息子に「Switchもう使わない」と言われたので、メルカリに出品。売り上げ「1万5000円」は“誰の所得”になるのでしょうか?
実はこのようなケース、誰が出品したか・誰の持ち物だったかによって、所得の扱いや税金の要否が変わります。この記事では、このよくある家庭内のやりとりを税務の視点から解説します。
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目次
Switchの売り上げ1万5000円は“誰の所得”? 出品者と所有者の視点で整理する
税金の世界では、「そのお金が誰のものか」を判断する際に、「誰がその資産を実質的に所有・管理していたか」という実態が重視されます。
たとえ親が出品した場合でも、Switchを実際に所有・管理していたのが息子さんであり、息子さんが売却を主導して収益を得た場合には、その売り上げは息子さんの所得と考えられます。ただし、未成年者の少額の所得については親権者の管理下とみなされることもあります。
逆に、親が買い与えたものの実態として親が所有・管理していた場合や、親が売却し収益を得ている場合は、売り上げは親の所得とみなされます。
要するに、「名義」での判断ではなく、実際に誰がその資産を使用・管理していたか、誰が売却の判断をしたか等、実態が判断基準になります。「子どもにあげた」と言った場合でも、実際に子どもが所有・売却していた場合は子どもの所得ですが、あくまで実態に基づいて判断されます。
このケースは税金がかかる? メルカリでの譲渡所得と課税の判断基準
Switchのようなゲーム機は「生活用動産」にあたり、個人が生活で使っていた物を売った場合には税金は基本的にかかりません。これは「譲渡所得の非課税」に該当するからです(所得税法第9条1項9号)。ただし、高額なもの(1点30万円超)を売ったときは注意が必要です。
最初から利益を得る目的で頻繁に販売している場合、譲渡所得ではなく「事業所得」や「雑所得」として課税対象となる場合があります。
今回のケースでは、Switch1台を1万5000円で売却しているため、譲渡所得の対象ですが、非課税となります。これは生活用動産であり、1点の金額も30万円以下であるためです。
確定申告が必要になる可能性はある? 所得区分と金額基準
Switchの売却だけなら、通常は確定申告の必要はありませんが、次のような場合には注意が必要です。
●売却による所得が、副業の場合は年間20万円、本業の場合は48万円を超えると、確定申告が必要になります。また、生活用動産の場合は1点の価額が30万円を超えると課税対象となる場合があります。
●継続的・反復的に転売を行って利益を得ていると判断されると、事業所得または雑所得として課税されます。
●複数台のSwitchなどを転売目的で仕入れ継続的に販売している場合、税務署は副業と見なして課税する可能性が高くなります。
一方、家庭の不用品を1回だけ売却し、利益が少額であれば、税務署は通常課税対象とは見なしません。
この売り上げは税務上どう扱われ、誰が申告すべきか?
今回の「Switchを1万5000円で売った」ケースでは、以下のように理解すると安心です。
所有者が誰かは税務上の大前提であり、子どもが実質的に所有し管理していた場合はその所得は子どものものとされます。ただし未成年の場合は親権者の管理状況や所得の大きさによって扱いが異なります。
Switchは生活用動産に該当し、日常使用していた物の売却による所得は原則非課税です。そのため、確定申告は基本的に不要です。ただし、営利目的の転売や高額商品(1点30万円超)の継続的な販売の場合は課税対象となりうるため注意が必要です。
お金を親が受け取った場合でも、所有権や実態に基づき所得者は息子さんになることがありますが、未成年の少額所得に関しては多くの場合申告不要となります。
出典
e-Gov 法令検索 所得税法第9条1項9号
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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