祖父母の家を“更地”にしたら税額が「年間2万円→12万円」に…! 空き家を更地にすると「固定資産税」は上がるの?
本記事では、その仕組みや実際の増額例、さらに節税対策までを具体的に解説。今後の選択に迷う方へ、後悔しない判断材料をお届けします。
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更地にすると固定資産税はなぜ上がる?
固定資産税は土地と建物それぞれに課税されますが、住宅用地には優遇があります。200㎡以下の「小規模住宅用地」は評価額の1/6、200㎡超部分は1/3に軽減される仕組みです。しかし住宅を取り壊し更地になると、この軽減措置が一切適用されなくなります。その結果、土地評価額のまま課税されるようになるため、税額が数倍に増える仕組みです。
例えば、評価額3000万円の土地であれば、住宅があれば課税標準額は1/6となり、固定資産税は約7万円ですが、更地になると課税標準が評価額のままとなり、税額は29万円以上に跳ね上がるケースもあり、約4~6倍に増加します。
実際にどれくらい増える?
固定資産税は、住宅用地特例により軽減されているため、建物の解体などで更地になると、この軽減措置が外れ税額が大幅に増加します。
実際に神奈川県横浜市では築60年の空き家解体後に年間約25万円の増額(=月2万円超の増税)が報告されています。
大阪市では4万円から24万円、世田谷区では6万円から36万円へと、いずれも4~6倍に跳ね上がる事例が複数見られます。評価額や土地面積により増加幅は異なりますが、更地化に伴う急激な税負担増は全国的に共通した現象です。
どう備える?更地化に伴う節税ポイントと対策
更地にすることで固定資産税が大きく増える可能性があるとはいえ、事前に知っておくことで回避・軽減できる方法もあります。ここでは、更地化に伴う税負担を抑えるための現実的な対策を紹介します。
取り壊しのタイミングに注意する
固定資産税は毎年1月1日時点の所有状況で決まるため、1月2日以降に解体すれば、その年の税額は増えず、増税は翌年度に繰り延べとなります。
解体後に再建築する
解体後、翌年1月1日までに住宅を再建築し登記を済ませれば住宅用地特例が再適用され、大幅な増税を防げます。
駐車場などに活用する
住宅用地特例は適用されませんが、収益の一部で税負担を補えるケースもあります。ただしアスファルト舗装などをすると資産評価が上がることもあるため、地域の不動産担当・自治体に確認が必要です。
空き家対策条例による影響に注意
空き家が「特定空き家」に指定されると特例が外れ、固定資産税だけでなく行政指導や罰則が課される場合もあります。更地化以前でも草刈りや維持管理を怠らないことが重要です。
まとめ
祖父母の家を更地にすることで税額が「2万円→12万円」「6万円→36万円」など跳ね上がるのは事実です。これは住宅用地特例の消失が要因であり、土地評価額そのままに課税されるからです。ただし、解体時期をずらす、再建築を検討する、土地活用を計画するなどの手を打てば、大きな負担を避けられます。
何より重要なのは、安易に更地化する前に「税制の仕組みを知る」「解体後の活用計画を立てる」「専門家や自治体に相談する」ことです。そうすれば、土地を最大限に活かしながら、予想外の税負担を回避できる判断ができるでしょう。
更地化は“節約”より“計画と相談”が鍵です。いま手続きを始めても遅くはありません。ぜひ慎重に進めてください。
出典
国税庁 固定資産税
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
