大学生の子どもがいると「特定扶養控除」でお得!?”扶養控除”と比べていくらくらい節税になる?

配信日: 2025.06.27 更新日: 2025.07.02
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大学生の子どもがいると「特定扶養控除」でお得!?”扶養控除”と比べていくらくらい節税になる?
子どもが一定の年齢になると、通常の扶養控除ではなく特定扶養親族としての扶養控除を受けられます。扶養控除を受けられる条件や、税額がいくらくらい変わるかなどを知っておくと、今後子どもが対象となったときに申告がスムーズにできるでしょう。
 
今回は、扶養控除と特定扶養控除の違いや、税額の差、申告方法などについてご紹介します。
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扶養控除と特定扶養控除の違いとは

まず、国税庁によれば、扶養控除の対象となる親族は以下の条件を満たしている人です。

●納税者と生計を一にしている
●配偶者以外の親族(6親等内の血族もしくは3親等内の姻族)
●給与収入だけなら年収103万円以下(年間の合計所得金額が48万円以下)
●青色申告者の事業専従者として1年間で一度も給料を受け取っていない
●白色申告者の事業専従者ではない
●その年の12月31日時点で16歳以上

特定扶養親族とは、これらの条件に該当する人物のうち、その年の12月31日時点での年齢が19歳以上23歳未満の人を指します。
 
適用される控除によって、控除額は表1のように変わります。
 
表1

所得税 住民税
扶養控除(一般の控除対象扶養親族) 38万円 33万円
特定扶養控除 63万円 45万円

※筆者作成
 
一般の控除対象扶養親族に対する扶養控除から特定扶養控除になるだけで、所得税では25万円、住民税では12万円多く所得控除を受けられます。所得が減るとかかる税額も少なくなるため、家計の負担を軽くできるでしょう。
 
ただし、年末時点で19歳以上23歳未満の人が対象なので、大学生になった年の12月31日時点で18歳の人は対象になりません。
 

税額にどれくらい差が出る?

今回は、子どもが一般の扶養控除から特定扶養控除の対象になったときの税額の差を求めましょう。条件は以下の通りです。

●世帯構成は世帯主と配偶者(専業主婦)と子ども1人
●年収600万円
●年収600万円を12ヶ月で割った50万円を報酬月額とする
●賞与は考慮しない
●東京都江東区在住、夫婦ともに40代
●全国健康保険協会に加入
●適用される控除は給与所得控除、社会保険料控除、配偶者控除、(特定)扶養控除、基礎控除
●控除や社会保険料は令和6年度のもの

まず、給与所得控除は「600万円×20%+44万円」で164万円です。また、社会保険料は以下の通りです。

●年間健康保険料(介護保険料込み):34万7400円
●年間厚生年金保険料:54万9000円
●年間雇用保険料:3万6000円
●社会保険料合計額(社会保険料控除額):93万2400円

条件や控除額を基にしたとき、扶養控除の種類で課税所得や税額は表2のように変わります。
 
表2

一般の扶養控除を適用 特定扶養控除を適用
所得税配偶者控除 38万円
所得税(特定)扶養控除 38万円 63万円
所得税課税所得金額 218万7000円 193万7000円
所得税率、控除額 10%、9万7500円 5%、0円
所得税額 12万1200円 9万6850円
住民税配偶者控除 33万円
住民税(特定)扶養控除 33万円 45万円
住民税課税所得金額 233万7000円 221万7000円
住民税所得割+均等割 10%+5000円
住民税額 23万8700円 22万6700円

※筆者作成
 
今回のケースでは、一般の扶養控除と特定扶養控除では、所得税で2万4350円、住民税で1万2000円の差がありました。子どもが特定扶養控除の対象になっている方が節税できるといえるでしょう。
 
なお、実際には住民税は調整控除という所得税との控除の差を考慮した控除があるため、税額は少し異なる可能性があります。
 

特定扶養控除の申告方法

子どもが一般の扶養控除から特定扶養控除の対象になった場合、会社の年末調整のタイミングで申告をしましょう。会社から指定の書類が配布されるので、必要事項を記入後、提出すれば会社側で扶養控除の内容が変わる手続きをしてくれます。
 
もし年末調整のタイミングを逃したときは、自分で確定申告による申告も可能です。扶養控除の記入欄があるため、必要事項を記載しましょう。
 
会社にやってもらうよりも手間はかかりますが、節税効果が期待できます。
 

特定扶養控除の方がより節税できる

一般の扶養控除と特定扶養控除の違いは、対象者の年齢条件です。扶養控除は16歳以上が対象ですが、特定扶養控除では19歳以上23歳未満が対象と、より範囲が狭まります。また、控除額にも差があり、特定扶養控除の方が控除額が大きいため、より税金を少なくできるでしょう。
 
今回のケースでは、所得税と住民税で合計して3万6350円の差が生じています。もし子どもが特定扶養控除の対象になったときは、忘れずに申告しましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1180 扶養控除
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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