政府の税収が“過去最高”だと聞きました。わが家の家計は物価高で大変なのに、なぜ税収は増えているのですか?
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
国の税収 過去最高を更新!
財務省が7月2日発表した、2024年度の国の一般会計税収は75兆2320億円となりました。これは、前年よりも4%増えて、5年連続で過去最高を更新しています。
国の税収が大きく増えている要因は、法人税収や消費税収が高いことによるものです。法人税収は17兆9101億円で前年より12.9%アップし、バブル期以来の高水準となっています。また、消費税による税収も8.4%のアップとなり、消費や輸入の増加を反映して、25兆円に達しました。
なお、今回の国の税収アップを受けて、政府は赤字国債の発行を5兆円分取りやめることになりました。また、国の歳入(主に税収)から歳出(支出)を引いたあまりの金額である「純剰余金」は2億2645万円となり、国債の返還や防衛費などに充てられる予定です。
国の収益を国民に還元してほしい!
日本政府の収入が過去最高なのだから、私たちの家計も改善してほしいと考える方もいるかもしれません。
実は、日本政府は、国民にも、この収益アップを還元する試みを行っています。例えば、2024年は「定額減税」という政策を実施しました。これは、国民1人につき4万円の減税を行った制度です。また、自民党は2025年6月に、国民1人当たり2万円を給付する案について検討を始めたことを明らかにしました。
しかし、このような政策が実施されたにも関わらず、一般の家庭では、家計が決して楽にならないと感じている方もいるかもしれません。その大きな理由として、特に挙げられるのが「物価高の影響」です。
日本では米の高騰など、食料品をはじめとするさまざまな商品やサービスの値上げが相次いでおり、物価高が続いています。ご家庭では、物価の上昇に収入の上昇が追い付かず、家計が厳しいケースもあるかもしれません。
家計の収入アップを目指す方法
家計を改善するには、物価高への対応として、収入を増やすことが最も有効です。もちろん、国が行う政策に期待することも大切ですが、能動的に、自分たちで働いて得る収入を増やす方法を考えてみましょう。
先ほどご紹介した通り、日本の法人税の収入は大きく伸びています。つまり、ここ数年、日本企業の収入は大きく増えていることが分かります。企業の収入が増えている場合、その利益が社員に還元されるケースも多いので、今後収入アップが見込めるチャンスは多いでしょう。
また、人手不足で時給が高めに設定されているパートの仕事で働く、副業を行うなどのほか、すぐには難しいかもしれませんが、現在業績が伸びている企業に転職するなども視野に入れると、大きな収入アップにつながるかもしれません。
まとめ
日本政府の会計について、今まであまり興味がなかった方もいるかもしれません。しかし、日本国のお財布事情は、私たちの生活に大きな影響を与えます。
日本の税収がなぜ増えているのか、今後はどうなるのかなど、経済ニュースにぜひアンテナをはり、国の政策にも注目してみましょう。そして、一個人としては、収入をアップする方法がないか検討してみると良いでしょう。
出典
財務省 令和6年度一般会計税収の予算額と決算額(概数)
財務省 令和6年度決算
執筆者 : 下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
