「月13万円」の年金生活をしていますが、医療費が年間30万円かかります。医療費控除でいくら返ってくるでしょうか?

配信日: 2025.10.06
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「月13万円」の年金生活をしていますが、医療費が年間30万円かかります。医療費控除でいくら返ってくるでしょうか?
年間である程度の医療費を支払っている場合、医療費控除を利用する人は多いでしょう。その際、どのくらい還付金があるのかは気になるところです。本記事では、医療費控除と還付金について解説します。
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医療費控除とは

1月1日~12月31日の1年間で、10万円以上の医療費を支払った場合に適用できる所得控除が医療費控除です。総所得金額が200万円未満の場合は、総所得金額の5%以上の医療費を支払っていれば所得控除を利用できます。医療費控除を受ければ課税所得が減るため、結果的に所得税や住民税の納税額を抑えられる可能性があります。
 
医療費控除の対象となるのは納税者だけではありません。同一生計にある親族も対象です。このとき、同居の有無は関係ありません。1人暮らしをしている子どもの生活費を親が支払っている場合、子どもにかかった医療費も納税者である親の医療費控除に活用することが可能です。
 

還付金とは?

税金を納めたり各種控除を利用したりした場合に、還付金という言葉に触れる人もいるでしょう。還付金とは、税金を多く納め過ぎたときに払い戻されるお金のことです。
 
例えば源泉徴収や予定納税などにより税金を多く納めてしまったとき、年末調整や確定申告などで正しい納税額が判明すると、その超過分が還付金として払い戻されます。
 

医療費控除でどれだけ還付される?

実際の還付金額は当人の納税額などによって異なります。ここからは、月13万円の公的年金による収入がある65歳の場合、年間で30万円の医療費がかかった場合の医療費控除と還付金について解説します。
 

所得税と住民税はどうなる?

公的年金による収入は雑所得として扱われ、年金の収入額から各種控除を差し引いた課税所得に対して、所得税額が決まります。
 
公的年金による雑所得に対しては、公的年金等控除が適用されます。控除額は年金額によって異なりますが、月13万円で年間156万円の年金収入がある場合の控除額は110万円です。
 
つまり、雑所得は46万円です。また、所得税の算出時には基礎控除が適用されます。基礎控除の控除額は令和7年度の税制改正によって、合計所得金額が132万円以下であれば58万円です。合計所得金額46万円に58万円の基礎控除が適用されるため、課税所得が0円になり、所得税は発生しません。
 
住民税の納税額は課税所得に対して、特定の税率をかけて計算します。課税所得が0円であれば、住民税も発生しません。ただし、所得額による納税額の変動がなく、一律で課税される住民税の均等割は発生する可能性があります。均等割の課税対象者は自治体によって異なり、所得が低ければ均等割もかからないことがあります。
 

医療費控除額と還付金額

医療費控除の計算方法は「年間の医療費の合計額-保険金などで補填される金額-10万円もしくは総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額の5%」です。総所得金額が46万円で、医療費30万円・補填金額0円の場合、医療費控除額は27万7000円となります。
 
還付金は税金を納め過ぎた場合に払い戻されます。所得税や住民税が発生しない今回のケースでは、医療費控除を適用しても還付金はないでしょう。
 

還付金額は0円

医療費控除とは1月1日~12月31日の1年間において、一定額以上の医療費を支払っている場合に適用できる所得控除です。
 
年金収入が月13万円、年間で156万円の場合は110万円の公的年金等控除が適用され、雑所得が46万円となります。所得税の算出には基礎控除が適用されますが、合計所得金額が46万円であれば控除額は58万円です。課税所得が0円になるため、所得税は発生しません。
 
住民税は課税所得に特定の税率をかけて算出されますが、課税所得が0円であれば住民税もかかりません。所得額による納税額の変動がない住民税の均等割は発生する可能性がありますが、所得が低い場合は均等割も非課税になることがあります。なお、均等割の課税対象は各自治体によって異なります。
 
還付金は税金を納め過ぎた場合に払い戻されるお金のことであり、そもそも所得税や住民税が発生しない場合は医療費控除を利用しても還付金はありません。
 

出典

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
日本年金機構 所得金額の計算方法
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
国税庁 合計所得金額
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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