扶養に入っているのに「確定申告が必要」と言われました…。どんなケースで必要になるのでしょうか?

配信日: 2025.07.16
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扶養に入っているのに「確定申告が必要」と言われました…。どんなケースで必要になるのでしょうか?
「確定申告は自分には不要」と思っていても、確定申告をしなければいけないときが来るかもしれません。「会社で年末調整をしている」という方も、「扶養に入っている」という方も、場合によっては確定申告をする必要があります。
 
本記事では、「給与所得者であっても確定申告が必要となるのはどのようなケースか?」「被扶養者であっても確定申告が必要となるのはどのようなケースか?」について解説します。ご自身が「確定申告が必要な方」に該当するかどうかを確認しながら、ぜひ最後までお読みください。
中村将士

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

給与所得者であっても確定申告が必要となるのはどのようなケースか?

給与所得者(勤務先から給与・賞与を得ている方)は、正社員であろうと短時間労働者(パート・アルバイト)であろうと、所得税の精算・申告・納付を勤務先の会社が年末調整で全て行うため、原則として確定申告をする必要がありません。
 
しかし、給与所得者であっても、以下のケースに該当する場合は、確定申告をしなければなりません。


・給与の収入金額が2000万円を超える
・給与所得や退職所得以外の所得金額(収入金額から必要経費を差し引いた後の金額)の合計額が20万円を超える
・2ヶ所以上から給与の支払いを受けている方のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得や退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える

また、以下の控除を受けようとする場合、年末調整では控除できないため、確定申告をする必要があります。


・住宅借入金等特別控除(初年度のみ)
・医療費控除
・雑損控除
・寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を除く)

これらのケースに該当する場合には、給与所得者であっても確定申告をする必要があります。
 

被扶養者であっても確定申告が必要となるのはどのようなケースか?

ここまで、確定申告をしなければいけない(する必要がある)ケースについて解説してきましたが、そのなかに本人が「扶養者(扶養している方)である」、または「被扶養者(扶養されている方)である」といった内容はありません。
 
つまり、「確定申告が必要かどうか」と「扶養内に入っているかどうか」は関係がなく、単純にご本人が「確定申告が必要な場合」に該当すれば、確定申告をしなければならないということになります。
 
ご相談内容(=本記事のタイトル)から、ご本人は扶養に入っているものの一定の収入があると考えられます。仮にご本人の年収が103万円以内である場合、前章の「確定申告が必要となるケース」と照らし合わせると、以下のケースで確定申告が必要となるのではないかと考えられます。


(1)給与所得や退職所得以外の所得金額(収入金額から必要経費を差し引いた後の金額)の合計額が20万円を超える
(2)2ヶ所以上から給与の支払いを受けている方のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得や退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える

例えば、副業をしている場合は、(1)に該当する可能性があります。一般に、副業で得た収入は雑所得となります。このような「給与所得や退職所得以外」の所得金額の合計額が20万円を超える場合、確定申告をしなければいけません。
 
また、パートやアルバイトの掛け持ちをしている場合は、(2)に該当する可能性があります。給与所得者は、原則として年末調整で所得税の課税関係が完了します。
 
しかし、掛け持ちをしている場合、年末調整されるのはそのうちの1社のみで、他の勤務先からの収入については年末調整されません。年末調整されなかった収入や給与所得・退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える場合、確定申告をしなければいけません。
 

まとめ

本記事では、ご相談(=本記事のタイトル)に回答するために、「給与所得者であっても確定申告が必要となるのはどのようなケースか?」「被扶養者であっても確定申告が必要となるのはどのようなケースか?」について解説しました。
 
回答(扶養に入っているのに「確定申告が必要」なケース)としては、以下のとおりです。


(1)給与所得や退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超えるケース
(2)2ヶ所以上から給与の支払いを受けている方のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得や退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超えるケース

(1)の具体例としては、副業をしているようなケースです。副業をしており、その所得(=収入-必要経費)の合計額が20万円を超えるときは、確定申告が必要となります。
 
(2)の具体例としては、パート・アルバイトを掛け持ちしているようなケースです。掛け持ちをしていると、年末調整はそのうちの1社でしか行われません。他の勤務先からの収入については年末調整が行われないため、確定申告よって所得税の精算を行う必要があります。
 
このように、「扶養に入っているから」といって、必ずしも確定申告をする必要がないというわけではありません。複数の収入源がある場合は、確定申告をしなければいけない可能性があります。
 
「確定申告をする必要があるのではないか?」と思われたときには、本記事を参考にしていただければと思います。
 

出典

国税庁 給与所得者と税
 
執筆者 : 中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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