各地の名産品を取り寄せて楽しむことができるのは、ふるさと納税の大きな魅力のひとつです。
 
しかし、住んでいる地域に特産品があまりない場合、ふるさと納税の人気ランキングで上位に食い込むのは少し難しいかもしれません。
 
特産品に恵まれない自治体では、寄付金が他の地域に流れやすく、その影響で地域の財政に不安を感じる方もいるのではないでしょうか。今回は、その影響について詳しく見ていきます。
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ふるさと納税で注目される「特産品」 人気ランキングで上位に入らない自治体の苦悩

ふるさと納税の仕組みでは、寄付先に応じた返礼品が受け取れるため、魅力的な特産品を提供している自治体には多くの寄付が集まります。
 
例えば、都城市は「宮崎牛」や「豚肉」、紋別市は「ホタテ」や「カニ」など、豪華な返礼品を提供しており、ふるさと納税の人気ランキングでは常に上位に名を連ねています。
 
一方、特産品が少ない自治体では、寄付が集まりにくく、寄付金が他の市町村に流れていく傾向にあります。
 
総務省によると、ふるさと納税で流出した住民税の多くは、地方交付税制度により補填される仕組みとなっていますが、その補填の限界や他の影響もあるため、自治体の財政にとっては依然として課題があります。
 

地方交付税での補填制度と地方財政の安定

地方交付税制度は、財源が不足している自治体が安定した行政サービスを提供できるように、国から地方公共団体に交付される資金です。ふるさと納税で住民税が流出した場合、その75%が国から補填されるため、財政への急激な影響はある程度緩和されています。
 
しかし、この補填制度はあくまで流出額の75%に過ぎず、残りの25%は自治体が独自の財源で賄う必要があります。そのため、流出額が大きくなると、自治体は財政的な負担を強いられることになるでしょう。
 
また、地方交付税を受けていない一部の大都市や財政力の高い自治体では、そもそも補填の対象外となるため、流出分がそのまま減収として計上されます。実際に、ある中核市では、令和5年度において市民税の約16億円が市外に流出したと報告されており、ふるさと納税制度による影響の大きさが指摘されています。
 
東京都も地方交付税不交付団体であるため、住民税流出に対する補填はありません。特に東京都内の高所得エリアでは、住民税控除額が非常に大きく、その影響が大きいことが分かります。
 
世田谷区や港区など、東京都の高所得エリアでは住民税控除額が全国でもトップクラスとなっており、市民サービスや行政運営への影響が懸念されています。
 

住民税流出の影響と自治体の財政の課題

地方交付税制度により、多くの自治体は安定した財政基盤を維持していますが、地方交付税不交付団体では、住民税流出の影響が深刻になりつつあります。流出額が大きい場合、市民サービスや行政運営に影響を与えることもあり、特に高所得エリアではその影響が顕著になることがあります。
 
今後、ふるさと納税による寄付金の流出が続いた場合、自治体は財政運営において新たな課題に直面することが予想されます。国と地方自治体が協力し、より効果的な財政運営と地域サービスの維持に向けた取り組みが求められるでしょう。
 
その一方で、住んでいる市の特産品にも注目し、地域の魅力を再発見することが、地域振興やふるさと納税のバランスを取るための一助となるかもしれません。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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