世帯年収「600万円」、夫と中学生の子どものとの3人家族です。子どもが高校に進学すると“ふるさと納税”の控除上限額が「1万円減少」すると聞きましたが、どういうことでしょうか?

配信日: 2025.09.29 更新日: 2025.09.30
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世帯年収「600万円」、夫と中学生の子どものとの3人家族です。子どもが高校に進学すると“ふるさと納税”の控除上限額が「1万円減少」すると聞きましたが、どういうことでしょうか?
ふるさと納税は、寄付を通じて自治体を応援しながら所得税や住民税の控除が受けられる仕組みです。ただし、その控除上限額は年収や家族構成によって変わります。特に扶養している子どもの年齢によっても影響を受けるため、子どもの成長に合わせて上限額が変動することがあります。
 
本記事では、年収600万円の家庭を例に、子どもが中学生から高校生になると上限額がどのように変わるのか、その理由と注意点を解説します。
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高校生から扶養控除の対象に。扶養控除のルールを整理

まず知っておきたいのは、「扶養控除」の仕組みです。扶養控除とは、子どもや親を養っているときに、一定額を所得から差し引ける制度です。これによって課税対象となる所得が減り、税金の負担が軽くなります。
 
控除の内容は、扶養している人の年齢で以下のように変わります。

16歳未満:扶養控除なし
16~18歳:控除対象扶養親族(一般)
19~23歳未満:特定扶養親族(大学生など)

つまり、中学生の子どもはまだ扶養控除の対象外ですが、高校生になると「控除対象扶養親族」として扶養控除の対象になります。さらに、19歳以上23歳未満の大学生の年齢では、より大きな控除額が受けられる「特定扶養控除」に切り替わります。
 
このように子どもの成長に応じて控除が変わるため、結果的にふるさと納税の控除上限額にも影響が出ることがあります。
 

600万円世帯・中学生と高校生でふるさと納税上限額はどれくらい変わる?

では、具体的にどれほどの差が出るのでしょうか。総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」で公開されている「控除上限額の早見表」による、片働き・共働きそれぞれの上限額の目安は次のとおりです。なお、中学生以下(年末時点で16歳未満)は上限額に影響しないため、「子どもなし」と同じ列を参照します。
 
【年収600万円世帯における控除上限額の目安】

(1) 片働き世帯(配偶者控除あり)

●中学生(16歳未満)=「夫婦」:6万9000円
●高校生(16~18歳)=「夫婦+子1人(高校生)」:6万円
→ 子どもが中学生と高校生の差:9000円の減少

(2) 共働き世帯(配偶者控除なし)

●中学生(16歳未満)=「独身または共働き」:7万7000円
●高校生(16〜18歳)=「共働き+子1人(高校生)」: 6万6000円
→ 子どもが中学生と高校生の差:1万1000円の減少

なお、上記はあくまで目安であり、各サイトの前提(社会保険料率や他の控除の取り扱い)により差が出ます。より正確な金額は、年末時点の家族構成・所得・控除状況を前提に確認してください。 また前述のとおり、高校生は控除対象扶養親族に該当するため扶養控除が適用され、課税所得が減ることで上限額が小さくなる点が背景にあります。
 

なぜ上限額が下がるのか? 税金計算の仕組み

上限額が下がる理由は、税金の計算方法にあります。所得税や住民税は、収入から給与所得控除・社会保険料控除・扶養控除などを差し引いた「課税所得金額」に税率をかけて計算されます。
 
子どもが中学生(16歳未満)のうちは、扶養控除の対象外で課税所得金額は多くなります。一方、高校生(16歳以上)になると扶養控除が適用されため、課税所得金額が減り、結果的に支払う税額も少なくなります。
 
ふるさと納税の控除は納めている税金の範囲で行われるため、税金が少なくなると控除上限額も下がる仕組みになっているのです。税金が減るのはうれしいことですが、「ふるさと納税で控除できる金額もその分小さくなる」というのが今回のポイントです。
 

控除上限が減るならどう対応すべき?

では、もし控除上限が下がるならどうすればいいのでしょうか。本章では、上限が減る年でも無駄なく活用できる3つのコツを解説します。
 
まずは、「事前にシミュレーションしておく」ことです。インターネット上の早見表や計算ツールを使えば、自分の収入や家族構成に合わせた上限額を簡単に確認できます。毎年の収入や控除は少しずつ変わるため、最新の状況で計算することが大切です。
 
次に、「寄付の時期を調整する」方法もあります。子どもが高校生になる前の年に、少し多めに寄付をしておくのも一つの考え方です。ふるさと納税は寄付した年の税金から控除されるため、時期を意識するだけで使える枠をより有効に活用できます。
 
さらに「他の控除との兼ね合いを考える」ことも大切です。医療費控除や生命保険料控除を利用している場合は、それらが課税所得金額を減らし、ふるさと納税の上限額にも影響します。自分の家庭でどの控除がどれくらい効いているかを把握しておくと安心です。
 

制度を理解して無駄なくふるさと納税を活用しよう

子どもが中学生から高校生になると、扶養控除が適用されるため、課税所得金額が減り、ふるさと納税の控除上限が数千~1万円程度下がることがあります。ただし、必ず1万円程度減るというわけではなく、家族構成やそのほかの控除の有無によって差は変わります。だからこそ、毎年シミュレーションを行い、自分の状況に合わせた最適な寄付額を確認することが重要です。
 
制度の仕組みを理解して準備をすれば、控除上限の変化に振り回されることなく、安心してふるさと納税を続けられます。子どもの高校進学という節目を前向きにとらえて、家計にも地域にもメリットのあるふるさと納税を賢く活用していきましょう。
 

出典

国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)
財務省 身近な税 子供がいる場合には、税金はどう変わるのですか?
総務省 ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税のしくみ 税金の控除について
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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