高校生の子どもが「コンビニバイトで月4万円」稼ぎ始めました。扶養控除に影響が出るのでしょうか?
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー
所得税における扶養控除
2025年から、給与所得控除が55万円から65万円に、基礎控除が48万円から58万円(ただし令和7~8年分の2年間のみ適用:最大で95万円)に引き上げられました。これにより、所得税が課せられる年収のボーダーラインが103万円から123万円に変更となります。
この改正に伴い、子どもがアルバイトなどで収入を得ている場合、2025年から給与収入が123万円(合計所得金額58万円)以下であれば扶養控除の対象となります(改正前:給与収入103万円、合計所得金額48万円) 。
つまり、子どもの年収が123万円以下であれば親は扶養控除を維持でき、年収が123万円を超えると扶養から外れ、親の税金が増えることになります。
施行日は令和7年12月1日で、令和7年分(2025年1月1日~12月31日)の所得税から適用されます。このため、2025年12月に行う年末調整や、2026年に提出する2025年分の確定申告からは、新しい制度が適用されます。
今回の記事で取り上げたケースでは子どもの年収が48万円ですので、給与所得控除後の所得は0円となり、扶養控除の適用対象になります。つまり、扶養控除には影響がありません。
住民税における扶養控除
これまで住民税は、年収100万円を超えると課税対象になっていました。2026年からは、年収110万円を超えると住民税が課税されます。これは2025年の所得をもとに計算され、2026年に支払う住民税から適用されます。
今回のケースでは子どもの年収が48万円ですので、住民税の扶養控除の対象にもなり、扶養控除に影響はありません。
子ども本人の税金
これまで勤労学生控除を受けるためには、合計所得金額が75万円以下である必要がありました。しかし2025年改正により、この要件が85万円以下に引き下げられました。
給与所得のみの場合、給与所得控除の最低保障額は55万円から65万円に引き上げられたため、給与収入の上限も130万円から150万円に引き上げられました。
つまり、給与収入が150万円以下であれば、勤労学生控除の対象となります。今回は子どもの年収が48万円ですので、所得税、住民税とも発生しません。
なお、年末には勤務先から源泉徴収票を受け取り、内容を確認することをおすすめします。確定申告を行うことで、源泉徴収された税金が還付される可能性があります。
また、子どもの給与収入が123万円を超えると扶養控除の対象外となり、親の扶養から外れます。しかし、給与収入が150万円以下であれば、子ども本人は「勤労学生控除」を使えることになります。
まとめ
子どもがコンビニでのアルバイトで月4万円(年収48万円)を稼ぐ場合、所得税の扶養控除および住民税の扶養控除の適用対象になり、扶養控除に影響は出ません。また、子ども本人の税金も発生せず、還付を受けられる可能性があります。
2025年の改正で、子どもがアルバイトなどで収入を得ている場合、給与収入が123万円以下であれば扶養控除の対象になります。これにより、学生がアルバイトなどで月10万円程度稼いでも、親の扶養に入れることになりました。
出典
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
内閣府 第5回 税制調査会(2025年5月15日)資料一覧 [総5-2]総務省 説明資料(個人住民税について)
国税庁 No.1180扶養控除
国税庁 No.1175勤労学生控除
執筆者 : 水上克朗
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー
