「ふるさと納税」を「最大限」利用すると、どのくらいの節約効果がありますか?
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税とは、自分で選択した都道府県や市区町村への寄附を行った場合に、寄附額のうち2000円を越える部分について、所得税と住民税から全額が原則控除される制度です。しかも節税対策になるだけでなく、寄附に対する地方色のある返礼品やお米や肉といった食料品などが受け取れます。
ただし、寄附額には一定の上限があります(のちほど詳しく解説します)。
1. ふるさと納税をする流れ
(1)Webでふるさと納税サイトを検索し、自身の気に入ったサイトを選びます。
(2)そのサイトで、もらいたい返礼品や応援したい自治体を選択し、サイトのガイドに従って、寄附を行います。
寄附を行った際に「ワンストップ特例の申請」を選択すると、ふるさと納税を行う自治体の数が5団体以内であれば、確定申告をすることなく自動的に減税手続きが行われます。
なお、ワンストップ特例の申請を行わない場合は、自治体から発行される納税を証明する書類をもって、確定申告をする必要があります。
(3)該当の自治体から返礼品が送付されてきます。人気のある返礼品などは、数ヶ月間の待ちが発生する場合があります。
併せて、ワンストップ特例の申請を自治体のガイドに従って行います。一部の自治体においては、マイナンバーカードを利用したワンストップ特例のオンライン申請も可能になっています。
(4)ふるさと納税を行った翌年度の住民税が減額されます。なお、所得税の控除は行われませんが、その分も含めて住民税から減額がされます。
ふるさと納税を最大限に活用するためのポイント
ふるさと納税を最大限に活用するには、自身の年収や家族構成から、自己負担2000円で寄附できる上限額を把握することが重要です。この上限額を超えて寄附すると、超えた分は控除の対象にならず、自己負担が増えてしまいます。図表1に上限額の目安をまとめましたので、参考にしてください。
正確な計算は寄附翌年に住所地の市区町村に確認する必要がありますが、簡易的に寄附金控除額を計算(シミュレーション)するサイトもあるので、そちらも参考にするとよいでしょう。
図表1:年収・家族構成ごとの税金控除額の年間上限額一覧(単位:円)
| 給与収入 | 家族構成 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 独身または共働き※1 | 夫婦※2 | 共働き+子1人(高校生※3) | 共働き+子1人(大学生※3) | 夫婦+子1人(高校生) | 共働き+子2人(大学生と高校生) | 夫婦+子2人(大学生と高校生) | |
| 300万円 | 28,000 | 19,000 | 19,000 | 15,000 | 11,000 | 7,000 | - |
| 350万円 | 34,000 | 26,000 | 26,000 | 22,000 | 18,000 | 13,000 | 5,000 |
| 400万円 | 42,000 | 33,000 | 33,000 | 29,000 | 25,000 | 21,000 | 12,000 |
| 450万円 | 52,000 | 41,000 | 41,000 | 37,000 | 33,000 | 28,000 | 20,000 |
| 500万円 | 61,000 | 49,000 | 49,000 | 44,000 | 40,000 | 36,000 | 28,000 |
| 550万円 | 69,000 | 60,000 | 60,000 | 57,000 | 48,000 | 44,000 | 35,000 |
| 600万円 | 77,000 | 69,000 | 69,000 | 66,000 | 60,000 | 57,000 | 43,000 |
| 650万円 | 97,000 | 77,000 | 77,000 | 74,000 | 68,000 | 65,000 | 53,000 |
| 700万円 | 108,000 | 86,000 | 86,000 | 83,000 | 78,000 | 75,000 | 66,000 |
| 750万円 | 118,000 | 109,000 | 109,000 | 106,000 | 87,000 | 84,000 | 76,000 |
| 800万円 | 129,000 | 120,000 | 120,000 | 116,000 | 110,000 | 107,000 | 85,000 |
| 900万円 | 152,000 | 143,000 | 141,000 | 138,000 | 132,000 | 128,000 | 119,000 |
| 1000万円 | 180,000 | 171,000 | 166,000 | 163,000 | 157,000 | 153,000 | 144,000 |
| 1100万円 | 218,000 | 202,000 | 194,000 | 191,000 | 185,000 | 181,000 | 172,000 |
| 1200万円 | 247,000 | 247,000 | 232,000 | 229,000 | 229,000 | 219,000 | 206,000 |
| 1300万円 | 326,000 | 326,000 | 261,000 | 258,000 | 261,000 | 248,000 | 248,000 |
| 1400万円 | 360,000 | 360,000 | 343,000 | 339,000 | 343,000 | 277,000 | 277,000 |
| 1500万円 | 395,000 | 395,000 | 377,000 | 373,000 | 377,000 | 361,000 | 361,000 |
| 1600万円 | 429,000 | 429,000 | 412,000 | 408,000 | 412,000 | 396,000 | 396,000 |
| 1700万円 | 463,000 | 463,000 | 446,000 | 442,000 | 446,000 | 430,000 | 430,000 |
| 1800万円 | 498,000 | 498,000 | 481,000 | 477,000 | 481,000 | 465,000 | 465,000 |
| 1900万円 | 533,000 | 533,000 | 516,000 | 512,000 | 516,000 | 500,000 | 500,000 |
| 2000万円 | 569,000 | 569,000 | 552,000 | 548,000 | 552,000 | 536,000 | 536,000 |
(総務省 「ふるさと納税」ポータルサイトから引用)
※1「共働き」は、ふるさと納税を行う方本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースを指します(配偶者の給与収入が201万円超の場合)。
※2「夫婦」は、ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケースを指します。
※3「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」を、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」を指します。
まとめ
ふるさと納税は、寄附額のうち2000円を越える部分について、所得税と住民税から全額が原則控除される制度です。ただし、自身の年収や家族構成などによって、上限額が決まってきますので、その額をしっかり把握して寄附を行いましょう。
なお上限額を超えた分は控除の対象となり、自己負担分が増えてしまいます。寄附額の上限に注意しながら、ふるさと納税の制度を無理なく有効活用しましょう。
出典
総務省 ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税のしくみ
執筆者 : 堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー
