夫の会社で事務をしており、毎月「7万円」を手渡しでもらっています。この場合も「確定申告」が必要でしょうか?

配信日: 2025.07.28
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夫の会社で事務をしており、毎月「7万円」を手渡しでもらっています。この場合も「確定申告」が必要でしょうか?
家族の会社に勤めていると、一緒に暮らしていることから口座振り込みではなく手渡しで給料を受け取る場合があります。手渡しで受け取る場合、給料の内容をよく確認しないと確定申告が必要になる場合もあるので、注意しましょう。
 
今回は、手渡しで給料を受け取ってもよいのか、また会社で家族を雇用するときの注意点などについて紹介します。
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手渡しでも法的には問題ない

労働基準法第24条によると、労働者へ支払う賃金は以下の条件をすべて満たしている必要があります。
 

・通貨である
・直接労働者に全額支払われている
・賞与などを除いて毎月1回以上、一定の期日を決めて支払われている

 
法律では直接労働者に支払うことが求められていることから、手渡しでも問題ありません。なお、同法では直接渡すことが定められていますが、労働基準法施行規則第7条の2によると、労働者から同意を得ていれば労働者が指定する預金や貯金への振り込みも可能です。
 
そのため、もし手渡しが不安な場合は夫と相談して同意したうえで振り込みに変えてもらうのもよいでしょう。
 

所得税が引かれているかは必ず確認する

手渡しで受け取ることに問題はありませんが、源泉徴収されているかは必ず確認しましょう。源泉徴収とは、労働者に給料を渡す際にあらかじめ決められた方法で計算した所得税を差し引くことです。
 
もし差し引かれていれば、基本的に労働者側での確定申告は必要ありません。しかし、差し引かれていなければ所得税の申告をしないと、税金の申告忘れとなります。ただし、給与所得控除や基礎控除の合計額よりも収入の方が少ない場合は所得税が課されないため、申告は必要ありません。
 
令和6年度の給与所得控除は最低でも55万円、所得税の基礎控除額は48万円のため、合計した103万円以下の年収であれば所得税は課税されないでしょう。今回の事例において、月7万円の給料の場合年収は84万円です。そのため、基本的に所得税の申告は必要ありません。
 
ただし、所得税が課税されない場合でも、住民税の申告が必要となるケースがあります。住民税の非課税基準は自治体によって異なり、扶養親族の有無や家族構成などにより年収ベースで異なる場合があります。各自治体のホームページなどで事前に確認しておきましょう。
 

もし収入が月10万円になると所得税はいくらになる?

もし収入が月7万円から月10万円に上がったとすると、所得税がかかる可能性があります。そこで、以下の条件で月10万円を得た場合の税額を計算しましょう。
 

・東京都在住
・夫婦2人の会社
・社会保険は加入していない
・賞与は考慮しない
・控除は給与所得控除、基礎控除のみ
・控除額は令和6年度のものを使用する

 
まず、月10万円ということは年収120万円です。給与所得控除55万円を差し引くと、65万円になり、この金額が給与所得として課税されます。
 
所得税の基礎控除は48万円のため、所得税の課税所得は17万円です。この場合、税率5%をかけて、8500円の所得税が課されます。
 

家族を雇うときの注意点

まず、家族を雇って勤務する場合、「名ばかり従業員」にならないようにしましょう。会社の節税のため、勤務実態がない家族に従業員として扶養の範囲内で賃金を支払うことを「名ばかり従業員」と呼ぶことがあります。
 
しかし、名ばかり従業員は経費計上できません。もし夫が自社の節税のために実際には勤務していない家族へ給与を支払おうとしているならば、経費にならないことを伝えましょう。
 
また、労働基準法第116条第2項では「この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない」と定められています。しかし、同居家族以外の従業員を雇うと労働基準法が適用されます。
 
あとから家族以外の従業員を雇った場合、知らない間に労働基準法に抵触する可能性があるので、今までの働き方で問題ないか必ず確認しましょう。
 

収入が月7万円なら所得税はかからない可能性がある

手渡しで給料をもらっていて、会社から源泉徴収されていない場合、自分で確定申告をしなければなりません。しかし、給与所得控除や基礎控除の金額を超えなければ所得税はかからないため、月7万円の収入は申告が不要になる可能性があります。
 
ただし、会社が節税のために家族を名ばかり従業員として雇用していると、会社の経費には給料分を計上できません。また、雇用されているのが同居の家族のみであれば労働基準法は適用されませんが、あとから家族以外の従業員を雇った場合、同法が適用されることになります。今までの働き方で問題ないか必ず確認しましょう。
 

出典

e-Govポータル法令検索 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号) 第三章 賃金 第二十四条(賃金の支払)、第十二章 雑則 第百十六条(適用除外)
e-Govポータル法令検索 労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号) 第七条の二
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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