ふるさと納税したのになぜか高かった「住民税」。原因は「医療費控除のための確定申告で“ワンストップ特例”が“無効”になっていた」とのことですが、どういうこと?
特に医療費控除のために確定申告を行った方から、「ワンストップ特例が無効になる」といった話を聞き、不安を抱く人も多いようです。
本記事では、「ワンストップ特例」と「医療費控除の確定申告」がどう干渉し合うのか、なぜ手続きによって思わぬ負担が生じるのか、その仕組みと対応策について解説します。
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目次
ワンストップ特例とは?仕組みとメリットを簡単解説
ワンストップ特例制度とは、確定申告を行う必要のない給与所得者などが、1年間にふるさと納税を5自治体以内に行った場合、各自治体に「ワンストップ特例申請書」と本人確認書類を提出することで、確定申告をせずに翌年6月から住民税が控除される制度です。
同一自治体に複数回寄附しても1自治体とカウントされますが、寄附ごとに申請書と本人確認書類の提出が必要です。
控除額は「寄付額-2000円」で、原則として住民税から全額が控除されますが、収入や家族構成による控除上限があります。ワンストップ特例制度を利用した場合、所得税からの還付はなく、全額が住民税の控除となります。
医療費控除で確定申告をすると、ワンストップ特例が「無効」になる理由
一方、医療費控除を受けるためには確定申告が必要です。この確定申告を行うと、ワンストップ特例で申請した寄附金控除が自動的に「無効」となってしまいます。
つまり、「確定申告をした時点」でワンストップ特例は取り消され、ふるさと納税分についても改めて確定申告書に記載しないと控除がされません。市区町村側も、確定申告を行った申告者はワンストップ特例が「なかったこと」にする制度設計です。
結果的に住民税が高くなった?そのメカニズムを具体的に説明
医療費控除などで確定申告を行った際、ふるさと納税寄附分を申告書に正しく記載しなかった場合、ワンストップ特例は無効となり住民税軽減が適用されません。その結果、ふるさと納税をしたはずなのに住民税が高くなるケースが生じます。医療費控除を申告する際は、ふるさと納税分の控除漏れに十分注意が必要です。
確定申告に切り替える・修正や更正の請求で対応するには?
確定申告をすることになった場合は、ふるさと納税の控除も含めて手続きをやり直す必要があります。
1.確定申告に切り替える際のポイント
医療費控除を行う以上、最初から確定申告による寄附金控除で手続きするのが最も確実です。確定申告書作成時に、ふるさと納税の「寄附金控除」欄へすべてを記載しましょう。必要書類として、「寄附金受領証明書」または電子版「寄附金控除に関する証明書」も準備が必要です。
2.申告後に控除漏れに気づいたら…「更正の請求」が使えます
すでに確定申告を終えてしまった人で、ふるさと納税分が申告に漏れていた場合は、「更正の請求」によって見直しが可能です。たとえば、寄附分を含めた再申告を行い、過払い分の税金を返してもらうことができます。更正の請求は、申告した年の翌年から5年以内に行えます。
まとめ
医療費控除で確定申告をすると、ワンストップ特例が無効になります。ふるさと納税の控除を受けるには、寄附金控除の記載が必要です。忘れても「更正の請求」で訂正可能ですが、早めの対応が大切です。制度の違いを理解し、手続き漏れを防ぎましょう。
出典
国税庁 ふるさと納税に係る寄附金控除に関する証明書等について
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
