年収「600万円」のサラリーマンですが「税金対策」をしたことがありません。どのくらい「損」しているのでしょうか?
本記事では、サラリーマンができる主な「税金対策」について解説します。
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
サラリーマンの税金対策の基本
サラリーマンの税金対策の基本は、会社での年末調整を正しく実施することです。これによって、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、生命保険控除、地震保険控除など所得から控除が行われ、その分税金が軽減されます。
したがって、会社への確定申告の申請を漏れなく正しく行うことが、サラリーマンにとってとても重要になります。
そして、以降解説する税金対策の内容も知って、活用するようにしましょう。
税金の世界は「知らない人は損をして、知っている人が得をする」ともいわれていますので、しっかり内容を把握し、対策をしていないものがあれば、早々活用するようにしましょう。
具体的な税金対策
次に、サラリーマンができる主な税金対策について解説します。
1. 医療費控除
医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合に、支払った医療費が一定額を超えるときに、所得の控除を享受できるものです。
次のような計算式によって、医療費控除の具体的な額が算出されます(最高200万円)。
(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円
例えば、医療費が50万円で医療保険が20万円だった場合には、その差額の30万円から10万円を引いた20万円が、控除の対象となります。
2. ふるさと納税
総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」によると、「ふるさと納税とは、自分が選んだ自治体に寄附を行った場合に、寄附額のうち2000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です」とあります。これに加えて、寄附した自治体から食料品や日常品などの返礼品を受け取ることができます。
ただし、控除額には一定の上限額があり、それは納税する人の年収や家族構成によって決まってきます。例えば、年収600万円の給与所得者の方で、扶養家族が配偶者のみの場合は6万9000円ほどとなります。
「寄附金控除額の計算シミュレーション」を行えるサイトもありますので、参考にするとよいでしょう。
3. 住宅ローン控除
個人が住宅ローン等を利用してマイホームの新築・取得または増改築等をし、一定の要件を満たせば、所得税の減税を享受できます。
例えば、令和7年に認定長期優良住宅に居住開始した方は、年間で最大31万5000円、最長で13年間、年末のローン残高の0.7%が控除されます(詳しくは、国税庁のホームページを参照したり、住所地にある税務署、もしくは税理士などの専門家に相談したりしましょう)。
なおサラリーマンの場合には、初回は自分で手続きをする必要があるので、注意が必要です。2年目以降は、会社の年末調整で処理をしてくれます。
4. iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoとは、公的年金(国民年金・厚生年金)にプラスして年金を受け取ることができる私的年金制度です。私的年金なので、加入は任意となっています。
具体的には、自分自身で決めた掛金を積み立てて運用し、60歳以降に年金として受け取ることができます。加入の申し込みや掛金の拠出、掛金の運用の全てを自己責任で行う必要がありますが、掛金、運用益、そして給付を受け取るときに、税制上の優遇措置を受けることができます。
サラリーマンで会社に企業年金がない人は月額2万3000円、その他の方は月額2万円を上限額として、掛金を拠出できます。
5. NISA(少額投資非課税制度)
NISAとは、少額からの投資を行うための「少額投資非課税制度」です。この制度を活用すれば、株式や投資信託などで得られた利益や配当にかかる通常約20%の税金が、非課税になります。
NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあり、年間投資枠がそれぞれ120万円と240万円、両枠合わせて1800万円(うち1200万円が成長投資枠)が非課税保有限度額となっています。
銀行や証券会社などにNISA口座を開設すれば、NISAの利用を開始することができます。まだ利用していない方は、銀行や証券会社などの金融機関に相談するとよいでしょう。
まとめ
サラリーマンの税金対策の基本は、会社で行ってくれる年末調整を、漏れなく正しく行うことです。そして、知らないことで損をすることがないよう、各種税金対策の制度を理解して、活用するのがポイントです。
活用にあたっては、国税庁のホームページなどネットで調べることもできますが、正確に知りたい場合には、住所地の税務署のほか、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみてください。
出典
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 令和6年分 確定申告特集(住宅ローン控除を受ける方へ)
国税庁 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
総務省 ふるさと納税ポータルサイト
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト
厚生労働省 iDeCoの概要
金融庁 NISA特設ウェブサイト NISAを知る
執筆者 : 堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー
