収入がどのくらいあると税金がかかりますか? 税金が「0円」なのはいくらまでなのでしょうか?
しかし、収入が一定の水準以下なら、住民税も所得税もかかりません。本記事で、年収いくらまでなら税金が「0円」になるのか、かんたんに解説します。
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
住民税や所得税が0円になるのは年収いくらまで?
結論からいうと、「年収110万円」程度までなら住民税も所得税もかからずに済む可能性が高いようです。なぜ断言できないのかというと、税金がかかり始めるラインは住んでいる自治体や働き方、家族構成、年齢などさまざまな条件によって変わってくるからです。
例えば住民税は、収入がパートやアルバイトなど「給与収入のみ」の場合、年収110万円を超えると発生するのが原則です。従来は100万円が基準で「100万円の壁」と呼ばれていましたが、2025年の税制改正により引き上げられています。
しかし、住んでいる自治体によっては110万円未満でも住民税が発生することがあるため、注意が必要です。なお、個人事業主やフリーランス、年金生活者など給与収入以外で収入を得ている人は、それぞれ計算方法が異なります(詳しくは後述します)。
また、所得税に関しては、パートやアルバイトなど給与収入のみの場合は103万円以下なら税金がかからない、いわゆる「103万円の壁」と呼ばれるルールがありました。しかし、2025年度の税制改正によって、この水準は「160万円」まで引き上げられています。
住民税や所得税の仕組み
なぜ、上述のような複雑な仕組みになっているのか、疑問に思うかもしれません。本章で、住民税や所得税はどのような仕組みになっているのか、どうやって計算されているのか、基本を押さえておきましょう。
まず、これらの税金は「収入」ではなく、「所得」に対してかかるものです。「収入」から必要経費や各種控除を差し引いたものが「所得」です。
・所得 = 収入 - 必要経費・各種控除
・必要経費……その収入を得るためにかかった費用(自営業の場合、仕入れなど)
・各種控除……個別の状況に応じて税額を調整するために差し引くもの(扶養控除、医療費控除、給与所得控除など)
住民税は前年の所得が45万円を超えた場合に発生することが多いようです。
パートやアルバイトなど給与収入の人は、最低でも65万円の「給与所得控除」を適用できるため、45万円+65万円=年収110万円までなら住民税がかからない可能性が高くなります。
また、年金を受け取っている場合は、「公的年金等控除」の対象です。控除額は、65歳未満で最低60万円(よって、45万円+60万円=年収105万円までなら住民税非課税)、65歳以上なら最低110万円(よって、45万円+110万円=年収155万円までなら住民税非課税)です。
一方、所得税の場合、所得が一定以下であれば95万円(※令和7年分以後)の「基礎控除」を受けられます。
また、パートやアルバイトなど給与収入の人は、住民税と同様に最低でも65万円の「給与所得控除」を適用できるため、95万円+65万円=年収160万円までなら所得税がかからない可能性が高くなります。
必要経費や各種控除の金額は人によって違うため、「収入は同じなのに所得税や住民税の金額が違う」ということも珍しくありません。所得税や住民税がかかるかどうかを正確に把握するためには、適用できる控除の種類や金額、必要経費として認められる金額などを知っておく必要があります。
まとめ
パートやアルバイトなど給与収入を得ている人の場合、年収110万円を超えると住民税がかかるケースが多くなります。所得税は年収160万円超が目安です。
ただし、どれくらいの収入を得たら税金がかかるのかは、働き方や控除の金額、住んでいる自治体などによっても異なります。直近に税制改正もあり、制度が複雑になっています。正確に知りたい場合は、市区町村役場や税務署などに問い合わせるのが確実です。
出典
財務省 令和7年度税制改正の大綱
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
東京都主税局 個人住民税
執筆者 : 馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表
