給料は去年と変わらないのに、差し引かれる「住民税」が増えた! どのような理由が考えられますか?

配信日: 2025.10.14
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給料は去年と変わらないのに、差し引かれる「住民税」が増えた! どのような理由が考えられますか?
給料明細を見て「今年は給料がほとんど変わっていないのに、住民税の天引き額が上がっている……?」と感じたことはありませんか?
 
実は、住民税は「前年の所得」や「控除の内容」「自治体の制度変更」など、さまざまな要因が絡んで決まります。そのため、収入が変わらなくても住民税が増えることもあるでしょう。
 
この記事では、その理由を分かりやすく整理し、増えた分が妥当かどうかを確認する方法や、必要な対応策について解説します。
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住民税がどう決まるか:基本の仕組みを押さえよう

住民税は、「所得割」と「均等割」という2つの要素で構成されています。所得割は、前年の1月1日から12月31日までに得た所得をもとに計算されます。
 
収入から社会保険料や生命保険料、扶養控除などの各種控除を差し引き、その課税所得に対して一定の税率をかけて算出されるのがこの部分です。一方の均等割は、所得の多寡に関係なく、一定の金額を一律で課される税金です。
 
このため、現在の給与が変わっていなくても、昨年の所得や控除の内容が異なれば、今年の住民税に反映されることになります。さらに、自治体ごとに均等割の金額や控除の扱いがわずかに異なることもあり、同じ収入でも居住地によって税額が変わることもあります。
 

収入が変わらなくても住民税が増える主な原因

収入が同じでも住民税が上がる原因のひとつは、所得控除が減ったことです。例えば、前年は扶養していた家族が控除の対象外になった場合や、医療費控除を申告しなかった場合などが該当します。
 
また、生命保険料控除や地震保険料控除を受けていたのに、契約を変更して支払額が減ったケースも、控除が減ることで課税所得が増え、結果的に住民税が上がる原因となります。
 
もうひとつの理由は、税額控除の減少です。例えば、ふるさと納税を行っていた人が今年は寄付をしていない場合、前年に比べてその分の控除がなくなり、税額が上がることになります。最近では「定額減税」など制度的な要因によって、控除額が変わることもあります。
 
さらに、副収入や臨時収入の影響も無視できません。副業で得た収入、株の配当、不動産収入などがあった場合、それらも前年の所得に加算されます。たとえ所得税の確定申告では非課税扱いになっていても、住民税の計算では反映されることがあるため、思いがけず税額が上がることがあります。
 
また、住民税所得割の税率は全国的にほぼ10%で固定されていますが、自治体によっては均等割の金額や控除額の基準を改定することがあります。その場合、税率そのものが変わらなくても、支払う金額が増える可能性があります。
 
ほかにも、前年の端数処理や特別徴収・普通徴収の切り替え、調整分の加算などによって、一時的に引かれる金額が増えて見えることもあります。
 

差が出ているかをチェックする方法

住民税が増えた理由を確かめるには、まず「住民税決定通知書」を確認しましょう。前年分と今年分を並べて、所得割と均等割、控除額の内訳を比較するのが第一歩です。社会保険料控除や生命保険料控除、扶養控除などの金額に差がある場合は、そこが増加の要因になっている可能性があります。
 
また、前年にふるさと納税や住宅ローン減税を利用していたかどうかも思い出してみましょう。これらの制度を使っていなければ、その分の控除がなくなり、税額が増えていることがあります。副収入や一時的な所得があった場合も、通知書の「総所得金額」を見ることで反映の有無を確認できます。
 
さらに、自治体のホームページや税務課で、今年度の税制改正や均等割の変更がなかったかを確認するのも有効です。細かな制度改定が行われていることも多く、知らないうちに税負担が変化している場合があります。
 

まとめ:住民税が増えていたときにできる対応・注意点

住民税が増えた場合でも、焦る必要はありません。まずは、どの控除が減ったのかを把握し、来年に向けて対策を考えることが大切です。
 
例えば、生命保険や地震保険に加入している場合は控除証明書を忘れずに提出し、医療費が多かった年は医療費控除の申告を行いましょう。また、ふるさと納税を活用すれば、翌年の住民税を効果的に軽減できます。
 
不明点がある場合は、住民票のある市区町村の税務課で相談するのが確実です。納付額が大きく負担に感じるときは、分割払いや猶予制度を利用できるケースもあります。
 
住民税は「前年の自分の所得の結果」が翌年に反映される税金です。毎年の明細を見比べる習慣をつけておくことで、予期せぬ増額にも早めに気づくことができます。理由を理解し、各種制度を上手に使えば、住民税の負担を適切にコントロールすることができるでしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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