妻の「昔のブランドバッグ」が30万円で売れた!“普段使っていた”なら「20万円超」でも申告不要って本当ですか? 適用される“特別なルール”とは
本記事では、フリマアプリで収入を得た際の税金の基本的な考え方から、確定申告が必要になるケースの基準まで分かりやすく解説します。
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目次
普段使っていたバッグの売却なら税金も確定申告も不要
普段使っていたバッグを売って30万円を得ても、基本的に税金の支払いは発生しません。また、会社員の人がよく気にする「給料以外の所得が年間20万円を超えたら確定申告が必要」というルールも、今回のケースには当てはまりません。
なぜなら、個人の不用品売買には「生活用動産の譲渡は非課税」という、法律上の特別なルールが適用されるからです。この生活用動産について、分かりやすく解説します。
なぜ税金がかからない? 知っておきたい「生活用動産」のルール
「生活用動産」とは、簡単に言うと「普段の生活で使っている、身の回りの物」全般のことです。例えば、以下のような物が「生活用動産」に該当します。
・毎日着ている洋服
・家の中にある家具や家電
・通勤や買い物に使う自動車
・普段使いしているバッグや時計
そして、法律では「生活用動産を売って得た利益には、税金をかけません」と定められています。もし、着なくなった服を売るたびに税金の計算が必要になったら、とても大変です。私たちの日常生活に配慮して、このような規定が設けられています。
ただし、これには注意点もあります。フリマアプリでの売却でも、売るモノや目的によっては確定申告が必要になったり、税金が発生したりするケースがあります。そうしたケースについて詳しく見ていきましょう。
フリマアプリでの売上でも確定申告が必要になる3つのケース
「フリマアプリでの売却なら、どんなものを売っても税金がかからない」と安心してしまうのは危険です。以下のような場合は、確定申告が必要となったり、税金が発生したりする可能性があります。
・30万円を超える高額なぜいたく品を売ったとき
・もうける目的で転売を繰り返しているとき
・フリマアプリ以外の副業の所得が年間20万円を超えている場合
それぞれ詳しく解説していきます。
ケース1:「30万円を超えるぜいたく品」を売った場合
普段使っていたものであれば、どんなものでも税金がかからないわけではありません。指輪やネックレスといった宝石・貴金属、あるいは美術品や骨とう品など、1個または1組の売却価格が30万円を超えるものは、法律上「ぜいたく品」として扱われます。これらを売って利益が出た場合は課税対象となり、確定申告が必要です。
例えば、クローゼットにあったバッグを30万円で売っても税金はかかりませんが、ダイヤモンドの指輪を35万円で売って利益が出た場合は課税の対象となります。
ケース2:「もうけるため」に転売を繰り返している場合
自分の不用品をたまに売る程度であれば、税金は発生しません。しかし、商品を安く仕入れて高く売るといった転売を、フリマアプリで継続的に行っていると、個人の不用品売却ではなく「事業」と見なされます。
この場合に得た利益は、「事業所得」や「雑所得」として課税対象になります。会社員などの場合、この所得が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。
ただし、所得が20万円以下で確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は原則として必要なので注意しましょう。
ケース3:フリマアプリ以外の副業の所得が年間20万円を超えている場合
副業の所得が20万円を超えている場合、その収入については確定申告が必要です。しかし、普段使っていたバッグなどを売って得た利益は、副業の所得の計算に含める必要はありません。
例えば、会社員がバッグを売って30万円の利益を得たほかに、アルバイトで年間25万円の収入があったとします。この場合、アルバイトの収入が20万円を超えているため、所得税の確定申告が必要です。
しかし、その際に申告書へ記載するのはアルバイト収入の25万円のみです。バッグを売って得た30万円は非課税のため、この計算に含める必要は一切ありません。
普段使いのモノなら、フリマで高額で売れても基本的に税金はかからない
普段使っている洋服やバッグなどの「生活用動産」であれば、30万円のような高額で売れても、原則として税金の支払いや確定申告は不要です。多くの人が20万円を超えたら確定申告の必要があると心配する副業所得の計算にも、この売上を含める必要はありません。
しかし、宝石など「30万円を超えるぜいたく品」の売却や、「もうけるための転売」は課税対象となります。フリマアプリで売買を行うのは、今や当たり前の時代です。税金や確定申告について不安になったときは「生活用動産」か「もうける目的」かを確認することで、ほとんどの疑問は解決できるでしょう。
出典
国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
執筆者 : 大垣はち
FP2級
