人間ドックの結果でポリープが見つかり、切除。切除費用「2万円」や人間ドック費用は「医療費控除」の対象になる?
今回は、健康診断が医療費控除の対象になるのかや、対象になった場合の計算方法、医療費控除適用後の税額の例などについてご紹介します。
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医療費控除の対象になるもの
国税庁によると、医療費控除の対象になるのは「その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」です。具体例としては、以下が挙げられます。
●医師や歯科医師による診療費
●治療のための医薬品購入費
●病院や介護施設などへの入院、施設利用料
●診療を受けるための通院費(公共交通機関を利用の場合)
●治療や診療に必要な器具の購入費用など
健康診断自体は、治療のために受けるものではありません。そのため、原則として医療費控除の対象にはならないと示されています。通常の健康診断のほか、メタボリックシンドロームにかかる特定健康診査の費用も、原則として対象外です。
健康診断が対象になる条件とは
健康診断は原則として、医療費控除の対象にはなりませんが、その健康診断が結果として治療に結びついた場合は、医療費控除の対象になる可能性があります。
健康診断の結果で重大な疾病が見つかり、診断から治療にまで至った場合は、健康診断が治療に先立って行われた診察と同じと考えられるためです。もし、健康診断で重大な病気が見つかって診療を受け、治療してもらった場合は、このケースに該当するため医療費控除の対象になるでしょう。
また、メタボリックシンドロームにかかる特定健康診査の場合も同様です。高血圧症や糖尿病と同程度の基準であると認定され、特定健康診査を担当した医師の指示により特定健康指導が行われていれば、医療費控除の対象になります。
適用されると医療費控除で税額はいくら安くなる?
医療費控除の対象になった場合、控除される金額の計算式は「実際に支払った医療費-高額療養費制度を始めとする保険金などで補填される金額-10万円(該当年の総所得が200万円未満のときは総所得の5%)」です。
支払った医療費が2万円のみの場合は、総所得が40万円未満でなければ医療費控除の対象額に至りません。しかし、同じ年に医療費をほかにも負担していれば、医療費控除の対象になる可能性があります。
今回は、以下の条件で医療費控除により税額がいくら変わるかを比較してみましょう。
●総所得が150万円
●その年の医療費はポリープ切除費用2万円とほかの医療費8万円、合計10万円の支出
●高額療養費制度などによる支払いは受けていない
●適用される控除は医療費控除と基礎控除のみ
●社会保険料は考慮しない
●基礎控除は令和6年度を基準とする
●住民税は総務省の基準を基に計算する
まず、医療費控除の金額は「10万円-7万5000円」で2万5000円です。条件を基にすると、医療費控除の有無で税額は表1のように変わります。
表1
| 医療費控除なし | 医療費控除あり | |
|---|---|---|
| 所得税課税所得 | 102万円 | 99万5000円 |
| 所得税額 | 5万1000円 | 4万9750円 |
| 住民税課税所得 | 107万円 | 104万5000円 |
| 住民税額 | 11万2000円 | 10万9500円 |
※筆者作成
医療費控除のある方が、合計で3750円安くなる結果です。
なお、実際には社会保険料控除など、ほかの控除によって金額は変動する可能性があります。今回の結果は参考としてください。
健康診断による結果であれば切除費用も人間ドック費用も医療費控除の対象
基本的に、医療費控除の対象となるのは治療のための診療や入院費用などです。健康診断を受けるだけの場合は、治療が目的でないので対象にはなりません。
しかし、健康診断でポリープが見つかり、結果として診療から切除にまで至った場合は、健康診断も先立っての診療と判断され、医療費控除の対象になる可能性があります。
もし、医療費控除の対象となり、計算の結果控除される金額があれば、所得税や住民税が安くなります。健康診断の結果により治療にまで至った場合は、それぞれの領収書などを残しておいて、医療費控除を申告するといいでしょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1122 医療費控除の対象となる医療費
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
