定年退職し、退職金「500万円」を受け取り→退職金を受け取った翌年は「確定申告」が必要? 対象者だった場合の手続き方法は?

配信日: 2025.06.24 更新日: 2025.07.02
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定年退職し、退職金「500万円」を受け取り→退職金を受け取った翌年は「確定申告」が必要? 対象者だった場合の手続き方法は?
退職金は、長年勤め上げた労働者への労いとして支給されます。退職金を受け取った翌年、受給者の状況によっては「確定申告」が必要になる可能性があることを知っている人は少ないかもしれません。
 
今回は、退職金を受給した際の確定申告の必要性や、対象者となるケース、手続き方法についてまとめました。
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退職金の確定申告は原則不要

退職金を受給する際、勤務先で「退職所得の受給に関する申告書」を出していれば、会社が退職所得控除を適用したうえで所得税・住民税を計算し、源泉徴収(または特別徴収)します。この場合、原則として確定申告は不要です。
 
住民税についても、通常は前年の所得に対して翌年に課税されますが、退職金にかかる住民税は退職金を受け取った年に徴収される「現年分離課税」となり、翌年の住民税に影響はありません。
 

退職金で確定申告が必要となるケースとは

退職金を受給し、以下のようなケースに該当する場合は、確定申告が必要です。
 

・退職所得の受給に関する申告書が未提出
・公的年金などの合計が400万円を超える
・公的年金などの合計が400万円以下で、年金所得以外の所得が20万円を超える
・海外勤務分や複数の退職金の受け取りがあった

 
退職所得の受給に関する申告書を提出していないと、退職金全額に対して20.42%の税率で源泉徴収されます。この場合、確定申告を行うことで正しい退職所得控除を適用し、払い過ぎた税金の還付を受けられるでしょう。
 
受け取った年に、公的年金(国民年金・厚生年金など)の合計収入が400万円を超える場合も、確定申告をしなければなりません。これは、年金収入が一定額を超えることで、所得税の追加納付や還付が生じる可能性があるためです。
 
また、年金所得が400万円以下でも、給与所得や雑所得、一時所得など、ほかの所得の合計が20万円を超える場合は確定申告が必要です。
 
同一年内に複数の勤務先からの退職金があった場合や、海外勤務分の退職金がある場合も、確定申告が必要となるケースがあります。
 

確定申告により税金が戻るケース

年の途中で退職し再就職しなかった場合や、転職先で年末調整を行ったものの、前職の源泉徴収票を現在の勤務先に出していない、医療費控除やふるさと納税などの寄付金控除を受けたいといった場合は、確定申告により税金を取り戻すことができます。
 
給与から天引きされる所得税は、1年間同じ収入が続くと仮定して計算されているため、年末調整を受けていないと所得税を払いすぎている可能性が高くなります。確定申告で払いすぎた所得税を取り戻しましょう。
 
また、転職先で年末調整をする際、前職の源泉徴収票がないと前職の給与所得が正しく計算されないことから、確定申告が必要です。退職所得がある場合は、それも合わせて申告します。
 

確定申告の手続き方法

退職金について確定申告する際に、必要な書類は以下の通りです(申告の内容によってはこれら以外の書類も必要な可能性があります)。
 

・退職所得の源泉徴収票(勤務先から交付)
・退職所得の受給に関する申告書(提出している場合は不要)
・公的年金等の源泉徴収票(年金受給者の場合)
・医療費控除や寄付金控除の証明書(該当者のみ)
・本人確認書類(マイナンバーカードなど)
・還付を受ける場合の金融機関口座の情報

 
申告書は、税務署などの窓口で受け取ることも可能ですが、国税庁のホームページからダウンロード、あるいは「確定申告書等作成コーナー」を利用して作成する方法が便利です。退職所得の欄には、源泉徴収票の内容を正確に転記してください。提出方法は、e-Tax、郵送、窓口への持参の3つがあります。
 
申告期限を過ぎると延滞税や加算税が発生するため、早めに準備しましょう。
 

退職金を受け取る際、翌年の確定申告は原則不要だが、必要なケースもあるため確認が必要

退職金を受給した翌年の確定申告は原則不要ですが、年金収入やほかの所得が一定額を超える、申告書が未提出といった場合は確定申告が必要です。そのほか、年末調整を受けていない場合など、確定申告で税金を取り戻せることもあります。
 
申告する場合は、早めに書類を準備して期限までに手続きを行いましょう。退職金を受給する際には自身の状況を確認し、適切な対応を心がけることが大切です。
 

出典

国税庁 令和6年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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