2025年の最低賃金は全国平均「1100円前後」になりそうと聞きました。夫の扶養内で働きたいのですが、「時給1100円」だと1週間でどのくらい働けますか?
本記事では、時給1100円の場合の月間・週ごとの勤務時間の目安を、税金・社会保険の扶養条件ごとに解説します。
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目次
2025年の最低賃金の見通し
令和7年8月4日、第71回中央最低賃金審議会が開催されました。厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金改定の目安について」によると、目安どおりに各都道府県で最低賃金が63~64円の引き上げが実施されると、全国加重平均で1118円となるとされています。
東京や神奈川など都市部では1220円を超える見込みで、パート・アルバイトの時給水準にも大きく影響する可能性があります。
時給1100円で扶養内に収めるには週に何時間まで働ける? 130万円と106万円の壁
社会保険上の扶養を維持するためには、大きく分けて二つの壁があります。
130万円の壁(社会保険の扶養判定)
夫の健康保険や年金の扶養に入るための基準です。年収130万円未満(月額10万8333円未満)であれば、扶養に入ることができます。時給1100円の場合、月10万8000円を超えないためには、月約98時間、週にすると22時間程度まで働くのが目安となります。
※交通費や手当がある場合は、合算する必要があります。
106万円の壁(勤務先の規模による社会保険加入要件)
会社の従業員数が51人以上で、週20時間以上勤務する場合は、月額賃金8万8000円以上(年収約106万円以上)で社会保険加入が義務づけられます。つまり、130万円未満であっても、勤務先や働き方によっては社会保険の加入が必要になるのです。
時給1100円で週20時間働くと、年収はおよそ114万円になります。この場合、130万円未満であっても106万円の壁に引っかかり、扶養から外れる可能性があるのです。
※交通費や臨時の手当などは含まれませんが、年収ではなく、月額賃金で判断されるため注意が必要です。
なお、106万円の壁の月額賃金要件は、最低賃金の状況を踏まえ、2025年6月から3年以内に撤廃されます。また、勤務先の規模要件も、今後10年かけて段階的に拡大される予定です。
2025年度の税制上の壁はどう変わった?
社会保険とは別に、税金上の「扶養控除」や「配偶者控除」の壁も存在します。2025年度からはこの基準が緩和されました。
■配偶者控除の対象は、年収103万円以下 → 年収123万円以下に拡大
■配偶者特別控除の満額適用は、年収150万円以下 → 年収160万円以下に引き上げ
■配偶者特別控除は年収160万円を超えると段階的に減り、年収201万6000円未満まで適用され、それを超えると控除はゼロになる
つまり、税制上は以前より高い収入でも配偶者の税金負担が増えにくくなり、パート主婦・主夫が働きやすくなったのです。
ただし、この「税制上の壁」が緩和されても、社会保険の壁は依然として大きな影響を持ちます。実際に手取り収入に影響するのは保険料の有無なので、「税金より社会保険の加入条件を優先して確認する」ことが重要です。
まとめ:扶養内で安心して働くには?
最低賃金が上がり、時給1100円が当たり前になる中で、扶養を維持するためには「130万円の壁」と「106万円の壁」の両方を意識する必要があります。130万円を超えれば当然扶養から外れますし、勤務先の規模や働き方によっては106万円を超えた時点で社会保険に加入しなければならない場合もあります。
税制上の壁は2025年度から緩和され、収入の上限が広がりましたが、実際の手取りに大きな影響を与えるのは社会保険の壁です。時給1100円で働く場合は、週20時間を超えるかどうか、そして年間収入が106万円・130万円を超えるかどうかを意識して働き方を決めることが大切です。
出典
厚生労働省 令和7年度地域別最低賃金改定の目安について
厚生労働省 社会保険の加入対象の拡大について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
