【ガソリン・タバコ・ビール】一番“税金の割合”が大きいのはどれ? 嗜好品は「取りやすい税金」? 高額な理由を解説
本記事ではガソリン、タバコ、ビールの価格に含まれる税金の割合と、なぜ多額の税金が含まれるのかといった内容を解説します。
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目次
ガソリンの小売価格に含まれる税金の割合は約31.6%
まず、ガソリンスタンドで車やバイクに給油するガソリンには、「揮発油税」と「地方揮発油税」が含まれています。これらを総称して呼ばれるのが「ガソリン税」です。
揮発油税の税率は1キロリットルあたり2万4300円、地方揮発油税は1キロリットルあたり4400円です。
ガソリン税の税額は、本来は1リットルあたり28.7円ですが、暫定税率25.1円が加わり2025年8月時点は1リットルあたり53.8円です。ガソリンの小売価格が1リットルあたり170円とすると、約31.6%が税金になります。
ガソリンの小売単価には、さらに「石油石炭税」と「消費税」がかかっており、これが二重課税と呼ばれて問題視されています。
タバコの小売価格に含まれる税金の割合は約61.7%
タバコは嗜好品であり、価格に含まれる税金の割合はほかの2つと比較しても高くなっています。タバコの小売価格には、消費税だけでなく、「国たばこ税」「地方タバコ税」「たばこ特別税」の3つの税金が課されます。
紙巻たばこでは1000本単位で税金が課されており、それぞれ国たばこ税が6802円、地方たばこ税が7622円、たばこ特別税が820円(計1万5244円)です。
たばこ1箱(20本)580円に換算すると357.6円となり、割合は約61.7%にもなります。
ビールの小売価格に含まれる税金の割合は商品ごとに異なる
いわゆる「ビール系飲料」には「ビール」「発泡酒」「第3のビール」があり、それぞれ税率が異なります。
1缶350ミリリットルの価格に含まれる税金は、ビールが63.35円、発泡酒が46.99円、第3のビールが46.99円です。ビールが1缶350ミリリットルで240円とした場合、酒税の比率は約26.4%となります。
なお、3つのビール系飲料で3つに分かれていた税金額は、2023年10月からは2つになっており、2026年10月からは「54.25円」で統一されることになります。
上記の結果を見ると、税金の割合がもっとも多いのは「たばこ」ということになります。
なぜガソリン・タバコ・ビールに高額な税金がかかっているの?
ガソリン、タバコ、ビールはそれぞれ価格のなかに高い比率の税金が含まれていることが分かりました。では、なぜこれらの商品には多額の税金が課されるのでしょうか。
国から公式見解があるわけではありませんが、「取りやすいところから税金を取る」という考え方があるといわれています。
消費税や所得税など大多数の国民に関係する税金は、増税すると国民の反発が大きく、政府の支持率結果に直結する可能性があります。
一方、酒税やタバコ税は嗜好品に対する税金であり、増税への影響を受けるのは嗜好品をたしなむ一部の人に限定されます。タバコやビールが好きな人は税金が上がっても購入し続ける傾向にあるため、「取りやすい税金」と判断されている可能性があるでしょう。
まとめ
ガソリン、タバコ、ビールに共通していえるのは、いずれも商品価格のなかに多額の税金が含まれているということです。なかでもタバコ税は、タバコの価格の約60%を占めています。
嗜好品の度合いが強いほど多額の税金が課されていると読み取ることもでき、特にタバコは「増税しても反発が起きにくい、取りやすい税金」と思われている可能性があるでしょう。
出典
e-Gov法令検索 揮発油税法
e-Gov法令検索 地方揮発油税法
神奈川県石油商業組合 ガソリンと税金のおはなし
財務省 酒税に関する資料
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級
