子どもがよく風邪をひくので市販薬を常備しています。年間「1万円以上」かかっているのですが、子どもの薬代も節税の対象になりますか?

配信日: 2025.09.03
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子どもがよく風邪をひくので市販薬を常備しています。年間「1万円以上」かかっているのですが、子どもの薬代も節税の対象になりますか?
よく風邪をひく子どもがいる家庭であれば、風邪薬や解熱剤などの市販薬を常備していることも多いのではないでしょうか。年間で見ると、薬代は意外に出費がかさむ項目ですが、薬代が節税の対象になるかどうかは、利用する制度によって異なります。
 
本記事では、市販薬の購入費用が対象となる「セルフメディケーション税制」や、通院費など幅広い医療費が対象となる「医療費控除」といった制度の仕組みを紹介し、子どもの薬代がどのように節税の対象になるか解説します。
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セルフメディケーション税制とは

セルフメディケーション税制は、特定の市販薬を1年間に一定額以上購入した場合に、確定申告をすることで税負担が軽くなる制度です。
 
利用するためには細かな条件があるため、事前にしっかりと把握しておきましょう。
 

利用者が満たすべき4つの条件

セルフメディケーション税制を利用するには、以下の4つの条件を満たしている必要があります。

・申告をする本人が、所得税や住民税を納付している
 
・同じ年に「医療費控除」を受けていない
 
・対象となる市販薬を1年間で1万2000円以上購入し、その領収書やレシートを保管している
 
・「健康維持のための取り組み」を行い、その証明書がある

前提として、申告する本人が所得税や住民税を納めていなければなりません。また、同じ年に医療費控除を受けていないことも条件となります。
 
さらに、対象となる市販薬を1月から12月までの1年間で合計1万2000円以上購入し、その際のレシートの保管が必要です。
 
加えて、健康維持のために定期健診や予防接種などを行い、その証明書類をきちんと保存していることも求められます。
 

OTC医薬品が対象

セルフメディケーション税制の対象となるのは、「OTC医薬品」と呼ばれる市販薬です。元々は医師の処方が必要だった薬が、薬局やドラッグストアで手軽に購入できるようになった医薬品を指します。
 
どの市販薬が対象になるかは、厚生労働省のホームページに一覧が公開されています。また、パッケージや購入時のレシートにも対象であることが明示されていますので、そちらでも確認できます。
 

医療費控除とは?

市販薬の購入が多い場合に、セルフメディケーション税制と同様に見逃せないのが医療費控除です。本章で、対象となる項目や金額を見ていきましょう。
 

利用できるのは納税者本人と同居する家族

医療費控除は納税者本人だけでなく、同居する家族の医療費もまとめて申告できる制度です。
 
なお、同居していない場合でも、生活費や学費などを納税者が継続的に負担している家族であれば、控除の対象になります。
 

通院費など幅広い医療費が対象

医療費控除の対象には、薬以外の項目も含まれます。
 
治療や検査にかかる費用のほか、出産時にかかる費用や介護サービスに関する支出など、幅広い医療関連費が対象です。
 

負担額が年間10万円を超えたら控除可能

医療費控除は、1年間に支払った医療費で自己負担額の合計が10万円を超えた場合、超過分をその年の所得から差し引けます。ただし、年間の所得が200万円に満たない場合は、所得の5%を超えた部分が対象です。
 

薬代の節税はどちらの制度を使うべき?

セルフメディケーション税制と医療費控除は同じ年に併用できないため、どちらか一方を選択して申告します。子どもの薬代が年間1万円以上かかっている場合は、どちらの制度を利用するかを慎重に検討することが重要です。
 
そこで本章では、どちらの制度を使うべきか迷わないために、選ぶ際のチェックポイントを解説します。
 

市販薬の年間支払額

子どもが体調を崩しやすく、市販の風邪薬や解熱剤など複数の薬を常備している家庭であれば、1年間に多くの薬代がかかっているかもしれません。
 
医療費控除は、医療費全体で年間10万円以上の支出がないと使えないことが多いので、市販薬の購入だけでは対象にならない場合があります。そのため、薬代だけで節税したい場合は、年間1万2000円以上の購入で利用できるセルフメディケーション税制のほうが現実的な場合が多いです。
 
制度の詳細や控除額の違いを理解したうえで、料金シミュレーションをして、最も節税効果の高い方法を選びましょう。
 

医療費の年間支払額

薬代のみで年間支払額が1万円を超える場合でも、家族全体の医療費が10万円または所得の5%を超えている場合は、医療費控除が利用できます。
 
例えば、子どもが定期的に通院している家庭では、診察料や処方薬代、通院にかかる交通費などを合わせて年間医療費が10万円を超えることも珍しくありません。家族全体の医療費を合算すれば、控除の対象に達しやすくなります。
 
したがって医療費が多い家庭は、セルフメディケーション税制よりも医療費控除を検討してみてください。
 

金額によっては子どもの薬代も節税になる

子どもの風邪薬など、市販薬への年間支出がまとまっている場合、金額によっては節税につなげられます。
 
市販薬を多く購入している場合は、セルフメディケーション税制を利用すると効果的です。一方、病院での診療や処方薬の支出が多い家庭は、医療費控除の利用がおすすめです。
 
どちらの制度も上手に利用して、賢く節税しましょう。
 

出典

国税庁 令和6年分 確定申告特集 セルフメディケーション税制とは
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
厚生労働省 セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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