初めてふるさと納税をしましたが「上限3万5000円」のところ、“6万円”を寄附してしまいました……。超えた「2万5000円分」は来年に繰り越せるのでしょうか?

配信日: 2025.09.15 更新日: 2025.09.16
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初めてふるさと納税をしましたが「上限3万5000円」のところ、“6万円”を寄附してしまいました……。超えた「2万5000円分」は来年に繰り越せるのでしょうか?
せっかくふるさと納税を初めて試みたのに、上限額を超えて寄附してしまったようですね。結論からいいますと、残念ながら、上限額を超えて寄附をした場合には、その超過分については翌年に持ち越すことができません。
 
本記事では、ふるさと納税に不慣れな人を対象に、ふるさと納税の基本を振り返り、上限額および超過分についての取り扱いについて解説します。
堀江佳久

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

ふるさと納税の基本

ふるさと納税とは、自分の生まれ故郷や応援したい自治体を選んで寄附を行うと、寄附額のうち2000円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です。また、選んだ自治体の名産品、例えば食品や工芸品、ホテルや観光施設の利用券などを「返礼品」としてもらうことができることも魅力の一つです。
 
次に、ふるさと納税を行う場合の基本ステップを確認しましょう。
 

1. 自治体を選んでふるさと納税します

ふるさと納税を行えるWEBサイトを活用します。そこで、応援する自治体や気に入った返礼品をもらえる自治体を選び、納税をします。
 

2. 返礼品を受け取ります

ふるさと納税をした自治体から贈られてくる返礼品を受け取ります。返礼品によっては、2~3ヶ月ほど時間がかかるものがあります。
 

3. ワンストップ特例の申請をします

企業にお勤めの方など、確定申告の不要な給与所得者等であれば、ふるさと納税ワンストップ特例の申請が行えます。この申請を行えば自動的に減税手続きが行われるので便利ですので、活用をお勧めします。
 
申請は、ふるさと納税をした自治体からふるさと納税ワンストップ特例の申請書が送付されてきますので、必要事項を記入して返送します。
 
なお、申請書は、自治体によってフォーマットが異なるので注意が必要です。一部の自治体においてマイナンバーカードを利用したワンストップ特例のオンライン申請が可能となっていますので、そちらを利用すると便利です。
 
なお、ワンストップ特例の申請は、ふるさと納税を行う自治体の数が5団体以内である場合に有効で、6団体以上にふるさと納税を行った場合は、確定申告を行う必要がありますのでご注意ください。
 

4. 確定申告をします

ワンストップ特例を申請しない、もしくは対象でない方、あるいはふるさと納税を6団体以上の自治体に行った方は、確定申告が必要です。自治体から発行される、確定申告に必要な寄附を証明する書類(受領書)が証拠書類となりますので大切に保管してください。
 

ふるさと納税の上限額について

ふるさと納税には、寄附する方の年収や家族構成によって寄附の上限額が決まっています。
 
例えば、ふるさと納税を行う年収500万円の給与所得者で、扶養家族が収入のない配偶者のみの場合は、おおよその上限が4万9000円となります。
 
この場合、4万円のふるさと納税を行うと、2000円を超える部分である3万8000円(4万円-2000円)が所得税と住民税から控除されます。
 
もし、上限額を超えた場合には、その超過分については翌年に持ち越すことがでず、税金の控除の対象外(自己負担)となります。
 
図表1に上限額の目安をまとめましたので、参考にしてください。正確な計算は寄附翌年にお住まいの市区町村に確認する必要がありますが、簡易的に寄附金控除額を計算(シミュレーション)するサイトもあるので、そちらも参考にするとよいでしょう。
 
図表1:年収・家族構成ごとの税金控除額の年間上限額一覧

 

給与収入 家族構成
独身または共働き※1 夫婦※2 共働き+子1人(高校生※3) 共働き+子1人(大学生※3) 夫婦+子1人(高校生) 共働き+子2人(大学生と高校生) 夫婦+子2人(大学生と高校生)
300万円 28,000 19,000 19,000 15,000 11,000 7,000
350万円 34,000 26,000 26,000 22,000 18,000 13,000 5,000
400万円 42,000 33,000 33,000 29,000 25,000 21,000 12,000
450万円 52,000 41,000 41,000 37,000 33,000 28,000 20,000
500万円 61,000 49,000 49,000 44,000 40,000 36,000 28,000
550万円 69,000 60,000 60,000 57,000 48,000 44,000 35,000
600万円 77,000 69,000 69,000 66,000 60,000 57,000 43,000
650万円 97,000 77,000 77,000 74,000 68,000 65,000 53,000
700万円 108,000 86,000 86,000 83,000 78,000 75,000 66,000
750万円 118,000 109,000 109,000 106,000 87,000 84,000 76,000
800万円 129,000 120,000 120,000 116,000 110,000 107,000 85,000
900万円 152,000 143,000 141,000 138,000 132,000 128,000 119,000
1000万円 180,000 171,000 166,000 163,000 157,000 153,000 144,000
1100万円 218,000 202,000 194,000 191,000 185,000 181,000 172,000
1200万円 247,000 247,000 232,000 229,000 229,000 219,000 206,000
1300万円 326,000 326,000 261,000 258,000 261,000 248,000 248,000
1400万円 360,000 360,000 343,000 339,000 343,000 277,000 277,000
1500万円 395,000 395,000 377,000 373,000 377,000 361,000 361,000
1600万円 429,000 429,000 412,000 408,000 412,000 396,000 396,000
1700万円 463,000 463,000 446,000 442,000 446,000 430,000 430,000
1800万円 498,000 498,000 481,000 477,000 481,000 465,000 465,000
1900万円 533,000 533,000 516,000 512,000 516,000 500,000 500,000
2000万円 569,000 569,000 552,000 548,000 552,000 536,000 536,000

(総務省「ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税のしくみ 税金の控除について 全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安)から引用)
 
※1「共働き」は、ふるさと納税を行う方本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースを指します(配偶者の給与収入が201万円超の場合)。
※2「夫婦」は、ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケースを指します。
※3「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」を、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」を指します。
 

まとめ

ふるさと納税は、ご自身が応援したい自治体をご自身で選んで、寄附を行う制度です。寄附を行うと選んだ自治体の名産品を「返礼品」として受け取れて、税制上の優遇処置も享受することができます。
 
ただし寄附額は、寄附する方の給与年収や家族構成によって上限額が決まってきます。上限額を超えた分については、自己負担になり、かつ翌年に持ち越すことができませんので注意をしてください。
 
なお、来年以降ふるさと納税を行う際は、事前にご自身の年収や家族構成に応じた控除上限額を、各ふるさと納税サイトのシミュレーターなどで確認されることをお勧めします。
 

出典

総務省 ふるさと納税ポータルサイト よくわかる! ふるさと納税
総務省 ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税のしくみ ふるさと納税の概要 ふるさと納税とは?
総務省 ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税のしくみ 税金の控除について 全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安
 
執筆者 : 堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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