宝くじの「当選金」には税金がかからないと聞きました。“1億円”当選して家族で分けても「贈与税」はかからないということですか?
本記事では、1億円を例にして、税金がかかるケースとかからないケース、そして正しく分配するためのポイントを解説します。
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目次
宝くじの当選金が「非課税」とされる理由
宝くじの当選金には、所得税や住民税がかかりません。これは「当選金付証票法」という法律で、当選金を課税対象外とすると定められているからです。
宝くじは販売時点で収益の一部が全国の都道府県や20指定都市に納められる仕組みとなっており、購入者はすでに間接的に税を負担しています。そのため、当選したお金に改めて税金をかけないという制度になっているのです。
たとえ1億円の高額当選でも、この非課税ルールは変わりません。受け取った人がそのまま使う限り、税金を気にする必要はありません。
1億円を当てて家族に分けると贈与税がかかる場合とかからない場合
問題は「家族に分けたい」と考えたときです。1億円を受け取った本人が、その後に妻や子どもにお金を渡すと、それは「贈与」にあたります。贈与税は年間(1月1日~12月31日)110万円までが非課税ですが、それを超える金額には贈与税がかかります。
たとえば、子どもに3000万円を渡すと、その金額から110万円を差し引いた2890万円に対して税率がかかるため、相当な税額になってしまいます。
一方で、最初から家族で共同購入していた場合は事情が変わります。たとえば、家族4人がそれぞれ25%ずつお金を出して宝くじを買い、当選金を出資割合どおりに分けるのであれば、最初から自分のお金として受け取ることになるため贈与税は発生しません。
贈与税を避けたいなら共同購入がカギ
非課税で家族に分けたいなら「共同購入」の形を取るのが有効です。ただし注意点があります。
第一に、誰がいくら出資したのかをはっきり記録しておくことです。口頭で「一緒に買った」と言うだけでは、あとから税務署に説明できません。領収書や振込記録、メモなど証拠になるものを残しておきましょう。
第二に、受け取り時の手続きです。高額当選金を受け取る際には金融機関に行きますが、そのときに出資割合どおりにそれぞれが受け取ると安心です。もし代表者が全額を受け取り、あとから家族に渡すと、税務署から「贈与」とみなされるリスクがあります。
このように、共同購入は効果的ですが、準備や証拠が不十分だと贈与税がかかる可能性もあるため注意が必要です。なお、宝くじ公式サイトでは、ネットで共同購入ができます。購入枚数の割合に応じて自動で当選金が分配されるため、非課税で受け取れる仕組みになっています。
当選金でも課税されるケースとは?
当選金そのものは非課税ですが、その後の運用や相続では税がかかる場合があります。
たとえば、当選金を銀行に預けて利息を得たり、株式や投資信託に回して利益を得たりした場合は、その利息や利益には所得税や住民税がかかります。さらに、当選金を受け取った人が亡くなった場合、そのお金は遺産となり相続税の対象になります。
つまり「当選金は非課税」だからといって、永遠に税金が無関係というわけではありません。使い方や状況次第で課税されることを理解しておく必要があります。
まとめ:家族で分けるなら「最初のルール作り」が大切
宝くじの当選金は、法律で非課税とされています。しかし、家族に渡すときの方法によっては贈与税の対象となります。特に高額の場合は税額が大きくなるため注意が必要です。
非課税で分けるには、最初から共同購入として出資割合を決め、その証拠を残し、当選金の受け取りも出資割合に応じて行うことが大切です。あとから渡すと贈与とみなされるリスクがあるため、受け取り方で結果が変わります。
また、当選金を運用して得た利息や、相続時の財産としての扱いには課税される点も忘れてはいけません。高額当選は誰にでも起こることではない貴重な機会です。だからこそ、正しい知識を持ち、必要に応じて専門家に相談することで、安心して家族に幸せを分けることができます。
出典
国税庁 財産をもらったとき
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
