「ふるさと納税=節税」と勘違い! おトクなつもりが「割高な買い物」に!? 知らないと損する“控除額のシビアな真実”とは
配信日: 2025.07.06 更新日: 2025.07.07


日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
リタイアメントプランニング、老後資金形成を得意分野として活動中の独立系FPです。東証一部上場企業にて、企業年金基金、ライフプランセミナー、DC継続教育の実務経験もあります。
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改めて「ふるさと納税」とは
ふるさと納税とは、住所地以外から選んだ都道府県や市区町村に対し、ふるさと納税による寄附を行った場合に、その年のふるさと納税合計額のうち2000円を超える部分が、一定の上限まで原則「所得税・住民税から控除される」という制度です。地方創生、地域活性化の一環として、応援したい自治体に簡単に寄附できる制度として創設されました。
多くの自治体は、寄附者に対し返礼品を提供しています。この返礼品が制度の普及に貢献しました。ふるさと納税の流れは次の3ステップです。
●ふるさと納税で寄附したい自治体を選ぶ(返礼品がある場合、返礼品も選ぶ)
●ふるさと納税で寄附する
●寄附金額から2000円を差し引いた額(控除額)が、寄附した年の所得税または翌年度の住民税から控除される(確定申告が原則だが、要件を満たせば「ワンストップ特例」という仕組みも利用できる)
「所得税・住民税から控除される」額は、どう計算される?
年収700万円の給与所得者(扶養配偶者あり、子どもなし)が、ふるさと納税を年間3万円行ったケースを想定します。寄附金額3万円から2000円を差し引くと、「控除額」は2万8000円です。この2万8000円が税金にどう影響するのか、確定申告する場合で見ていきましょう。
まず、所得税の控除額の計算式は、控除額×所得税率(課税総所得金額で決定)です。この人の所得税率が20%として、所得税の控除額は、控除額2万8000円×所得税率20%=5600円となります【確定申告の結果、所得税を5600円減らす方向で作用します】。
次に、住民税の控除額の「基本分」として、控除額2万8000円×住民税率(一律10%)=2800円です【翌年度の住民税が2800円減る方向の効果です】。
最後に、住民税の控除額の「特例分」という部分があり、控除額2万8000円×(100%-所得税率20%-住民税率10%)で1万9600円となります【住民税がさらに1万9600円減る方向です】。
このケースの場合、5600円+2800円+1万9600円の合計2万8000円、つまり控除額(寄附金額-2000円)の全額が税額から控除される(差し引かれる)という計算になりました。
ちなみに、確定申告が不要な人が「ワンストップ特例」という仕組みを利用する場合は、所得税からは控除されず、全額(2万8000円)が住民税から控除されます。
「ふるさと納税」で損しないためには
ふるさと納税を「返礼品をお得に手に入れる手段」として捉える場合、「ふるさと納税とは、所得税、住民税の一部を、寄附金という名目で前払いすることにより、年間自己負担2000円で、さまざまな返礼品を受け取れる制度」と言い換えることができます。税金の代わりに寄附するわけですから、名目上は節税でも、実質的には節税とは言えないでしょう。
ふるさと納税で重要な注意点は、節税かどうかではなく、「自己負担が2000円を超えないように、年間の寄附金額を一定の範囲に収める必要がある」ことです。
その人のその年の上限(控除額の限度)を超えてふるさと納税してしまうと、自己負担が2000円を超えてしまい、場合によっては「返礼品を市場価格より割高に買っていた」という結果になりかねません。
控除額の限度は次の3種類あります。
●所得税からの控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の40%が上限
●住民税からの控除(基本分)の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限
●住民税からの控除(特例分)は、住民税(所得割額)の20%が上限
これを読んだだけで、自分で計算できる人は少ないでしょう。そもそも、その年の収入、経費、家族状況などが確定するのは年末です。これらによって算出された所得を基にその年の所得税を確定申告し、翌年度の住民税が決定される仕組みです。
上記3種類の上限を年の途中に自分で推計しながら、自己負担が2000円を超えないようにふるさと納税していくのは非常に面倒です。そこで、総務省や民間のふるさと納税サイトが提供しているシミュレーションツールを利用し、その年の予想所得に見合う寄附金額の上限の目安をシミュレーションしましょう。
実際に、総務省の「寄附金控除額の計算シミュレーション(Excel)」を利用し、「給与収入700万円、配偶者(専業主婦)1人」として「寄附しようとする額」を複数パターン入力してみました。
その結果、寄附額が8万6000円までの場合の自己負担は2000円ですが、寄附額を8万7000円とした場合、自己負担は2522円となりました。あくまでも目安ですが、「今年のふるさと納税は合計8万円くらいまでにしておこう」などの判断材料にできるでしょう。
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まとめ
ふるさと納税で返礼品を最大限お得に手に入れたい場合、その年の所得がいくらになるかを予想して年間寄附金額を見極める必要がある点に注意が必要です。
「返礼品を市場価格より割高に買っていた」という結果にならないよう、総務省などが提供しているシミュレーションツールを利用し、その年の予想所得に見合う寄附金額の上限の目安をシミュレーションしましょう。
出典
総務省 ふるさと納税ポータルサイト 税金の控除について
国税庁 No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)
執筆者 : 福嶋淳裕
日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)