自民党総裁選で話題沸騰!多様な“給付や控除”を一元化する「ユニバーサルクレジット」とは?「給付付き税額控除」との違いも解説
しかし、ユニバーサルクレジットや給付付き税額控除と言われてもどんな制度なのか、どんな違いがあるのか分からない方もいることでしょう。本記事では、ユニバーサルクレジットと給付付き税額控除の概要と違いを解説します。
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自民党総裁選では「給付付き税額控除」と並んで「ユニバーサル・クレジット」が争点のひとつに
2025年10月4日に自民党総裁選の投開票が行われ、次期総裁にも決まった高市早苗氏は中低所得者層の負担軽減のため、給付付き税額控除の導入に前向きである旨を表明しました。給付付き税額控除とは、所得税額から一定額を控除し、納税額が少ない低所得者層には控除しきれなかった分を現金給付で補う制度です。
一方、林芳正氏は日本版ユニバーサルクレジットの創設を掲げて政策構想の一つとして打ち出し、所得に応じた支援を掲げて総裁選を戦いました。ユニバーサルクレジットとは、複数の給付・税額控除を一本化する仕組みです。
特に、給付付き税額控除は自民党・公明党・立憲民主党の3党の間でも制度設計の検討が進んでいるため、何らかの形で同様の制度が導入される可能性が高いでしょう。
ユニバーサル・クレジットは「複数の給付・税額控除を一本化する仕組み」
ユニバーサルクレジットはイギリスで導入された社会保障制度で、複数の給付を一本化する特徴を持っています。
イギリスでは社会保障制度の簡素化と就労インセンティブの強化、公平性の確保などを目的として、2012年に福祉改革法が成立し、2013年4月より段階的に導入されました。2018年以降、ほぼ全国で対象者の多くが移行しています。
これにより、所得補助・求職者給付・雇用支援給付・住宅給付・児童タックスクレジット・就労タックスクレジットなど個別に運用されていた社会保障が一元化されたのです。
なお、世帯構成によって変化する基準給付額、児童・住居・介護などの加算要素、所得の増加に伴う逓減や罰則規定に基づく減額要素によって給付額は変動します。そのため、就労インセンティブを高める設計となっています。
給付付き税額控除との違いは?
自民党総裁選の結果をもって導入の可能性が高まった給付付き税額控除ですが、制度の詳しい内容は検討段階であり、詳細は明らかではありません。多くの海外制度では、得られる税を基盤とし、税額引換に現金給付を受け取る形をとっています。
一方、林芳正氏が掲げていたユニバーサルクレジットは、税給付だけでなく社会保障給付要素の統合を目指している、というのが構想上の特徴です。
所得把握や情報連携、システム構築の負荷が制度設計上の課題となる可能性が高いので、導入にあたっては大規模なインフラ改革が求められる可能性が高いと考えられます。現在は下地となるマイナンバーの普及が進んできているため、今後の制度設計が待たれます。
まとめ
給付付き税額承諾とは、得られる税額から一定額を免除し、納税額が少ない取得者層には控除しきれなかった分を現金給付で補う制度です。一方、ユニバーサルクレジットは複数の社会給付や税額を一本化する仕組みで、どちらかの収益額・資産額に応じて給付が決定されます。
給付付き税額免除は主に得られる税制度を基準に給付額が算定されるのに対し、ユニバーサルクレジットは社会の安全全体を考慮して給付額を決定することが特徴です。どちらも導入にあたって国民の所得や資産の把握が必要になるため、大規模なインフラ改革が求められます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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