「医療費のお知らせ」が健康保険組合から届いたけれど、実際に払った金額と「2万円分」違う気が…これって何?
今回は、医療費のお知らせに記載されている金額が実際に払った額と違うと感じる理由や、医療費控除の申請に活用する際の注意点についてご紹介します。
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「医療費のお知らせ」とは
医療費のお知らせは、自身の治療や医療機関の受診でかかった医療費について、どれくらい支払いがあったかを知らせる通知です。受診日数や請求金額などがわかるようになっており、領収書と異なる点がないかを、保険者自身にも確認してもらうために発行されています。
医療費のお知らせに記載される対象期間は、医療保険者によっても異なるようです。例えば、全国健康保険協会の協会けんぽでは、令和7年1月10日から発送されている医療費のお知らせには、令和5年9月~令和6年8月までの医療費に関する内容が記載されています。
また、神奈川県医療従事者健康保険組合の場合は、申請手続きを行った被保険者へ医療費のお知らせを交付しており、申請したタイミングによって記載される受診期間が異なります。具体的な申請締切日と記載される受診期間は表1の通りです。
表1
| 申請締切日 | 記載される受診期間 |
|---|---|
| 令和6年12月27日 | 令和6年1月~令和6年10月 |
| 令和7年1月31日 | 令和6年1月~令和6年11月 |
| 令和7年2月28日 | 令和6年1月~令和6年12月 |
出典:神奈川県医療従事者健康保険組合「「令和6年 年間医療費のお知らせ(医療費通知)は申請手続きをした被験者様へ交付いたします」」を基に筆者作成
加入している組合によっては、同じ年の1~10月分と11~12月の医療費のお知らせが別々に送付されることもあるため、事前に該当する期間やどの時期に届くかを確認しておくとよいでしょう。
実際に支払った金額と違いがあるように感じる理由
医療機関で支払った金額と医療費のお知らせで通知された金額が違うように感じる理由は複数考えられます。
まず、医療費のお知らせに記載されている期間です。加入している保険組合によっても異なりますが、基本的に医療費のお知らせに記載されるのは、診療を受けた月から3~4ヶ月後です。
そのため、1年間の医療費がすべて記載されているケースは少ない傾向にあります。1~12月まですべての医療費が記載されていると考えていた場合は、実際に支払った金額と違うように感じるでしょう。
また、医療費のお知らせには、対象期間のすべての医療費が記載されているとは限りません。例えば、全国健康保険協会の協会けんぽでは、精神科に関する医療費は個人情報保護の観点から記載されません。
このように、受診内容によっては医療費のお知らせには記載されないため、該当するものがあれば金額を計算する際に省いて考えましょう。
さらに、医療費のお知らせは1円単位で金額が記載されている一方で、医療機関などで支払う金額は10円未満を四捨五入した金額になっていることも、実際に支払った金額と違いがあるように感じる要因となりえますほかにも、国や市区町村が医療費を負担する公費負担医療や高額療養費の払い戻しを受けている場合は、自己負担にならないため、医療費のお知らせには含まれません。
医療費のお知らせの対象となる受診や費用、期間を把握しておくことで、余計な違和感を感じずに済むでしょう。
医療費控除の申請にも活用できる?
医療費のお知らせは、医療費控除の申請を行う際にも活用できます。医療費控除とはその年の1月1日~12月31日までに支払った医療費の合計額によって、所得控除を受けられる仕組みです。
医療費控除は自身の医療費だけでなく、生計を一としている配偶者や親族も適用されます。ただし、医療費控除の申請で活用するには、以下の項目に不備がない状態でなければなりません。
・被保険者などの名前
・療養を受けた年月
・療養の該当者
・療養先の病院や薬局名
・被保険者が払った医療費の金額
・保険者などの名前
これらが1つでも足りていない場合は記入するか、領収書から医療費控除の明細書を作成する必要があります。医療費控除に活用したい場合は、上記の内容が記載されているか必ず確認しておきましょう。
医療費のお知らせは、実際に払った金額と違うこともある
医療費のお知らせは対象期間内に支払った受診費や治療費などをまとめた書類です。
記載されている期間は、加入している保険組合によって異なるため、1月からではなく9月からの場合や10月までしか記載されていないといったケースもあります。そのため、医療費のお知らせに記載されている期間が1~12月の1年間だと考えていると、実際に払った金額と違うように感じられるでしょう。
ほかにも、医療費のお知らせに記載されない、あるいは国の制度や払い戻しなどを受けている医療費があると、払った金額と差があるように感じられるかもしれません。
医療費のお知らせにはどのような項目が含まれるかや対象期間などを把握しておくことがポイントです。医療費控除の申請の際にも活用できるため、医療費のお知らせが届いたら対象期間の領収書と一緒に違いがないか確認しましょう。
出典
全国健康保険協会 協会けんぽ「医療費のお知らせ」を令和7年1月10日より順次発送します
神奈川県医療従事者健康保険組合「令和6年 年間医療費のお知らせ(医療費通知)は申請手続きをした被験者様へ交付いたします」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
