ふるさと納税で「5万円分」利用した場合、具体的にどのくらい「得」をするのでしょうか?

配信日: 2025.07.13
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ふるさと納税で「5万円分」利用した場合、具体的にどのくらい「得」をするのでしょうか?
自分が選んだ自治体に寄附すると、所得税と住民税から寄附した額の一部が控除される「ふるさと納税」ですが、寄附額に対してどのくらい得をするのでしょうか。
 
今回は、5万円分のふるさと納税で得する額について、具体的に解説します。
辻章嗣

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

「ふるさと納税」のしくみ

 

1. ふるさと納税の概要

ふるさと納税制度とは、自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)をすると、寄附額のうち2000円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です(※1)。
 
図1

図1

 

2. 所得税からの控除

ふるさと納税をした場合、所得税から控除される額は、下式で算出されます。
 
所得税から控除される額=(ふるさと納税額-2000円)×税率
 
計算には、納税者の課税所得に応じて適用される税率が用いられます。なお、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の40%が上限となります。
 

3. 住民税からの控除

ふるさと納税をした場合に住民税から控除される額には「基本分」と「特例分」の2種類があります。
 

(1)住民税からの控除(基本分)

住民税から控除される額のうち基本分 は、①の式で算出されます。
 
① 住民税から控除される額(基本分)=(ふるさと納税額-2000円)×10%
 
なお、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限となります。
 

(2)住民税からの控除(特例分)

ふるさと納税をした場合、住民税から控除される額のうちの特例分 は、②の式で算出されます。
 
② 住民税から控除される額(特例分)=(ふるさと納税額-2000円)×((100%-10% )-所得税の税率)
 
なお、所得税から特例分として控除 される額が、住民税所得割の2割を超える場合は、③の式が適用されます。
 
③住民税から控除(特例分)される額=住民税所得割×20%
 
③の式が適用された場合、所得税と住民税から控除される総額は、ふるさと納税額から2000円を差し引いた額を下回るため、実質的に負担する額は2000円を超えます。
 

4. 控除を受けるための手続き

控除を受けるためには、原則として、ふるさと納税を行った翌年に確定申告を行う必要があります。
 
ただし、確定申告の不要な給与所得者などがふるさと納税を行う場合は「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用すると、確定申告を行わなくても、ふるさと納税の寄附金控除を受けることができます。
 
この特例を使用するためには、ふるさと納税先の自治体数を5団体以内に留め 、ふるさと納税を行う際に各ふるさと納税先の自治体へ特例の適用に関する申請書を提出する必要があります。
 

全額控除されるふるさと納税額の目安

ふるさと納税をする本人の給与収入とその家族構成(扶養家族の種類と数)に応じて、ふるさと納税額(2000円を除く)の全額が控除される納税額(年間上限)の目安は、表1のとおりとなります。表1の額を超えてふるさと納税をした場合、所得税と住民税からその全額を控除することはできません。
 
《表1》

表1

 

5万円のふるさと納税で控除される額

ふるさと納税で5万円寄附した場合、納税者本人の給与収入と家族構成に応じて所得税と住民税から控除される額を計算すると、表2のとおりとなります。
 
例えば、夫婦共働きで高校生の子供が1人いる家族が5万円をふるさと納税した場合、納税者本人の所得が600万円以上であればその全額(2000円を除く)が控除されますが、所得が500万円以下である場合、全額控除されることはありません。
 
なお、計算は、総務省が提供している「控除額(目安)のシミュレーション」(※2)で計算しています。
 
《表2》

表2

 
独身または16歳までの子供がいる共働き夫婦は年収500万円以上、高校生と大学生の子供が1人ずついる家族は年収700万円以上、その他のケースでは年収が600万円以上であれば、ふるさと納税した5万円の全額(2000円を除く)が控除されます。
 
年収が低い場合は、ふるさと納税をしても全額が控除されないことに注意しましょう。
 

ふるさと納税と返礼品

ふるさと納税をすると、納税先の地方自治体から返礼品が届く場合があります。
 
ふるさと納税した全額が所得税と住民税から控除される方は、税の控除を受けた上で、返礼品を受け取ることになります。一方、控除される額がふるさと納税した額に及ばない方は、その差額と返礼品の価値を比較して、ふるさと納税をするかどうかを考えるとよいでしょう。
 

まとめ

ふるさと納税制度では、自分が選んだ自治体に寄附すると、所得税と住民税から寄附した額の一部が控除されます。この際に、収入が少ない方や扶養家族が多い方は、所得税や住民税からふるさと納税した額を控除しきれない場合があることに注意しましょう。
 

出典

(※1)総務省 ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税のしくみ
(※2)総務省 寄付金控除額の計算シミュレーション
 
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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