「住民税非課税世帯には給付金」のニュースを見るけれど、非課税世帯って年収どのくらいまで? 「年収350万円」の私は対象?

配信日: 2025.09.30
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「住民税非課税世帯には給付金」のニュースを見るけれど、非課税世帯って年収どのくらいまで? 「年収350万円」の私は対象?
給付金や支援策のニュースなどで「非課税世帯が対象」と見聞きすると、自分も当てはまるのか気になるものです。特に、生活費や税金の負担が重いと「うちも非課税世帯に入るのでは?」と期待する方も多いでしょう。ところが、「非課税世帯」とは単に年収が低いというだけではなく、住民税の仕組みに基づいた具体的な基準があります。
 
本記事では、非課税世帯の定義や年収の目安、年収350万円の人は対象になるのかについて解説します。
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高橋庸夫

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住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

非課税世帯とは何か

ニュースでいう「非課税世帯」とは、「住民税非課税世帯」を指します。住民税は前年の所得に応じて課税され、所得が一定以下の場合に「住民税がかからない=非課税」となる仕組みです。
 
非課税には、「所得割がかからない」と「均等割がかからない」の2種類があります。給付金などの対象となるのは、多くの場合「所得割と均等割の両方が非課税」の世帯です。具体的な非課税所得基準は、自治体によって異なることがあります。
 
住民税非課税世帯になると、住民税だけでなく、高額療養費の減額や介護保険料の減免、保育料の無償化、国民健康保険料の減免、さらには臨時の給付金など、多くの制度で優遇を受けられるため注目されています。
 

年収の目安はどのくらい?

では、どの程度の年収で住民税非課税世帯になれるのでしょうか。ここで注意すべきは、判定基準が「年収」ではなく「所得」であるという点です。給与所得者の場合、給与収入から給与所得控除や基礎控除、扶養控除などを引いた残りが総所得金額です。この総所得金額が基準以下であれば、非課税になります。
 
前述のとおり、住民税には均等割と所得割があり、それぞれに非課税基準が設けられています。均等割は、世帯人数や扶養親族の有無に応じて非課税限度額が決まり、所得割は基礎控除などを考慮した総所得金額が一定額以下の場合に非課税となります。つまり、「住民税非課税世帯」とは、この両方に該当するケースを指します。
 
厚生労働省の資料による、住民税非課税世帯となる年収の目安は図表1のとおりです。
 
図表1

給与収入
(高齢者世帯は年金収入)
均等割 所得割
生活保護区分
1級地(東京23区や政令指定都市) 3級地(一般的な市町村)
単身 100万円 168万円 100万円(※1)
夫婦のみ 156万円 137万8000円 170万円
夫婦+子1人 205万7000円 168万円 221万4000円
夫婦+子2人 255万7000円 209万7000円 271万4000円
高齢者単身(65歳以上) 155万円 148万円 155万円(※2)
高齢者夫婦(65歳以上) 211万円 192万8000円 222万円

厚生労働省「少子化の進行と人口減少社会の到来」より筆者作成
 
なお、具体的な非課税のラインは、住んでいる自治体の基準や扶養家族の人数によって異なるため、上記の金額はあくまで目安としてお考えください。
 

「年収350万円」は対象になる?

それでは、年収350万円の人は住民税非課税世帯に当てはまるのでしょうか。結論からいうと、多くの場合は対象外となります。
 
先ほどの目安で見たとおり、住民税非課税世帯の年収は単身者で約100万円、扶養家族がいても200~250万円程度です。年収350万円では、給与所得控除や各種控除を差し引いても総所得金額が残り、住民税が発生するケースがほとんどだからです。
 
ただし、例外もあります。例えば扶養家族が多い場合や、障害者控除・医療費控除など大きな控除を受けている場合は総所得金額が大きく減り、住民税非課税世帯に該当する可能性もあります。また、給付金の対象は「所得割非課税世帯」に限られる場合もあれば、「均等割非課税」も含む場合もあり、給付金の対象範囲が異なります。
 
したがって、年収350万円だから絶対に対象外とは言い切れないものの、一般的には住民税非課税世帯には当てはまらないと考えるのが妥当です。
 

自分が対象か確認するには?

住民税非課税世帯かどうかを正確に判断する最も確実な方法は、自分の市区町村から送付される「住民税決定通知書」や「課税証明書」を確認することです。これらに「非課税」と明記されていれば、住民税非課税世帯として扱われます。
 
また、年収額だけでなく以下の点を確認する必要があります。
 
・前年の所得額
年収から給与所得控除や基礎控除などの所得控除を差し引いた金額です。課税の基準となるのは、この所得額です。
 
・世帯構成
配偶者や扶養親族の有無や人数によって非課税ラインは変わります。扶養が多いほど、非課税となる所得の上限は高くなります。
 
・所得控除の有無
障害者控除、医療費控除、社会保険料控除など各種控除を適用すると、所得額が減少して非課税になる可能性が高まります。
 
・自治体の基準
住民税の均等割の非課税基準額は、市区町村によって若干異なります。したがって、お住まいの自治体の基準を確認することが重要です。
 
・給付金制度の条件
前述のとおり、給付金によって住民税の所得割非課税世帯のみを対象とする場合と、均等割非課税世帯も含む場合があり、対象者の範囲が異なることがあります。
 
これらの点を総合的に確認することで、自分が非課税世帯に該当するかを正しく判断できるでしょう。
 

通常、年収350万円は住民税非課税世帯には該当しない

ニュースで聞く「非課税世帯」給付金の対象は、住民税非課税世帯を指します。単身者で年収110万円程度、扶養があっても200〜250万円程度が非課税の目安となり、年収350万円では通常、住民税非課税世帯に該当しません。ただし、扶養の状況や各種控除によって例外的に該当するケースもあるため、課税証明書で確認することが大切です。
 
給付金を受け取れるかどうか不安なときは、市区町村の窓口や公式サイトで条件をチェックしましょう。焦って自己判断せず、制度を正しく理解して活用することが安心につながります。
 

出典

厚生労働省 少子化の進行と人口減少社会の到来
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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