知人は年収から税金が「120万円以上」引かれていたそうです。年収もその分高いのでしょうか?
しかし、もし引かれる金額が多ければ、それだけ給料が高いということにもなるかもしれません。今回は、年収から引かれる金額の求め方や、引かれる税額の例などについてご紹介します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
年収が高いと引かれる金額も高くなりやすい
控除の内容によって変わる可能性がありますが、基本的に給料が高い方が引かれる税金も多くなります。
会社によって多少変わるケースもあるものの、給料から引かれるのは基本的に厚生年金保険料・健康保険料(40歳以上は介護保険料含む)・雇用保険料からなる社会保険料と、所得税、住民税です。
おおよその引かれる金額の目安を知りたい場合は、社会保険料と各税金の求め方を知っておくとよいでしょう。所得が給与のみだった場合に年収から引かれる税金を求める手順は、以下の通りです。
(1)年収から給与所得控除を引く
(2)各社会保険料を求める
(3)(1)の金額から(2)やほかに適用される所得控除を引く
(4)各税金の税率をかける
(5)税額控除があれば適用する
それぞれの計算方法を詳しく見ていきましょう。
給与所得控除と社会保険料の計算
給与所得控除とは、給料の金額に応じて決められる所得控除です。国税庁によれば、令和6年の時点では55万円~195万円まで、6段階に分けられています。
厚生年金保険料と健康保険料では、税金が引かれる前の手当も含めた給料を一定額ごとに分けた「報酬月額」に当てはめ、決められた「標準報酬月額」を使用します。
例えば、報酬月額が40万円のとき、標準報酬月額は41万円です。加入している健康保険組合などが標準報酬月額ごとの保険料額表を公表しているケースがあるので、参照するとよいでしょう。
また、引かれる保険料は全額ではなく、会社と折半もしくは一部負担です。
なお、保険料は月額なので、年収から引かれる金額は12ヶ月をかけましょう。雇用保険料は年収に雇用保険料率をかけて求められます。雇用保険料率は勤務先の事業の種類によって異なり、また自己負担率も異なります。
所得税と住民税の計算
給与所得控除や社会保険料を求められたら、所得税と住民税それぞれで基礎控除やほかの所得控除を差し引き、税率をかけて金額を計算しましょう。なお、国税庁によると、所得税は累進課税制度により5%~45%までの7段階に区分されます。収入が多いほど税率は高くなる仕組みです。
また、住民税として引かれるのは、基準が所得割10%と均等割5000円(道府県民税1000円+市町村民税3000円+森林環境税1000円)です。ただし、所得割の税率および均等割額は自治体によって変わる可能性があるので、確認しておきましょう。
場合によっては調整控除などで税額を控除できるときもあるので、必要に応じて適用します。その後、社会保険料額と各税額を合計すると、差し引かれる金額の目安が分かるでしょう。
年収による差し引かれる税額の例
今回は、以下の条件でいくら給料から引かれるかを計算しましょう。
・年収950万円
・東京都江東区在住の40代
・賞与は考慮しない
・年収を12で割った約79万1667円を報酬月額とする
・控除は給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除以外考慮しない
・全国健康保険協会に加入
・控除や社会保険料は令和6年度のものを適用
今回の条件だと、給与所得控除は195万円です。また、社会保険料の年額は以下の通りです。
・健康保険料(介護保険料込み):54万8892円
・厚生年金保険料:71万3700円
・雇用保険料:5万7000円
・社会保険料合計:131万9592円
これらの金額を基にして、所得税を求めましょう。税率や控除額などは以下になります。
・所得税の課税所得金額:575万円
・所得税率:20%
・控除額:42万7500円
よって、所得税は72万2500円です。住民税は課税所得金額が580万円、所得割+均等割が「10%+5000円」なので、58万5000円が課されます。所得税と住民税を合計すると130万7500円です。
もし税金だけで120万円を超えているなら年収950万円程度の可能性もある
給料から引かれる金額は、収入が高いほど多くなります。特に、所得税は所得が多いほど税率も高くなるため、引かれる金額が多いと感じる人もいるでしょう。
今回の条件だと、年収950万円であれば、税金だけで130万7500円引かれる計算です。もし知人が120万円以上の税金を引かれているとすると、年収950万円弱の可能性もあります。
ただし、引かれる金額は控除の金額によっても変わるので、必ずしも年収950万円なら税金が120万円を超えるとは限りません。
例えば、配偶者や子どもがいると、配偶者控除や扶養控除により税金が少し安くなる可能性があります。自身の税金が高いと感じるときは、利用できる控除がないかを調べてみるのもよいでしょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1410 給与所得控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2260 所得税の税率
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
