亡くなった夫の医療費「120万円」を息子が払ってくれました。息子は医療費控除の対象になりますよね?

配信日: 2025.08.30
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亡くなった夫の医療費「120万円」を息子が払ってくれました。息子は医療費控除の対象になりますよね?
家族を亡くしたあとの手続きは、精神的にも時間的にも大きな負担がともなうものです。特に、支払った医療費が高額になる場合、税金に関する疑問や不安もあるでしょう。
 
本記事では、亡くなった親の医療費120万円を子どもが支払ったケースを想定し、医療費控除の対象者が誰になるのか、またその手続きについてもまとめました。
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息子が医療費控除を受けるための条件

父親の医療費を支払った息子が、自身の確定申告で医療費控除を受けることは可能です。ただし、そのためには息子と父親が「生計を一(いつ)にしていた」と認められる必要があります。
 
税法上の「生計を一にする」状態とは、日常の生活費をともにすることです。この場合、必ずしも同じ家で生活している必要はありません。もし、別居していても、生活費や療養費などを定期的に送金し、生活を経済的に支えていた実態があれば「生計を一にする」と認められます。
 
具体的には「毎月決まった額を仕送りしていた」「年金収入だけでは生活が厳しく、息子からの援助が不可欠だった」といった状況が該当するでしょう。
 
また、医療費控除の適用において、扶養に入っているかどうかは関係ありません。生計を一にしていることと、親族の医療費を支払ったという事実があれば対象となるといえます。
 

医療費を支払うタイミングによって異なる手続き

亡くなった人の医療費控除は、その医療費がいつ支払われたかによって手続きが異なるでしょう。
 

死亡後に息子が支払った場合

夫が亡くなった後に、息子が病院から請求された入院費を支払った場合、その支払った医療費は、息子の確定申告によって医療費控除の対象となります。これは、息子自身の財産から、生計を一にしていた親のために医療費を負担した、という形になるためです。
 

生前に息子が支払っていた場合

夫が存命のうちに、息子が入院費用の一部または全部を支払っていた場合も、その年に支払った医療費の合計額を、息子の確定申告で医療費控除の対象にできます。
 

生前に夫が支払っていた場合

夫が自身の預貯金などから医療費を支払っていた場合、支払った医療費は「準確定申告」をすることで医療費控除の対象となります。準確定申告とは、相続人が亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得と税金を計算し、申告・納税する手続きです。
 
例えば、夫が入院中に自身の年金が振り込まれる口座から治療費を支払っていた場合などが該当するでしょう。この方法をとると、夫の所得税が還付される可能性があり、還付金は相続財産の一部となります。準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内です。
 

高額療養費の還付手続きはどうする?

相続人は、亡くなった人の高額療養費の還付請求ができます。申請期限は、診療を受けた月の翌月初日から2年以内です。
 
申請先は、亡くなった人が加入していた健康保険(国民健康保険、会社の健康保険組合など)の窓口となります。還付された高額療養費は相続財産の一部となるため、注意が必要です。
 

医療費控除の対象となる費用・ならない費用

医療費控除を申請するにあたって、支払った費用のすべてが対象となるわけではありません。領収書を整理し、対象となる費用を正確に把握することが大切です。
 

【対象となる費用の例】

・医師や歯科医師による診療費や治療費
・入院時の部屋代、食事代
・医薬品の購入費(治療や療養に必要なもの)
・通院のための交通費(電車やバスなど公共交通機関。自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外)
・おむつ代(医師が発行した「おむつ使用証明書」がある場合)
・介護保険制度のもとで提供された施設や居宅サービスの自己負担額

 

【対象とならない費用の例】

・死亡診断書の発行費用
・差額ベッド代(本人希望による個室など)
・親族に支払う療養上の世話に対する謝礼
・健康診断や人間ドックの費用(重大な疾病が発見され、引き続き治療を行った場合を除く)
・健康維持や疲労回復のための医薬品購入費

 
亡くなった際の入院費用の精算時には、死亡診断書代が含まれていることが多いため、領収書の内訳をよく確認し、その金額を除いて計算する必要があるでしょう。
 

医療費控除の対象になるには、生計を一にしていることが認められることが必要

入院中に亡くなった夫の医療費を息子が支払った場合、夫と息子が「生計を一にしていた」という要件を満たせば、息子自身の確定申告で医療費控除を適用できます。
 
もし、別居していたとしても、仕送りなどの事実があれば認められるでしょう。
 
まずは「生計を一にしていたか」という点を確認することが大切です。不明な点があれば、税務署に聞いたり、税理士などの専門家に相談したりするなどしましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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