がんの手術からもうすぐ5年、ようやく「完治」の診断が出ました。気持ちの余裕も出てきたいま、5年前の領収書でも「医療費控除」を受けられますか?
結論から申し上げますと、過去に支払った医療費に関しても、決められた期間内であれば申請可能です。本記事では、医療費控除の申請方法を詳しく解説します。
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「医療費控除」は5年前までさかのぼって申告できる
医療費控除は、5年前までさかのぼって申請することが可能です。国税庁のホームページによると、「確定申告の必要がない方の還付申告は、還付申告をする年分の翌年1月1日から5年間行うことができます」という記載があります。申請には、医療費の領収書などが必要です。申請する可能性がある場合は、しっかりと保管しておきましょう。
「医療費控除」を受けるには確定申告が必要
医療費控除を受けるにあたって、確定申告が必要になります。確定申告とは、1年間の所得の金額とそれに対する所得税の額を計算し、納税金額の過不足を精算する手続きです。中には確定申告になじみのない方もいるでしょう。
基本的に、個人事業主の方や、給与の収入金額が2000万円を超える方、給与所得者で副業などによって一定額以上稼いでいる方は確定申告が必要になります。
なお、医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までの間に自分または自分と生計を一にする配偶者やそのほかの親族のために、一定額を超える医療費を支払った場合に受けられる所得控除です。
国税庁によれば、医療費控除の金額は、「(実際に支払った医療費の金額-保険金などで補てんされる金額)-10万円」で計算され、その年の総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく総所得金額等の5%の金額が差し引かれて計算されます。
医療費控除の対象となる医療費には、以下のようなものが含まれます。
●治療費
●治療等を受けるための通院費
●入院時の部屋代・食事代 など
また疾病のほか、以下の場合にも適用することができます。
●妊娠・出産(妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、通院費用)
●不妊治療
●レーシック手術
●歯列矯正(一般的に支出される範囲内で治療目的の場合に限る)
●医師による診療や治療を受けるために直接必要となる松葉づえ・補聴器などの購入
医療費控除を受ける際は確定申告書のほかに、「医療費控除の明細書」を添付する必要があります。明細書を作成するには、前述の領収書や医療費通知から1年間の医療費総額を計算しなければいけません。税理士などの専門家に依頼するという選択肢もあるため、必要に応じて活用しましょう。
「医療費控除」を申告する際の3つの注意点
医療費控除を申告するにあたって、以下のポイントに注意しましょう。
・5年以内の還付申告
前述の通り、過去の領収書を使用する場合、さかのぼれるのは5年までです。5年を過ぎた医療費は還付申告することができないため、早めの手続きを心がけましょう。
・セルフメディケーション税制とは併用不可
セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進・疾病予防のために一定の取り組みを行っている方が、その年中に自分または自分と生計を一にする配偶者やそのほかの親族のために1万2000円を超える対象医薬品を購入した際に、控除を受けることができる制度です。
一定の取り組みの具体的な例としては、定期健康診断や予防接種などが挙げられます。利用する際は、通常の医療費控除との併用はできない点に気をつけましょう。
・医療費の領収書の保管
医療費控除の明細書作成の際に使用した医療費の領収書は、確定申告期限等から5年間の保管義務があります。場合によっては、医療費控除の明細書の記載内容を確認するため、提示または提出を求められることがあるため、忘れないようにしっかり保管しておきましょう。
まとめ
医療費控除では、5年前までさかのぼって還付申告することが可能です。また、手続きにあたっては確定申告をしなければいけません。大きな医療費の支払いがあった人は、本記事を参考に、医療費控除の制度利用も検討しましょう。
出典
国税庁 【確定申告・還付申告】 Q6 給与所得者等で還付申告をしていなかった場合、何年前まで遡って還付申告をすることができますか。
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
