【実録】カフェで「テイクアウト」注文したら“イートインの税率”がレシートに! 店員さんに「支払う金額は変わらない」と言われたけど、本当に“損”してない?
テイクアウトであれば、軽減税率で消費税が8%ではないかと店員に尋ねたところ、「お客様の支払う金額は変わりませんが、打ち直しますか?」との返答があったとのことです。
店員がそう言うのならば、とその日はレシートの打ち直しを求めなかったものの、Aさんは疑問が残ったそうです。後日同じ店舗で同じメニューを再びテイクアウトしたところ、今度はレシートに「内税8%」と記載されていました。金額は前回と同じ830円です。
テイクアウトとイートインは税率が違うのに、支払金額が変わらなかったのはなぜなのでしょうか。本記事では、Aさんの体験をもとに、テイクアウトとイートインの税率について解説していきます。
ファイナンシャルプランナー2級
目次
テイクアウトとイートインでは税率が違う
消費税は現在10%ですが、食品や飲料を「持ち帰り」する場合は、軽減税率の対象となり8%が適用されます。
軽減税率とは、生活必需品である飲食料品の税率を抑えることで、低所得者の税負担を軽くするための制度です。新聞、酒をのぞく飲食料品が対象であり、テイクアウトにも適用されます。一方、同じ飲食料品でも外食やケータリング等は軽減税率の対象には含まれません。
そのため、同じ内容の飲食であっても、イートインでは10%の税がかかるのに対し、テイクアウトでは軽減税率の8%がかかるのです。
しかし、店によってはテイクアウトとイートインで支払額が変わらないように、商品の値段を調整しているところもあります。Aさんのケースでは、実際にはテイクアウトだったにもかかわらず、店側の操作ミスにより「イートイン扱い(10%)」として処理されてしまったと思われます。
金額は同じ? 税率の違いが与える影響とは
実際にAさんが受け取ったレシートは、一見すると「税率が違っても金額は同じだから問題ない」と思いがちですが、実はこの場合、税抜き価格が異なっていることになります。
イートイン(10%適用の場合):830円÷1.10≒754円(税抜)
テイクアウト(8%適用の場合):830円÷1.08≒768円(税抜)
つまり、税込価格で見た場合に支払金額が同じであっても、10%扱いのほうが税抜価格は低くなるのです。支払う額は同じなので客側が損をしているわけではありませんが、本来8%の税金の商品が10%で処理されたという事実が残るため、気になる人はその場で修正をお願いするのがよいでしょう。
間違いに気づいたらどうする? 打ち直してもらうべき?
レジで税率が誤っていても支払う金額が同じであれば、レシートの打ち直しは必要ないのではと思うかもしれませんが、基本的には正しい税率でレジ打ちをするのが望ましいといえます。
今回のAさんのように、飲食の目的が「個人の食事」や「個人の娯楽」であれば、大きな問題はありませんが、仮にこのレシートや領収書を経費精算や確定申告に使う場合、税率の表記は重要になってくる可能性があります。
また、販売する店側としても、帳簿上、正しい税区分で記録する必要があります。誤ったまま処理すると、企業側の納税や会計処理に支障が出ることも考えられます。
さらに、軽減税率は日常的な飲食費の負担軽減を目的とした制度です。制度が正しく運用されるためにも、間違いに気づいたら遠慮せず訂正をお願いするのがいいでしょう。
支払額は同じでも、気になる場合は訂正をお願いしよう
今回のように、「テイクアウトしたのに税率が10%」という間違いは、レジの操作ミスで起きることがあります。支払う金額が変わらないのなら問題ないと思う人が多いかもしれませんが、なんとなく気になってしまうこともあるでしょう。
また、レシートや領収書を確定申告等で使用する場合は、申告時にトラブルになる可能性もあります。このような場合は、遠慮せず、店員にレシートの打ち直しをお願いするようにしましょう。
出典
国税庁 No.6102 消費税の軽減税率制度
執筆者 : 渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級
