大学1年の娘に「住民税の納付書」が届きました。カフェでのバイト代が“月7万円”ほどですが、学生でも支払う必要があるのでしょうか?

配信日: 2025.09.27
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大学1年の娘に「住民税の納付書」が届きました。カフェでのバイト代が“月7万円”ほどですが、学生でも支払う必要があるのでしょうか?
アルバイトをしている大学生に「住民税の納付書」が届くと、多くの親御さんや学生本人が驚きます。「学生でも住民税を払わなければならないの?」「月7万円の収入で税金がかかるの?」と疑問に思うのは自然なことです。
 
実は、住民税は学生かどうかではなく、収入額によって課税の有無が決まります。本記事では、アルバイト収入がある学生の住民税について、課税基準や控除の仕組み、納付書が届いたときの対応を解説します。
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なぜ学生に住民税の納付書が届くのか?

住民税は、市区町村や都道府県に納める地方税で、前年の所得に応じて課税されます。翌年6月以降に課税されるため、前年にアルバイト収入があれば、学生であっても納付書が送られることがあります。
 
「学生だから支払わなくていい」と思われがちですが、住民税には「学生であれば無条件に免除される」という仕組みはありません。
 
国民年金保険料のように「学生納付特例」といった学生であれば利用できる制度は存在しないのです。つまり、学生であっても一定額以上稼いでいれば、住民税の納付義務が生じるのです。
 
ただし、すべての学生に必ず課税されるわけではありません。自治体ごとに「非課税基準」があり、一定の収入以下であれば住民税がかからない場合があります。
 

7万円のアルバイト収入は課税対象になる?

今回のケースでは、アルバイト収入が月7万円、年間でおよそ84万円となります。ここで重要なのは、給与収入そのままではなく「給与所得控除」を差し引いたあとの金額で判定する点です。給与所得控除は、2024年の年収が162万5000円以下なら一律55万円です。
 
※なお、税制改正により、2025年の所得からは一律65万円に引き上げられ、2026年度の住民税から適用されます。
 
つまり、2024年の年収が84万円の場合、課税の基礎となる「所得金額」は
 
84万円 – 55万円 = 29万円 となります。
 
次に、この金額が自治体の非課税基準を超えるかどうかを確認します。多くの自治体では「所得金額が45万円以下なら非課税」という基準を設けています。そうすると、今回の29万円はこの範囲内に収まるため、基本的には「所得割」と呼ばれる住民税はかからないと考えられます。
 
ただし注意点として、住民税には「均等割」という部分があります。これは所得に関係なく一律で課税されるもので、数千円程度が定額で課される仕組みです。均等割の非課税基準を少しでも超えると「所得割はゼロでも均等割だけ課税される」ということがあり得ます。
 
したがって、月7万円ほどの収入では原則非課税ですが、前年の総所得が非課税基準を超えていると課税対象となるため、納付書が届いたら内容を確認する必要があります。
 

勤労学生控除や非課税基準を確認しよう

学生にとって重要なのが「勤労学生控除」という制度です。これは、働きながら学ぶ学生の税負担を軽くするための控除で、一定の条件を満たすと所得税や住民税の課税額を減らすことができます。
 
適用条件は、給与所得など勤労による所得があること、合計所得金額が75万円以下(2025年以降は85万円以下)で、勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること、特定の学校の学生・生徒であることです。要件を満たせば、住民税の計算上も控除が適用され、課税額がさらに抑えられます。
 
また、先述したように、非課税基準は自治体ごとに異なります。たとえば「所得が45万円以下なら非課税」とする市町村もあれば、「扶養親族がいる場合は基準額が加算される」といった細かいルールを持つ自治体もあります。
 
そのため、納付書が届いたときには、自分が住んでいる自治体の公式サイトで非課税基準を確認するのが確実です。万が一「本来は非課税なのに課税されている」と思われる場合は、市役所の税務課に問い合わせることで修正してもらえる場合もあります。
 

まとめ:納付書が届いたら基準を確認し、役所に相談を

学生であっても、一定額以上の収入があれば住民税が課税されます。ただし、今回のようにアルバイトで月7万円、年84万円程度の収入であれば、多くの自治体では非課税基準内に収まり、原則として住民税はかからないと考えられます。
 
それでも、均等割がかかるケースや、自治体の独自基準で課税されるケースもあるため、納付書が届いたら必ず内容を確認してください。もし課税内容に疑問があれば、勤労学生控除の適用や非課税基準の確認を行い、役所に相談することが安心です。
 
制度を理解した上で正しく対応すれば、不要な税負担を避けられます。学生生活を続けながらアルバイトをする上で、税金との付き合い方を知っておくことは将来にも役立つでしょう。
 

出典

国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
国税庁 No.1175 勤労学生控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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