2026年4月から始まる”独身税”は子どもがいない家庭も、子どもが成人した家庭も支払い対象になりますか?

配信日: 2025.08.02 更新日: 2025.08.04
この記事は約 4 分で読めます。
2026年4月から始まる”独身税”は子どもがいない家庭も、子どもが成人した家庭も支払い対象になりますか?
実効性のある少子化対策として、2024年6月5日、「改正子ども・子育て支援法」が成立し、財源確保として2026年4月から支援金(いわゆる独身税)の徴収が始まります。この子ども・子育て支援金について、誰がいくら負担するのか、何に使われるのか説明します。
新美昌也

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

子ども・子育て支援金の概要

支援金を負担するのは、独身に限らず、すべての国民や事業主です。2026年度から徴収が始まり、医療保険とあわせて支払います。
 
こども家庭庁の試算によると、医療保険加入者(被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度)1人あたりの支援金額(月額)は毎年増え、制度全体で2026年度は平均250円、2027年度は350円、2028年度は450円と見込まれています。
 

被用者保険の支援金(本人負担分)の負担額詳細

支援金は、加入している医療保険の種類や所得によって異なります。まずは医療保険制度別に見てみましょう。以下はこども家庭庁の試算による2026年度の支援金額(月額)の見込み額です。
 
まずは3つの被用者保険の支援金について見ます。
 
「協会けんぽ」では250円、「健保組合」で300円、「共済組合」では350円の見込みとなっています。
 
なお、「国民健康保険」では250円、「後期高齢者医療制度」では200円の見込みです。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」には医療保険分と同様に、低所得者に対して負担額が軽減されるしくみがあります。
 
次に、被用者保険について収別に見てみましょう。以下はこども家庭庁の試算による2028年度の支援金額(月額)の見込み額です。

年収200万円では350円、400万円では650円、600万円では1000円、800万円では1350円、1000万円では1650円になる見込みです。ただし、賃上げ水準により増減する可能性があります。
 
支援金額(月額)は気になるところではないでしょうか。詳細は、こども家庭庁のホームページで確認できます。
 

支援金は何に使われるの?

子ども・子育て支援金を財源に、次のような子育てに関する事業に使われます。それら以外の目的で使用されません。事業はすでに2024年より段階的にスタートしています。主な事業について見てみましょう。
 

●児童手当の拡充(2024年10月分~)

所得制限が撤廃されました。従来、中学生まで対象となっていましたが、高校生世代にも支給されるようになりました。その額は3歳以上と同じ月額1万円、第3子以降は3万円が支給されるようになりました。なお、第3子のカウントの対象年齢も、18歳年度末から22歳年度末まで変更されています。
 

●妊娠・出産時の支援強化(2025年度~)

・妊婦のための支援給付
妊婦のための支援給付は、2回に分けて支給されます。妊娠届出時に5万円、出産予定日の8週間前の日以降の胎児の人数の届出後に、胎児1人あたり5万円が支給されます。
 
・出産後休業支援給付金
出産後休業支援給付金は、夫婦ともに子の出生直後の一定期間に14日以上の育児休業を取得する場合に、休業開始前賃金の13%相当額を受給できます。出生時育児休業給付金または育児休業給付金とあわせて、最大28日間受給できます。
 
・育児時短就業給付金
2歳に満たない子を養育するために時短勤務した場合に、育児時短就業前と比較して賃金が低下するなどの一定の要件を満たした場合に受給できます。育児時短就業中に支払われた賃金額の10%相当額の育児時短就業給付金を受給できます。
 

●こども誰でも通園制度(2026年度本格実施、一部の市町村では2025年度から実施)

こども誰でも通園制度は、従来の保護者の就業条件を外し、月10時間の枠内で(時間単位で)柔軟に保育園等を利用できる制度です。0歳6ヶ月から3歳未満が対象です。
 

まとめ

本記事では、2026年度から始まる「子ども・子育て支援金制度」について見てきました。
 
この制度は、子どもがいない家庭も、子どもが成人した家庭も含め、社会全体で子ども・子育てを支え、少子化に歯止めをかけるのが狙いです。そのための支援金(財源)は、医療保険の加入者が、医療保険料とあわせて負担をするもので、2028年度まで段階的に増加します。
 
支援金は、前述のとおり、児童手当の拡充や妊娠・出産時の10万円の給付金など子育てに関する事業の財源に充てられます。
 
ただ、現役世代にとって毎月の負担額は少額とはいえ、毎月の固定費が増えることは家計にとっては好ましくありません。無駄な支出がないか家計を見直し、支援金の負担に備えましょう。
 

出典

こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度について
こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度のQ&A
 
執筆者 : 新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問