「年金受給者」の「還付申告」、いつまで遡れる? 知らずに払いすぎた「税金」を「取り戻せる」ケースは?
今回は、確定申告不要制度や還付申告できる期間について解説します。税金の還付を受けたい人や払いすぎた税金が戻ってくる可能性があるケースを知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
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年金暮らしの主な所得金額の種類と還付申告期間
年金暮らしの主な所得金額の種類と計算方法は、表1の通りです。
表1
| 所得の内容 | 所得の種類 | 計算式 |
|---|---|---|
| 公的年金 | 雑所得 | 社会保険料など控除前の合計年金額ー公的年金などの控除額 |
| 個人年金 | 雑所得(公的年金以外) | 年金収入-掛け金 |
| 生命保険の満期返戻金 | 一時所得 | (支払保険金-払込保険料-50万円)×1/2 |
| 株式の配当 | 配当所得 | 配当金額 |
※筆者作成
表1より、年金暮らしの人の所得は、主に公的年金や個人年金、生命保険の満期返戻金などが挙げられ、株を購入している場合は、その配当所得が発生します。
公的年金は、国民年金と厚生年金の2段階構造となっています。表1に挙げた項目以外でも所得があり、その合計金額が20万円以上の場合は確定申告が必要です。
確定申告の期間は、土曜日や日曜日に当たる場合は前後するものの、原則、毎年2月16日から3月15日までとなっています。
一方、確定申告の必要がない人の還付申告では、過去5年間分の税金還付が申告できます。例えば、これまで確定申告してこなかった人で、令和2年度分を申告したい場合、令和7年の年末まで申告が可能です。
確定申告不要制度とは?
年金暮らしの人は、必ずしも確定申告が必要ではありません。公的年金収入の合計額が400万円以下で、生命保険や共済などの個人年金、生命保険の満期返戻金などの所得が20万円以下の人を対象に、確定申告不要制度があるためです。
ただし、外国の制度に基づいて支払われる公的年金を受給した場合や公的年金以外の所得が20万円を超える場合は課税対象となり、確定申告をしなければなりませんので、注意が必要です。
公的年金の収入額が合計400万円以下かどうかは、毎年1月頃に日本年金機構から郵送で届く「公的年金等の源泉徴収票」に記載されている支払金額で確認できます。
払いすぎた税金が戻ってくる可能性があるケース
年金暮らしであっても、還付申告によって払いすぎた税金が戻ってくる可能性があります。以下に3つのケースについて解説しますので、参考にしてください。
1.多くの医療費を支払った場合
1年間に支払った医療費が所得の5%を超えると、医療費控除が適用できます。年間所得が200万円以上の場合と200万円未満の場合の医療費控除の計算式は、以下の通りです。
年間所得200万円以上:(1年間の医療費の合計ー保険金や公的給付などの補てん金額)ー10万円
年間所得200万円未満:(1年間の医療費の合計ー保険金や公的給付などの補てん金額)ー所得の5%
計算式より、年間所得が200万円以上の場合は医療費が10万円以上、年間所得が200万円未満の場合は医療費が所得の5%を超えると、医療費控除が適用できます。
医療費控除をする際は、確定申告時あるいは還付申告時に「医療費控除の明細書」の添付が必要です。医療費の領収書は提出不要ですが、自宅で5年間保管しておきましょう。
2.生命保険料や地震保険料を支払った場合
生命保険料や地震保険料を支払っている場合、生命保険料控除、地震保険料控除が適用され、税負担を軽減できる可能性があります。生命保険料控除は、所得税が最大12万円、住民税が7万円、地震保険料控除は所得税が最大5万円、住民税が2万5000円、それぞれ所得から差し引くことができます。
確定申告を行う際は、毎年10月から11月頃に、加入している保険会社から届く控除証明書が必要となるため、紛失しないようにしましょう。
3.ふるさと納税をした場合
ふるさと納税は、自分の選んだ自治体に寄付した場合、所得税と住民税を控除できる制度です。上限があるものの、寄付金額が2000円を超えた部分の全額が控除の対象となっています。上限額は年収や家族構成により異なります。
寄付可能上限額=住民税所得割額×課税所得に応じた変数+2000円
ただし、納税額以上には控除されません。65歳以上で公的年金収入が150万円以下の場合は、寄付した全額が自己負担になってしまう可能性があるため、注意が必要です。
税金の還付申告は過去5年分まで遡ることができる
税金の還付申告は、過去5年分まで遡ることができます。これまで確定申告をしていなくても、期間内に還付申告をすると、税金が戻ってくる可能性があります。
必ずしもすべての人に該当するわけではありませんが、医療費の支払いが多かったり、生命保険料や地震保険料を支払っていたり、ふるさと納税をしているケースでは、払いすぎた税金を取り戻せることもあるため、必要書類をそろえて最寄りの税務署に相談するとよいでしょう。
出典
政府広報オンライン ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度
国税庁 【確定申告・還付申告】Q6給与所得者等で還付申告をしていなかった場合、何年前まで遡って還付申告をすることができますか。
国税庁 年金受給者の皆様へ(2ページ)
日本年金機構 所得金額の計算方法(1ページ)
日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度
日本年金機構 老齢年金
国税庁 医療費控除を受ける方へ
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
総務省 よくわかる!ふるさと納税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
