“遠距離実家”がついに空き家に! 特に使い道がないので売りたいのですが、税金や手数料はかかりますか?
管理が難しく、空き家化しやすいのが現実です。最終的に、「もう売るしかない」と考える人も多いでしょう。しかし、いざ売却となると、「何から手をつければ?」「税金や手数料は?」と、不安が押し寄せます。
今回は、そのような遠距離実家を売却する際に知っておきたい費用と税金、そして専門家への相談先まで、まとめてお伝えします。
お金と不動産相続のコンシェルジュ
宅地建物取引士・AFP・住宅ローンアドバイザー・相続診断士
空き家売却でかかる費用は主に4つ
実家を売却する際にかかる費用は、主に以下の4つです。
1. 不動産会社への仲介手数料
仲介を依頼した不動産会社に支払う成功報酬です。法律で上限が定められており、「売却価格×3%+6万円+消費税」が一般的です。
なお、2024年7月からは売買価格が800万円以下の不動産について、仲介手数料の上限が33万円(税込み)に引き上げられる特例が加わりました。地方の安価な不動産を売る際、想像より手数料が高くつくかもしれません。
2. 登記費用
名義変更や抵当権抹消など、手続きにかかる費用です。司法書士に依頼するのが一般的です。
3. 家の解体・リフォーム費用
買い主が見つかりやすくするために、家を解体したり、リフォームしたりする場合にかかります。
4. 遺品整理・残置物撤去費用
遠方に住んでいる場合、専門の業者に依頼することも多いでしょう。特に、仏壇や神棚などの処分は、通常の遺品整理とは異なる専門知識が必要です。
意外と知らない? 売却にかかる税金の基本
不動産を売って利益が出ると、その売却益に対し「譲渡所得税」がかかります。この売却益を導き出す計算式はシンプルで、「売却益=売却価格-(取得費+諸経費)」です。
・取得費
親が家を建てたときの費用や、購入時の費用です。「売買契約書」や「建築請負契約書」といった書類があれば、正確な取得費が分かります。これらの書類は税金計算で重要なので、遺品整理の際にも絶対に捨てないでください。書類がない場合は、売却価格の5%で計算します。
・諸経費
仲介手数料、登記費用など、売却にかかった費用です。
知っておきたい! 2つの重要トピック
実家を売却するうえで、特に知っておくべき2つのトピックがあります。
1. 空き家の3000万円特別控除
相続した空き家を売却する場合、売却益から最大3000万円まで控除できる特例です。大きなメリットですが、利用には厳しい条件があります。ご自身のケースが適用対象になるか確認しましょう。
2. 相続登記の義務化
2024年4月から相続登記が義務化されました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料が科される場合があります。
遠距離実家の売却、選択肢は一つではない
遠距離実家を売る方法は、一つではありません。ご自身の状況に合わせて選びましょう。
1. 定期管理サービスを利用する
すぐに売却する決心がつかない場合、焦らずゆっくり検討できます。
2. 専門業者への買い取り
「とにかく早く手放したい」なら、専門業者に買い取ってもらう方法があります。仲介手数料はかかりませんが、買い取り価格は市場価格より安くなる傾向があります。
3. 仲介で市場売却
じっくり時間をかけて、少しでも高く売りたい場合は、不動産会社に仲介を依頼して買い主を探します。
まとめ:誰に相談すればいい?
「誰に相談すればいいか分からない」と感じたら、まずは不動産相続に強いファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。不動産だけでなく、相続や税金、ライフプラン全体を俯瞰(ふかん)してアドバイスしてくれます。また、必要に応じて税理士や司法書士など、専門家への橋渡しも行ってくれます。
出典
国税庁 土地や建物を売ったとき
国税庁 No.3258 取得費が分からないとき
国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったとき
法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A
執筆者 : 稲場晃美
お金と不動産相続のコンシェルジュ
宅地建物取引士・AFP・住宅ローンアドバイザー・相続診断士
